IT・科学
花火の「見える場所」はここだ! 地図を制作、いったいどうやって?
どこへ行っても人・人・人の花火大会。見やすい場所は早くから埋まってしまいます。どこかに穴場はないの? そんな気持ちに答える地図作りに挑戦した男性がいます。SNS上で話題になった地図の制作の裏側を聞きました。(朝日新聞デジタル企画報道部・篠健一郎)
地図には、東京で開かれた隅田川花火大会で、「花火が見える」とするエリアがピンク色に塗られています。
打ち上げ会場から直線距離で5キロ弱離れたJR東京駅の北側や、東京メトロの門前仲町駅周辺にも花火が見えるとする場所がありました。
打ち上げ地点から近い場所でも高い建物が邪魔をして見られなかったり、逆に離れていても建物の隙間から見えたり、地図を眺めているとそんなことがわかりそうです。
しかしいったい、どうやって「見える場所」を分析したのでしょうか?
地図を作ったKamazonさんは、建設コンサルタント会社で都市計画業務などを担当しています。大学では地理学を専攻。現在の仕事でも、地図の作製や分析を行うGIS(地理情報システム)を使っています。
そのスキルを生かし、役立つ情報を生み出せないかと、100万人近い人が集まる都心の花火大会を選び、「花火が見える場所」を可視化した地図を作ろうと考えました。
まずは、国交省がオープンデータとして公開する、コンピューター内に街並みを再現した「PLATEAU(プラトー)」にある地形と建物のデータを組み合わせ、システム上で地表面の高さを表すデータを作成。さらに花火の打ち上げ位置と玉の大きさ、打ち上がった花火の高さや直径などを調べてシステムに取り込みました。
そして、表層上の2m四方に区切った全ての地点から、花火が見えるかどうかをコンピューター上でシミュレート。分析の結果、「見える」とされた地点を色付けしました。
地図は趣味として休日などを使って3、4日で作り、Xに投稿したところ閲覧数は120万に。「ピンクに塗られている箇所から実際に見えている」「かつて××(場所の名前)から見ていた」などという反応があり、投稿を保存するブックマークは1200件を超え、「世の中の役に立ったのかなとうれしく思いました」。
Kamazonさんは、昨年11月に神戸市であった、プロ野球の阪神とオリックスの優勝パレードがよく見えた場所を分析したことも。選挙での候補者の地域別の得票数や、人流などにも関心があるといい、「様々な分野のこれまで見えなかったものを可視化することに挑戦していきたいです」と話しています。
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