連載
#48 イーハトーブの空を見上げて
青森の夏といえば「ねぶた」と… 忘れちゃいけないアイスクリーム
盛岡の「さんさ踊り」の取材が終わると、青森の「ねぶた祭り」へと転戦する。
暑くて「熱い」、青森の夏。
法被姿の人々の「ラッセラー」のかけ声と共に街が躍動し、荘厳なねぶたが観光客で埋め尽くされた通りを行き交う。
青森の夏でもう一つ、忘れてはいけないのが「アイスクリーム」だ。
出張の度についつい買い求めてしまうのが、青森県十和田市の「十色アイス」だ。
イチゴやメロン、パインなど、色とりどりの10種類のアイスを、コーンの上にバラのように盛りつける。
市役所前に止めたリヤカーの前にはいつも、大人や子どもたちの列ができている。
考案したのは畠山繁男さん(78)。この道40年。
「昔、花火大会で3色のアイスを売ったら、子どもたちから『花火みたいだ』と言われて。うれしくて数を増やしていったら、10色まで増えちゃった」
SNSで拡散し、いまでは県内外から客が来る。
青森県弘前市の藤田アイス店では、バナナ味のアイスが約800グラム(740ミリリットル)の袋にぎっしりと詰められた、名物「ジャンボアイス」が飛ぶように売れていく。
弘前城近くで同店がアイスの販売を始めたのは、1970年代後半。
当時、リンゴを保管する倉庫を経営しており、大型の冷凍庫を利用してできる商売がないかと考えた。
藤本レイ子社長(62)は「当時、南国産のバナナは高級感があり、北国の人にとっては憧れだったみたいです」と振り返る。
1日に250個ほど製造され、スーパーや産地直売所で販売している。
首都圏などで暮らす「弘前人」も多く、オンラインショップでも売れている。
店先で3袋買い求めた60代の女性は「夏が来ると、どうしても食べたくなる『弘前の味』。大手メーカーのアイスに負けずに、これからも作り続けてほしいです」とうれしそうに話す。
(2022年夏、2023年夏取材)
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