歯並びに悩む人に向けて、ネットやSNSで盛んに宣伝される歯列矯正サービス。「手軽」「安価」をうたうものもあり人気ですが、一方でトラブルも発生しています。
2023年1月には、「実質無料で治療できる」と説明されたのに、高額な費用を負担させられた上、歯やあごの健康被害が残ったとして、患者ら153人が医療法人や医師などに、総額約2億円の損害賠償を求めて東京地裁に提訴(※)しています。
※歯の矯正で「詐欺商法」、150人が提訴 「モニターで無料」うたう - 朝日新聞デジタル
https://digital.asahi.com/articles/ASR1V66G7R1VUTIL036.html
このケースや、「手軽」「安価」をうたうサービスで使用されているのが「マウスピース矯正」です。医学的には「アライナー型矯正装置による治療」と呼ばれ、装置の有名なものには「インビザライン」などがあります。
基本的に自由診療でサービス提供側の裁量が大きいことから、問題も起きています。
歯列矯正を行う臨床医の集まりである公益社団法人日本臨床矯正歯科医会は、公式サイトで「矯正歯科何でも相談」として、一般生活者からの相談を受け付けています。その中でも、近年「マウスピース矯正」に関する問い合わせが増えているとして、28日、都内で注意喚起のセミナーを開催しました。
特に「治療計画と全く違う歯並びになった」「嚙み合わせが矯正前より悪化した」など、不適切な治療のリカバリーに関する相談や、キャンセル料を取られたり返金を断られたりといった問題についての相談が増えている、と同会副会長で歯科医師の佐藤國彦さんは指摘します。