東京の地下鉄駅では、構内の至る所に天井を覆うビニールシートとそこから伝うチューブが見られます。外が晴れている日でも、通路や階段の側溝には勢いよく水が流れていることも。なくてはならない東京の交通網では一体、何が起きているのでしょうか。東京メトロを取材しました。(朝日新聞デジタル企画報道部・朽木誠一郎)
<乗り換えでよく利用する東京メトロの日比谷駅。ふと、通路や階段の側溝を勢いよく流れる水に気がつきました。あれ、ここ数日は晴れの天気が続いているのに――。
それ以降、注意して駅構内を見るようにすると、至る所にある天井を覆うビニールシートと、そこから伝うチューブ。チューブは集まって束になり、側溝につながっているところもありました。
一度、気になってしまうと、同じような光景が東京メトロの他の駅や、都営地下鉄でも目につきます。なくてはならない東京の交通網で一体、何が起きているのでしょうか。>
東京メトロを取材しました。実は、東京は地下水が豊富な地域。雨が降ればさらに地下に含まれる水、駅に流れ込む水が増えます。そのため、この水は「基本的に地下水ですが、天候の状況に応じて雨水も含まれます」(同広報担当者)とのこと。
一方で、建物に使用されるコンクリートは、固まると「乾燥収縮」という現象を起こし、ひび割れが生じることがある他、化学的な反応や物理的な変形などのさまざまな原因でも、ひび割れが生じ得るものだそう。
このような事情で、地下鉄の駅は利用者の安全と安心を守るため、漏水との戦いが続いているのです。
地下駅では防水対策を行っているものの、一カ所を止水しても別の場所から漏水することもあり、「場所的な制約条件等をさまざまに考慮し、導水処理とするか、止水処理とするかなどを判断しております」といいます。
ビニールシートやチューブは、こうした処理のために使用されているもので、「お客様への影響や駅設備への影響度合いを考慮し、漏水補修の優先順位を決定している」ため、簡易的な処理を行うこともあるということでした。