MENU CLOSE

話題

〝補聴器をして自転車に乗る方へ〟メーカーの発信理由「見分けは…」

「補聴器を着けて運転するほうが安全であることを伝えられるように」

これも補聴器です。耳かけ型補聴器(WIDEX SmartRIC)=ワイデックス提供
これも補聴器です。耳かけ型補聴器(WIDEX SmartRIC)=ワイデックス提供

目次

スマホを注視したり、通話をしたり――。自転車での「ながら」運転の罰則が強化される改正道路交通法が11月1日に施行されます。イヤホンと間違われやすい補聴器。「より取り締まりが厳しくなっていることを知ってほしい」と10月、ある補聴器メーカーが「補聴器・人工内耳を装用して自転車に乗る方へ」としてSNSで発信をしました。呼びかけの意図を聞きました。

【PR】指点字と手話で研究者をサポート 学術通訳の「やりがい」とは?

「警察からユーザーへの声かけ可能性十分ある」

補聴器メーカーのワイデックス(東京都港区)は10月、こんな投稿をしました。

《補聴器・人工内耳を装用して自転車に乗る方へ
道路交通法が改正され11月1日から自転車運転に関する罰則が厳しくなります。イヤホンと補聴器を目視で識別することは難しいはず。警察に声をかけられても、自分が難聴で補聴器を着けて運転するほうが安全であることを伝えられるようにしましょう》

政府広報オンラインによると「イヤホンやヘッドフォンを使用するなどして安全な運転に必要な音又は声が聞こえない状態での運転」には、5万円以下の罰金が課されるとされています。

https://www.gov-online.go.jp/article/202410/entry-6604.html

同社は、補聴器ユーザーへの呼びかけの意図について「11月から道路交通法が改正されることで、より取り締まりが厳しくなっていることを補聴器ユーザーに知ってもらいたいという意図で投稿しました」。
「警察の方にも補聴器とイヤホンの違いについてはある程度認知されてきていると思う」とした上で、「警察としては、疑わしき自転車走行者には声をかけないといけないという立場にあると考えます。そのため、補聴器ユーザーも声をかけられる可能性は十分にあります」とします。

耳かけ型補聴器(WIDEX BTE 13D)=ワイデックス提供
耳かけ型補聴器(WIDEX BTE 13D)=ワイデックス提供

小型、軽量化の流れ「我々でも…」

近年、補聴器メーカー各社は、「目立たない方がいい」というユーザーからの要望を受けて小型化、軽量化に取り組んできた背景があります。最近ではデザイン性重視のイヤホンタイプの補聴器も登場しているそう。

補聴器の進化に加え、近年のワイヤレスイヤホンの普及もあり、担当者は「弊社製品に限らず、医療機器として認証を受けている『補聴器』、認証を受けていない『集音器』、音楽などを楽しむための『イヤホン』を形状だけで見分けるのは、補聴器メーカーである我々でも非常に難しい」と明かします。

デザインも豊富(WIDEX社製)=ワイデックス提供
デザインも豊富(WIDEX社製)=ワイデックス提供

呼び止められると「頭真っ白」

補聴器は加齢に伴う聞こえの低下によって使用する人だけでなく、難聴のある若年層が使用することもあります。
そのため、自転車走行中の若者がイヤホンをしているように見えたとしても、それが補聴器である可能性も排除できません。

同社社員の中には、補聴器を付けて自転車走行をしていた際に警察に呼び止められた経験がある人も。

その社員は、「耳を指さしながら呼び止めた警察の表情が厳しかったので、突然のことということもあり、頭が真っ白になりました」と振り返ります。

「その際、警察官がマスクをしていたため聞き取りにくく、聞き返しました。すると、聞き返したからなのか、なおのこと強い口調で疑われてしまったため、『すみません。補聴器を着けているのですが……』と補聴器を見せて、『あ、そうでしたか』とご理解いただいた経験がありました」

その社員は「まだまだ補聴器って認知されていないんだな」と感じたといいます。

耳あな型補聴器(WIDEX)=ワイデックス提供
耳あな型補聴器(WIDEX)=ワイデックス提供

補聴器で自分も他人も安全に

担当者は「補聴器は人との会話以外にも、危険察知などのさまざまな役割があります」とします。

自転車走行中の補聴器使用については、「前後から接近する車両の音や警笛、緊急車両のサイレン音なども聞き取ることができ、事故などの危険を察知することにつながります。そのことが、自分や他人の安全を確保することになるのです」。

今回の投稿では、補聴器ユーザーに「ながら」運転の罰則が強化されることを伝えることで、「今後、補聴器ユーザーが警察官に声をかけられた場合でも、相手が『補聴器とイヤホンを間違えている可能性がある』ということを念頭におき、慌てることなく冷静に対応できるといい」という思いを込めたそう。

担当者は「取り締まる側と補聴器ユーザーの双方が、補聴器とイヤホンの違いについて理解を深め、お互いの印象が良い方向に変わっていってほしい」と話します。

関連記事

PICKUP PR

PR記事

新着記事

CLOSE

Q 取材リクエストする

取材にご協力頂ける場合はメールアドレスをご記入ください
編集部からご連絡させていただくことがございます