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SNSでの誹謗中傷 YOSHIKIさんが語る〝孤独〟の向き合い方

対談イベントで、少年時代から抱えてきた孤独感について語るYOSHIKIさん=PR事務局提供
対談イベントで、少年時代から抱えてきた孤独感について語るYOSHIKIさん=PR事務局提供

目次

「今も、もがき苦しんでいるところです」。X JAPANリーダーのYOSHIKIさんが対談イベントで、少年時代から抱えている〝喪失感〟について語りました。孤独をテーマにした楽曲に、自分自身が救われてきたと言い、いま、孤独の淵で苦しむ人たちに向けて、ピアノでサプライズ演奏をしました。(朝日新聞記者・小川尭洋)

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【動画】YOSHIKIさんがサプライズ演奏「聴いてもらえますか…」弾き始めたのは

孤独感を音楽に「聴いた人が楽になれば」

YOSHIKIさんが「孤独」について語ったのは、8月上旬、東京都内であった対談イベントでした。対談相手となったのは、SNS上の誹謗中傷被害などメンタルヘルスの問題に長年取り組んできたアメリカ公衆衛生局のビベック・マーシー長官。
複数の公務で来日したマーシー長官から、心の傷を抱えた人々へのサポートに取り組むYOSHIKIさんに対して、話を聞きたいとオファーがありました。

YOSHIKIさんは1990年代以降、純粋な音楽活動だけでなく、香港で孤児をライブに招待したり、東日本大震災の被災地でチャリティーライブを開いたりするなど多くの慈善活動に取り組んできました。

対談の冒頭、こういった活動の原点として、10歳の時に父が自死した過去を挙げました。

「僕と同じ境遇とは限らないけれど、不幸な生い立ちの子どもの力になりたい。気持ちが分かる部分があるから」

幼少期のYOSHIKIさん(左)と母=公式Instagramから
幼少期のYOSHIKIさん(左)と母=公式Instagramから

少年時代に鬱病を抱えていたというマーシー長官は「実際は多くの人が心の問題を抱えているのに、私は恥ずかしいことだと思い込み、周りに相談できませんでした」と明かした上で、YOSHIKIさんに「どのように心の傷と向き合ってきたのですか?」と尋ねました。

YOSHIKIさんは、「今もまだ、もがき苦しんでいるところですが、自分の感情を周りに共有することで、救われた部分があります」と答えました。

YOSHIKIさんの場合は、その感情を、日常会話の場だけでなく、楽曲という形でも人々に共有してきました。

対談では、楽曲テーマのひとつとして「孤独」を挙げ、「孤独を音楽に変換することで、聴いた人の気持ちが楽になればいいなと。この制作活動によって僕自身も救われました」と語りました。

その後、対談途中に「聴いてもらえますか」と持ちかけ、サプライズで演奏したのが、代表曲Forever Love(1998年)でした。

《もう独りで歩けない 時代(とき)の風が強すぎて》
《Ah 傷つくことなんて 慣れたはず だけど今は》

サプライズでピアノを演奏するYOSHIKIさん=PR事務局提供
サプライズでピアノを演奏するYOSHIKIさん=PR事務局提供

「フェラーリ買っても、幸せは一瞬」

一方で、バンドが売れていくにつれ、「フェラーリが欲しいとか、物欲に溺れていた時期もあった」と本音をもらした場面もありました。

「フェラーリを買っても、その幸せは一瞬なんです。誰かを助けた方が、幸せな気持ちになると気づきました」

マーシー長官からそのターニングポイントについてたずねられると、X JAPANのギタリスト、HIDEさんが生前に交流していた女性に大きな影響を受けたと語り始めました。

女性は、脳の神経活動が妨げられ、思うように体が動かせなくなる難病「GM1ガングリオシドーシス」と闘っていた和歌山市の貴志真由子さん。HIDEさんが1998年に亡くなった後、代わりに支援をしていく中で、考え方が変わり始めたと言います。

「始まりは支援という形でしたが、一生懸命に生きる彼女の気持ちに触れる中で、僕自身が助けられた部分も多かったのです」

そして、真由子さんが亡くなった翌年の2010年、米国非営利公益法人「YOSHIKI FOUNDATION AMERICA」を立ち上げ、自然災害や戦争に巻き込まれた人々への寄付に本腰を入れるようになりました。

HIDEさんと真由子さんのツーショットをおさめた額縁。「人の優しさが、誰かの支えになる」などと記されている=和歌山市のカフェ「約束のチーズケーキ」(現在は神奈川県藤沢市に移転)、朝日新聞出版・福井しほ撮影
HIDEさんと真由子さんのツーショットをおさめた額縁。「人の優しさが、誰かの支えになる」などと記されている=和歌山市のカフェ「約束のチーズケーキ」(現在は神奈川県藤沢市に移転)、朝日新聞出版・福井しほ撮影

「誰か1人に打ち明けるだけでもいい」

話題は、誹謗中傷やセンシティブなコンテンツがあふれるSNS空間にも及びました。

マーシー長官は、プラットフォーマー側が有害な投稿を管理する必要があると強調した上で、「ネガティブな情報によって、未来に希望はないと感じてしまう人が多くいます。1日15分でもいいから、大切な人と話す機会をつくってほしいです」と呼びかけました。

YOSHIKIさんは、自身もSNS上で誹謗中傷を受けることがある一方、励まされることも多いと振り返りました。

2022年に母親が亡くなった時、Instagram上で心情を打ち明けると、ファンからは「今は大変だと思いますが応援しています」などと、共感や励ましのコメントが大量に届いたそうです。

YOSHIKIさんは、自分の感情を共有する大切さを改めて強調しつつ、「つらい時は、必ずしもSNSで共有しなくてもよくて、誰か1人に打ち明けるだけでもいい。自分は1人ではないと感じられるのが大切です」と語りました。

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