しかし、寝かしつけを終え、ベッドルームから出てきた妻から「小さな子どものいる部屋に使ってよかったの?」「妊婦だったら?」「(使っていいなら)それはどうして?」と質問が。妻は医療従事者なので、普段からこうしたことにしっかり気を配っているタイプです。
私はパッケージ裏面の「妊婦や小さな子供がいる部屋でも使用できる」「噴射する際は噴射する人以外の入室を避ける(薬剤を直接は吸い込まないように)」という主旨の説明を読んだだけで終わっていました。
購入時は比較もできなかったので、使用後ではありますが、有名メーカーの複数の同様の殺虫剤の使用上の注意点を、公式サイトなどで確認してみました。基本的には、妊婦や小さな子どもがいる部屋での使用はOK。ただし、どのメーカーも、「薬剤を直接は吸い込まない」ように注意していました。
では、殺虫剤の成分は、健康に影響するのでしょうか。実は、環境要因が子どもたちの成長・発達にどのような影響を与えるのかを明らかにするための国の調査と、その解析結果に、関係するものがありました。
前述の目的で、環境省は2011年から毎年、10万組の子どもたちとその両親が参加する大規模な疫学調査「子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)」を実施しています。
研究は、子どもが生まれる前から13歳までの成長する期間を追跡して調査する「出生コホート」と呼ばれる手法で行われます。胎児期や小児期の特定の成分などへの暴露が、子どもの成長と健康にどのように影響しているかなどを調査します。
そして、その2019年のデータを解析し、2020年7月に名古屋市立大学特任助教・松木太郎さんらの研究チームが発表したのが、「妊娠期における母親の殺虫剤・防虫剤の使用と新生児の体重・身長の発育との関連」という研究※です。
※妊娠期における母親の殺虫剤・防虫剤の使用と新生児の体重・身長の発育との関連 - 国立研究開発法人国立環境研究所
https://www.nies.go.jp/whatsnew/20200731/20200731.html