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キャリア学習の動画、大学生が審査 「社会で役立つスキルを学べた」
九つの動画がノミネートされています
就職活動に限らず、大学生がキャリアについて学べるコンテンツとは何かーー。就職情報会社が運営するキャリア学習サイトの動画について、学生たちが議論し、評価するコンテストが開かれています。8月上旬に都内で開かれた審査会では、学生から「学びや気づきになった」といった声が聞かれました。
開かれているのは、就職情報会社「マイナビ」が運営するキャリア学習サイト「My CareerStudy」に掲載された企業が作成した動画を、学生が審査するコンテストです。
「My CareerStudy」は、学生がやりたいことや向いている職業を探したり、卒業・就職後のキャリア形成などについて自ら考えたりすることを目的に、昨年サービスを開始しました。大学1~4年生が対象です。
現在公開されている約150の動画は、My CareerStudy編集部が作るほか、金融やメーカー、アパレルなど様々な企業が制作しています。
内容は就職活動ノウハウや業界の説明といった知識だけでなく、「Excel使いこなし術」といったビジネススキルや「社会人基礎力とは?」「学生のうちに身につけておきたい主体性」といった動画も並びます。
受講目安時間は1本あたり数分~40分ほどで、サイトに登録した学生がスキマ時間などを利用して自由に視聴することができるといいます。
8月4日、東京都港区のカフェでコンテストの審査会が開かれました。
東京理科大学や千葉大学、慶應義塾大学などに通う1~3年生たちがコンテストにノミネートされた九つの動画を視聴。審査項目に沿って採点や、学生同士で内容についてディスカッションをしたりしていました。
ノミネート動画はいずれもメーカーなどの9企業が作成したものです。
「『就活は何から始めればいいの?』のお悩み解決します」という就職活動に関連する内容のほか、「理系の学びはどう活きるか?」「社会人を1年経験して感じた学生時代の後悔とやってよかったこと」といったコンテンツが並びました。
コンテストの審査基準は、学生にとって役立つ内容だったかという「学習要素」、構成や見せ方が分かりやすく工夫されていたかという「創意工夫」、学校生活やキャリア形成に関して学習や行動につながったかという「意欲喚起」の3点です。
議論を終えた学生からは、「学びがある講座は学年別で評価が違う」「新しい情報を得られることが大切」「分かりやすい言葉でまとめられているといい」「社員の雰囲気が分かると企業にいい印象を受けやすい」といった意見が共有されました。
一橋大学経済学部2年の川村一太さんは、「企業の業務内容のもととなる社会制度や、社会に出たときに役に立つスキルを学べました」と話します。
相手の話を「聴く」ことの大切さを伝える講座もあったといい、「相手に自分の話を聴いてもらうために、自分が聴くだけではなく、態度や話し方、内容も気を配らないといけないなと思いました。もともと人の目を見て話すことは心がけていたので、そこにも触れられていて自分のやり方に自信を持てました」と笑顔を見せました。
運営事務局の柳内汐砂美さんは「企業へは学生が求める視点を提供し、学生にとってはキャリアに関して情報を得るきっかけになることがコンテストの目的です」と話します。
企業側にはキャリア学習を支援したいという思いがあるものの、「どのようなプログラムを用意すればよいのか答えを見つけづらい」そうです。
学生側としては、「卒業後にどのような職に就きたいか、何をしたいか決まっていない」という課題があります。
2026・2027年卒の学生を対象にしたマイナビの調査によると、キャリアの方向性が決まっていない学生は59.5%でした。
理由は「方向性を定めた方がよいと思うが、『これだ』というものに出会えていないから」が47.5%で最も多く、「方向性を定めた方がよいと思うが、やり方が分からないから」が32.2%と続きました。
長年、大学1、2年生からのキャリア支援をしてきたマイナビとして、「学生と社会人のギャップを埋め、学生が入社後のキャリアを考えられるようにしたい」と考えたそうです。
コンテストで審査した学生たちの反応を受け、運営事務局の柳内さんは「普段なかなか聞くことができない学生の生の声が非常に参考になりました。また参加した学生にとっても、今日この場が、自分の少し先の将来を考えるきっかけになれば嬉しく思います」と話していました。
コンテストの結果は関西の学生の審査も経て、10月に発表される予定です。
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