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もふくちゃんに聞く、「静岡ディアステージ」の展望や静岡の魅力

地方創生にこだわる理由は

オープニングイベントに登場した岡田彩夢さん(左下)と、サプライズゲストで訪れたfishbowlのメンバーたち=11月1日、静岡市葵区両替町2丁目、滝沢貴大撮影
オープニングイベントに登場した岡田彩夢さん(左下)と、サプライズゲストで訪れたfishbowlのメンバーたち=11月1日、静岡市葵区両替町2丁目、滝沢貴大撮影

目次

アイドルグループ「でんぱ組.inc」を生み出したことでも知られる東京・秋葉原の人気ライブバー「秋葉原ディアステージ」。その新店が11月1日、静岡市に誕生しました。

1日のオープニングイベントにはディアステージ所属のアイドル・岡田彩夢さんが登場し、入場チケットは完売。来場者たちは料理を楽しみながら、岡田さんのライブで盛り上がりました。

でんぱ組のプロデューサーで、秋葉原ディアステージの立ち上げメンバーでもある福嶋麻衣子さん(通称もふくちゃん)に、新店の展望や静岡が持つ魅力を聞きました。(朝日新聞静岡総局・滝沢貴大)

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福嶋麻衣子さん(もふくちゃん):東京都出身。東京芸術大学音楽学部卒業後、「秋葉原ディアステージ」の立ち上げに携わり、でんぱ組や虹のコンキスタドール(虹コン)などのアイドルやアーティストのクリエイティブや楽曲プロデュースを手がける

浮かんできた「静岡」

――2007年に秋葉原に誕生してから、大阪・心斎橋に出店し、3店舗目となる「ディアステージ」。なぜ静岡の地を選んだのでしょうか?

最初のきっかけは、ANAあきんどさんと地方創生についての取り組みをスタートしたことです。さまざまな地方を見ていく中で、静岡を選んだ理由はでんぱ組.incがJR東海さんと9月から取り組んでいるコラボ企画でした。「新幹線での旅」をテーマにした新曲を発表したり、車内限定で聴けるメンバーのスペシャルトークやメッセージ動画を配信したりしています。

その企画を立ち上げるにあたって、JR東海さんのチームと何度か話す機会がありました。そこで「東海道新幹線の駅のどこかに、ディアステージの新拠点ができたらいいよね」という話が持ち上がったんです。
「静岡ディアステージ」の開店を発表するもふくちゃん=10月6日、静岡市、滝沢貴大撮影
「静岡ディアステージ」の開店を発表するもふくちゃん=10月6日、静岡市、滝沢貴大撮影

今年の4月に大阪・心斎橋で開店し、「東京と大阪の中間でどこかいい場所がないか」と考えたとき、浮かんできたのが静岡でした。

東京から新幹線で1時間とほど近く、スタッフも様子を見に行けて、良いライブハウスもある。ライブツアーで大阪公演をすることも多いのですが、静岡に拠点があれば、その前後にお店を使ってなにかできるのもいいなと思いました。

それに、音楽プロデューサーのヤマモトショウさんや、彼がプロデュースしている静岡のご当地アイドルグループ「fishbowl」が静岡でアイドル文化を盛り上げているという話も聞いていました。ヤマモトさんはでんぱ組や虹コンに楽曲を提供してもらっていますし、一緒にお仕事をする機会も多く、これまでずっと仲良くさせていただいています。

ヤマモトさんの「地元・静岡を盛り上げたい」という思いは本当にすごいと感じているし、いち地方を若い人が「改造」していく様を見るのが楽しみだと思って。「ショウさんが仕切る静岡に乗っていきたい」という思いも強いです(笑)。

静岡の持つ魅力

――もふくさん自身、静岡とゆかりがあると聞きました。もふくさんが考える「静岡の魅力」はなんでしょうか。

実は少し前に私の両親が静岡県内に引っ越して、私もコロナのころに一時期県東部の函南町に住んで、東京まで新幹線通勤していた時期がありました。静岡は広くて、海も山もあって、楽しみの幅が広い県だと感じています。

静岡といえば音楽や、プラモデルやフィギュアなど「物作り」が盛んですよね。ヤマモトさんや、シンガーソングライターの諭吉佳作/menさんなど、ご縁がある音楽家の方も多いです。

私たちとしては、静岡をいろんな文化の仲介地点にしたい、新店を音楽やプラモデル、サブカルチャーなどの「ハブ」にしていけたらと思っています。

あとは、インバウンド旅行者にも人気のお茶の一大産地。お茶をはじめとした、静岡の美味しいものとかを配信で紹介したり、販売したりしていけたらとも考えています。まずは国内向けに、ゆくゆくは海外にも静岡の名産品を発信していきたいです。
――ディアステージのタレントは、JA全農と全国各地の物産をPRしたり、ANAグループと各地の魅力を巡るファンクラブツアーの企画をしたり、事務所として地方創生に力を入れているイメージがあります。

アイドルが「社会的に必要なもの」だとアピールしていかないといけないと思っていて。これからのアイドルの社会的な地位を考えても、地域貢献にかかわっていくことは大事だと考えています。その一つとしての静岡だとも思っているところです。
オープニングイベントに登場した岡田彩夢さん=11月1日、静岡市葵区両替町2丁目、滝沢貴大撮影
オープニングイベントに登場した岡田彩夢さん=11月1日、静岡市葵区両替町2丁目、滝沢貴大撮影

新店の展望は

――この1年は心斎橋、静岡と新装開店が続きますが、これからも新店を開く予定はあるのでしょうか。

今の時点ではありません。今後も「めちゃめちゃいっぱい増える」ということもないとは思います。

私たちがアイドルビジネスをするにあたっては、とくに虹コンの活動ではそうなんですが、「地方創生」に貢献したいという意識を持っています。地方開催のライブやイベントなどは長きにわたりやってきましたが、静岡では一過性ではなく地域に根ざして、そこで「カルチャー」として広めていくやりかたをしたいと思っています。

とりあえず、2〜3年くらいはいったん、静岡・心斎橋・秋葉原の3拠点を強固にしたいと考えています。

――心斎橋店という拠点が増えて得た手応えはありますか。

タレントの活躍の場が増えたことで、タレントのモチベーションにもつながっていると思います。「関西にこれだけファンがいるんだ」と自信を持てるきっかけになるなど、「活動の場が増える」ことによるプラスの面も期待しています。
――静岡の店舗の運用は、心斎橋店と同じような形を考えているのでしょうか。

基本的には「似たような感じで」と考えています。fishbowlさん側ともどこまでコラボできるかを話し合っているところです。基本的には金土日の営業をメインに、うちのタレントのイベントを開いたりして、現地のキャストさんが集まったら、平日の営業にも力を入れて行けたらと考えています。

秋葉原や心斎橋の店舗では、「ディアガ」と呼んでいるキャストたちがユニットを組んでライブをすることもありますが、静岡でもそういった子たちが出てきたらうれしいです。ディアガにもその土地土地の色があればとも思うし、静岡に住んでいる人材との出会いの場になればうれしいです。

――最後に、静岡の新店の展望を教えてください。

心斎橋ともまた違った、「変なお店」にしたいという思いがあります。静岡店はほかの店舗よりもコンパクトなこともあり、音楽好きな人たちが楽しめる「ディープな音楽スポット」になればという思いもあります。

アコースティックのライブとか、心斎橋でも、秋葉原でもできない「少人数でも濃いイベント」ができたらうれしいです。

あとは、静岡らしさも出していきたいです。実は、プラモデル好きのスタッフもいるので、みんなでプラモデルを作るイベントを開いたりとか、それを店内に飾ったりしてもいいなとか。あとは、いい静岡茶も仕入れたいです。

静岡には、これまでヤマモトさんやfishbowlさんたちが広げてきた場、「シーン」みたいなのがあると思います。そういうシーンを含めながら、ディアステージ独自の「濃いカルチャー」を秋葉原、心斎橋とも違う形で出していければと思います。

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