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外科医の魅力を知ってほしい!イベントが盛況 背景にある〝危機感〟
子どもたちに外科医の仕事を知ってもらおうと、日本外科学会が体験型イベントを開催しました。予想を上回る申し込みがあり、会場は大賑わい。実は、外科学会が学術集会と別の日程でこういったイベントを開催するのは初めてとのこと。背景には、ある〝危機感〟があったといいます。(withnews編集部・水野梓)
体験型イベント「オペスル」が開かれたのは11月17日、東京都江東区の日本科学未来館です。
予約ブースでは、手術着を身につけた子どもたちが、ロボット支援手術の機器を操作してみたり、電気メスをさわってみたり、手術のように糸で縫ってみたり……と、「医療現場」を体験。予約なしで参加できるブースもにぎわっていました。
「お医者さんになるのが夢」という小学3年生の男の子は、「きょうの体験であこがれが高まりました」と話してくれました。
外科学会の武冨紹信(あきのぶ)理事長は「子どもの頃の体験や衝撃って強く心に残りますよね。このイベントをきっかけに、外科医の仕事に興味を持つ子どもがひとりでも増えてくれたらうれしいです」と語ります。
武冨さんは「今年度から始まった時間外労働の上限規制もあり、医師の書類仕事を別の職種へシフトしていくなど労働環境の改善はもっと進めていかなければなりません。一方で、子どもや若い人たちに外科医を身近に感じてもらう取り組みも大切です」と指摘します。
「外科医はハードで手先が器用でないと…と思っている人もいるかもしれません。でも、こつこつやり続けられる心の強さがあれば大丈夫です。イベントは、そんなイメージを変えるきっかけにもしてほしいです」と言います。
このイベントは、外科学会の若手・中堅医師たちからの発案で、3カ月ほどで急ピッチで計画・実施したそうです。
ふだん手術や診療に忙しい現役医師たち30人が駆けつけ、手の動かし方や器具の使い方を子どもたちに分かりやすく伝えていました。
5月に理事長に就任してから学会のスローガンに「外科医を元気に 国民に安心を」を掲げたという武冨さんは「子どもたちに自分の仕事を伝える医師たちが生き生きとしていて、うれしくなりました」と話します。
イベントの予約セッションは3日で満席となり、予約なしで参加できるブースは30分待ちにも。のべ600人ほどが参加する好評ぶりで、学会では、今後も同様のイベントを開催できないか模索していくそうです。
武冨さん自身は、外科医のやりがいを「自分の手で手術して、患者さんの体を治すことができる充実感があります」といいます。
イベントを通じて「人体の奥深さやいのちの大切さを知ってもらうことができたらと願っています」と話しています。
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