IHこんろで発火し火災が起きる例があるとして、専門機関が注意を呼びかけたのは、“少ない油”での調理です。ヘルシー志向で行う人もいますが、センサーの異常が生じて重大な事故につながる危険性があるとします。火を使わない「IHこんろだから安全」というのは誤解で、やけどを負う事故も発生しており、注意が必要です。(朝日新聞デジタル企画報道部・朽木誠一郎)
食欲の秋、ついつい食べ過ぎてしまうことから、せめてもと調理の仕方を工夫する人もいることでしょう。中でも“少ない油で”調理する方法は、ヘルシー志向の高まりを受けて人気です。
しかし、そんな調理方法について、取扱説明書に記載されている油の量よりも少ない油で揚げ物の調理をしたことで、IHこんろの火災に至った例、やけどを負った例があるとして、独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)が注意喚起をしました。
定められているよりも少ない油で揚げ物の調理をすると、温度が急激に上昇し、温度センサーが正確な温度を測ることができなくなり、発火するおそれがあるということです。
また、揚げ物を調理するのに通常の加熱メニューを選択したり、反りや変形がある鍋を使用したりすると、それも温度センサーが正しく働かなくなる原因になるといいます。
過去には「天ぷらを調理中、油から炎が上がり、消火の際に右手にやけどを負った」「揚げ物を調理中、油から炎が上がり、周囲を焼損して、はねた油でやけどを負った」という事例が報告されています。
NITEは、IHこんろは火を使わずに調理でき、安全機能も搭載されているため、「火災の心配がないように思われがち」として、次のように警戒を呼びかけます。
・揚げ物調理中は、その場を離れない
・揚げ物調理の際は、必ず揚げ物モードを使用する
・揚げ物調理の際は、規定の量の油を使用する
・IH調理器専用鍋を使用し、鍋底に反りや変形がある鍋は使用しない
「安全機能を過信せず、取扱説明書に記載されている注意事項をよく確認しましょう」と注意喚起しました。