ネットの話題
「注釈二度見した」ブラックモンブラン「実際に宇宙に飛ばして撮影」
九州でおなじみのアイス「ブラックモンブラン」シリーズの特別パッケージにある、ユニークな〝注釈〟が、SNSで「二度見した」と話題になっています。「この画像は実際に宇宙に飛ばして撮影したものです」。製造販売している竹下製菓(佐賀県小城市)に真意を聞きました。
話題になっているのは竹下製菓のアイス「スペシャルブラックモンブラン」の55周年記念、特別パッケージです。
〝通常〟パッケージでは、「ブラックモンブラン」の背景に、ヨーロッパの最高峰・モンブランの雪山がそびえ立っているのですが、特別パッケージでは背景に広がるのは真っ暗な宇宙空間と、青い地球。
パッケージには、小さな字で注釈が入っています。「この画像は実際に宇宙に飛ばして撮影したものです」
このパッケージはXで、「注釈二度見した」「注釈のさりげなさよw」「お金のかけ方が面白い!」「竹下製菓のよく分からん全力投球が好き」「ロマンを感じるアイス」と話題になりました。
竹下製菓に話を聞きました。
特別パッケージは、7月上旬に発売され、スーパーや量販店で、在庫がなくなるまでの限定販売をされているそうです。
パッケージに使われている画像は、昨年9月25日に、地上から30キロ上空で撮影されたものだそうです。
高度100キロから上を宇宙とするという定義もある(国際航空連盟)ことから、今回は宇宙に近い「成層圏」で撮影されたことなります。
しかし、まだ、ブラックモンブランと〝宇宙〟がつながりません。なぜ宇宙なんですか?
ブラックモンブランが宇宙に行くきっかけは、2016年に竹下製菓の「5代目」に就任した竹下真由・代表取締役社長の〝夢〟だったそうです。
小学生の時、NHKでやっていた「ロボコン」を見て「自分もやりたい」と、東工大へ進学するほどの「科学」好き。
「“いつか宇宙へ行ってみたい“”地球が青くて丸いのか、自身の目で見てみたい“という強い思い」をあたためてきたそうです。
2020年には、ブラックモンブランを宇宙に打ち上げる「スペースモンブランプロジェクト」を立案しました。
「アイスも実は科学の結晶」と言う竹下さん。自分の夢を重ねつつ「子どもたちが大好きなアイスが、科学の力で宇宙を目指す」プロジェクトを通じて、「子どもたちに、宇宙を身近に感じてもらえるきっかけになれば」との願いを込めていました。
コロナ禍での延期もあり紆余曲折を経ましたが、ついに昨年、e-kagaku国際科学教育協会と、東京女子学園・芝国際中学校・高等学校の共同プロジェクトとして、実行されることになりました。
プロジェクトには、小学生から高校生まで10人の子どもたちが参加しました。
目標は、「青い地球とブラックモンブランが写る写真を撮る」ことと、「宇宙に行ってきたアイスを食べる」こと。
ヘリウムガスを充てんした「ゴム気球」に、撮影に使用するブラックモンブランの〝模型〟とバッテリー内蔵のカメラを搭載しました。
また、後で回収して食べるために、本物のブラックモンブラン4本を詰めた箱をぶら下げました。子どもたちは、アイスが溶けないように、箱内をマイナス18度で5時間保つにはどうしたらいいかなど、頭をひねったといいます。
「ゴム気球」は、福島県南相馬市の漁港から打ち上げられ、上空約30キロに到達。その後、沖合30キロの太平洋上で回収されました。
カメラには、宇宙の暗闇と青い地球のはざまを漂う〝ブラックモンブラン〟がはっきりと映っていました。
そして、プロジェクトメンバーの立ち会いのもと、回収された箱を開封しました。ブラックモンブランはなんとか形を保っていました。「やわらかくなっていたのと、落下の衝撃なのか多少の変形」があったそうです。
その味は…。
「宇宙の味がしました、なんて言いたいところではありますが、いつもと変わらないブラックモンブランの味でしたね」
このプロジェクトで撮影した写真が、55周年の節目で「お客様への感謝の気持ちを込めたキャンペーン(ブラックモンブラン聖地巡礼ツアー)」のパッケージに採用されました。
SNSでの反響に「注目されて驚いているところです」。
祖父や父から受け継いだ「ブラックモンブラン」。「いつか並び立ち、超えたい」と目標を語っている社長の竹下さんは、「まだ目標達成には遠いので、まずは物理的に超えてみました」と笑います。
回収したアイスが「柔らかくなっていた」という課題もあったため、スペースモンブランプロジェクトも継続を検討しているとのこと。
「最終的には私自身が宇宙に行って、ブラックモンブランを、地球を見ながら食べることが目標です」
夢はさらに続いていきます。
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