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子ども水遊び「浮き具あれば安心」の誤解 相次ぐ心肺停止や死亡事故

水遊びを楽しむ子どもの笑顔をどう守るか。※画像はイメージ
水遊びを楽しむ子どもの笑顔をどう守るか。※画像はイメージ 出典: Getty Images

目次

夏に子どもをプールなどで遊ばせるとき、「浮き具をつけているから安心」と思い込んでいないでしょうか。過去には浮き具をつけていても外れてしまったり、つけ方を誤ったせいでかえって溺れてしまったりした死亡事故も起きています。注意点をまとめました。(朝日新聞デジタル企画報道部・朽木誠一郎)
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つけた浮き具が“凶器”になる

国民生活センターは5月末、ネット通販などで販売されている「アームリング付き浮き具」※を着用中に、子どもが溺水した事故があるとして、注意喚起をしました。

※左右のアームリングと胸部の浮き具(浮力体)が一体となったさまざまな形状のもの

これは2023年12月、同センターの「医師からの事故情報受付窓口」に寄せられた情報に端を発するもの。

この事例では、2023年8月、アームリング付き浮き具を着用し、屋外レジャープールで保護者とともに遊んでいた3歳の男児が、親がわずかに目を離した間に溺れ、浮いているところを発見されました。

すぐにプール外へ救出されましたが、呼吸はなく、約3分後に救護所へ搬送され、心停止と判断。心肺蘇生開始4分後に心拍再開が確認され、その後、救急搬送、ドクターヘリによって医療機関に向かい、5日間入院したということです。

当該の商品は、浮力体が胸の部分に来るように着用する想定のものでしたが、事故当時、浮力体が背中側にくるように着用していました。当該の商品では、逆向きに着用すると、水面で仰向けになりにくく、また、一度うつ伏せになると、元の姿勢に戻りづらい特徴がありました。

そうすると、水面から鼻と口を出して呼吸をすることができなくなり、溺水するおそれがあることから、正しい向きでの着用が重要になります。しかし、当該の商品では、身体に対して浮力体が前後どちらの向きでも着用できる構造になっていました。
また、注意表示は、本体に英語による表示があるのみで、日本語の表示などはありませんでした。
 

子どもはすぐ、静かに溺れる

同庁はこうした商品を正しく使用するために、以下のようなポイントがあるとしています。

・アームリング付き浮き具はライフジャケットとは異なり、命を守るためのものではないことを理解した上で正しく使用する。
・水遊びの際は必ず保護者(監督者)も子どもと一緒に水に入り、万が一の場合に備え、すぐに手を差し伸べられるように寄り添う。
・アームリング付き浮き具は、着用の向きやベルト等の緩みによって溺水の危険が高まり、命にかかわるため、必ず正しい向きを確認し、浮力体が身体に密着するように正しく着用する。
・アームリング付き浮き具は、海や川などの自然領域での使用には適さないため、海や川などの自然領域では、子どもの身体に適したサイズのライフジャケットを正しく着用する。

また、23年4月には富山県のフィットネスクラブのプールで、5歳の男児が腰に浮き具をつけていたにもかかわらず、亡くなる事故が発生しています。

この事故では、男児が水中に飛び込んだ際に浮具が外れ、すぐに沈んでしまったといいます。浮き具が外れる想定ができておらず、また、プールの監視体制が不十分だったことなどが原因とされました。

浮き具をつけた子どもの事故について、公益財団法人日本ライフセービング協会の松本貴行副理事長は、国民生活センターの発表に寄せて、以下のようにコメントしています。

「人が溺れるときには、口に水が入るなどして声が出せなかったり、音を立てたりすることもなく『人は静かに溺れる』と言われています。保護者(監督者)は、何かあった場合はすぐに子どもに近づける距離で、よく観察をしましょう」
 

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