連載
#6 水の事故を防ぐ
沖縄の美ら海で相次ぐ水の事故 絶対NGな「せっかくだから…」
一見穏やかに見えても要注意、マリンレジャーで事故に遭わない心構えは
夏休みの旅行先として人気が高い沖縄県。鮮やかなマリンブルーが広がる「美ら海」を思い浮かべるだけでわくわくしますが、実はマリンレジャーなどによる、水の事故が最も多い県でもあります。
楽しい夏休みの思い出を悲しい記憶にしないためにも、どういった心構えが必要なのでしょうか。
警察庁によると、2023年に起きた海や川での水難事故は1392件。1667人が事故に遭い、そのうち死亡や行方不明者が計743人いました。
中学生以下の子どもの事故は93件で、死亡・行方不明者は27人でした。
都道府県別では、最も事故が多かったのが沖縄県で116件。東京都が80件、兵庫県が61件と続きます。
では、事故数が最多の沖縄県では、どんな場所で事故が多く起きているのでしょうか。
海上保安庁がまとめる、2013~22年に起きた海でのレジャー事故8329件を朝日新聞が分析したところ、沖縄県中部の恩納村にある真栄田岬周辺で13人、同村万座毛周辺で7人、石垣島の米原ビーチで10人の死者や行方不明者が出ていたことが分かりました。
死者・行方不明者の多くは、誰でも簡単に始められるシュノーケリング中に事故に遭っていたことも分かりました。
これらの場所は、海水浴場のように監視されていない「自然海岸」。近年ではインターネットやSNSで「美しい海」として紹介されることで、地元の人でもあまり行かない海岸に観光客が押し寄せることもあるそうです。
5月下旬に万座毛を訪れていた大阪府に住む30歳代の会社員の男性も「TikTokで紹介されているのを見て、友人と来ました」と話していました。
こういった現状に、第11管区海上保安本部の宮城裕充・安全対策調整官は「SNSなどではその場所の危険性までは言及されていないので、どういったリスクがあるのか知らずに訪れる観光客も多い」とします。
沖縄の海は、サンゴや岩のすき間を海水が沖方向に流れる「リーフカレント」が発生する場所が多く、そういった場所では体力に自信のある人でも流れに逆らって泳ぐことは困難。一見穏やかに見えても、実はリスクが高い場所ということがあるので注意が必要です。
さらに、慣れていないシュノーケリング中に不意に水を飲み、パニックになっておぼれる人も多いそうです。
「せっかくだから」、「つかるだけなら」と体調や気象状況が良くなくても海に入り、溺れてしまう人も後を絶たないといいます。
沖縄の海は冬でも20度ほどと温かく、浮いてさえいられれば、死亡するケースにいたらない可能性が高まります。
海保の宮城調整官は「管理された海水浴場で泳ぐことがまずは大前提」としつつ、「自然海岸ではインストラクターをつけたり、ライフジャケットを必ず着用したりしつつレジャーを楽しんでほしい」と話しています。
1/6枚