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弱視男性、道が突然〝消えた〟…点字ブロック「見る」人も 色は重要

「消えた」道は危険と判断し、不慣れな道へ

谷田光一さんの投稿
谷田光一さんの投稿 出典: 谷田光一さんのXアカウントより

目次

「あれ?点字ブロックがなくなった――と思ったら、色が変わっただけでした」。そんな内容でXに体験を投稿した弱視の男性。黄色の印象が強い点字ブロックですが、実は全国で統一された色の決まりはないのだそう。道路の色に合わせて変わってしまう点字ブロックについて、その体験を聞きました。

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床面の変化でブロックの色も…

《点字ブロックを目視で辿っていくと、、、。
あれ?点字ブロックがなくなった!と、思ったら色が変わっただけでした。

弱視も使う点字ブロック。ぜひその観点からのデザインをお願いしたい》

投稿したのは、視力が0.3の弱視で、中心視野が5度未満という谷田光一さんです。ご自身で「ちくわの穴からのぞくくらいの視野」と表現します。

谷田さんはある日、2カ月に1回通っている都内の施設に行く途中に、道を見失いました。
理由は、駅前から続いていた黄色の点字ブロックが突然「途切れ」たこと。

2カ月前は黄色の点字ブロックが目的地まで続いていたのですが、新たな商業施設が建ったことで床面が変化。その色に合わせて点字ブロックの色もシルバーになっていたため、進む先がわからなくなってしまったのだといいます。

白杖、「触る」だけじゃない機能

谷田さんも使う白杖には、センサー(白杖で触った感覚で路面情報を集める)、バンパー(路面にある障害物を発見)、シンボル(見えづらさがあることを周囲に伝える)という三つの機能があります。

谷田さんは、バンパーとシンボルの機能を使うために白杖を持っていて、点字ブロックは「見る」ことで頼りにするものです。

そんな谷田さんのような弱視の人にとって、点字ブロックの色は重要。床面とのコントラスト比がハッキリしていないと点字ブロックが目立たないため、目印を見失ってしまうのです。

結局この日、「このまま進んだらどちらに進んだらいいかわからなくなり、障害物にぶつかるリスクがある」と判断し、普段は使わないけれど、黄色の点字ブロックが続いている方の道を使って目的地に到着しました。

「黄色のブロックがあったとは言え、不慣れな道を通らなくてはならず、不安感がありました」

街中の点字ブロック。自転車の車輪がブロックの上にかぶさっている=2014年、さいたま市
街中の点字ブロック。自転車の車輪がブロックの上にかぶさっている=2014年、さいたま市 出典: 朝日新聞

JIS規格に色の規定なし

点字ブロックにはJIS規格があり、形は規定されていますが、色や材質についての規定はありません。

日本視覚障害者団体連合は、連合のホームページで、「JIS規格の見直しなどが望まれます」としています。

近年の景観意識の高まりに伴って、1980年代以降は、周囲の環境と調和する色合いを「デザイン優先」で採用するため、歩道に溶け込むような同系の色や材質の点字ブロックが増えました。
歩道と同系色・同材質のブロックでは、弱視や色弱者の人たちには識別が困難です。
また、同じ駅においてもJIS化以前の名残から、ブロックの種類が複数混在して、視覚障害者の誤認を招く事例も見られます。
JIS規格の見直しなどが望まれます
日本視覚障害者団体連合「点字ブロックについて」

埼玉県視覚障害者福祉協会の理事も務める谷田さんによると、「点字ブロックの色について定めている自治体もありますが、『黄色』とするところもあれば『黄色が望ましい』とするところもあります。具体的な色ではなくコントラスト比を重視するところもあります」といいます。

街中を見ると、床面の色調に調和させる色みで点字ブロックが設置されるケースもあり、谷田さんは「点字ブロックには、それを使って歩いている人がいるという啓発の意味もあります。それが隠されることになってしまいますよね」と疑問を呈しています。

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