自身の生理の重さや、ジェンダーにまつわる考えもYouTubeやエッセイなどで積極的に発信している、お笑い芸人のバービーさん。毎月のように悩まされていたという生理について、知識が全くなかったというパートナーとともに、自身の体にどう向き合っていたのでしょうか?YouTube「たかまつななのSocial Action!」「バービーちゃんねる」のコラボでインタビューをしました。(聞き手:たかまつなな/笑下村塾)
――バービーさんは結構生理について発信されていますけども、どうしてそういうことを発信されているんですか?
マスメディアで「生理」ってフレーズを聞かなかった時代に、生理用品の使い方とかも知らないちびっ子もたくさんいるんだから、YouTubeとかでやっていいんじゃないと思って、なんの気なしに始めたのが最初です。
反響がすごかったから、なんとなく続いているって感じ。
――世間の反応はどんな感じだったんですか?
皆さんすごく好意的な感じでした。例えばお母さん側からすると、学校で扱ってほしいですとか、先生も学校で流したいですって言ってくれたり。あとはシングルのお父さんとかだと、自分でどうやって説明していいか分からなかったから嬉しいですとか。
でも一番面白かったのがみんながそこで初めて生理を共有できたこと。「え、ナプキンを丸めて捨てるんですか」とか、びっくりなコメントがたくさんあったんですよ。
――確かに。あんまり話さないですもんね。
――バービーさんはYouTubeでご自身も生理が重い方だとお話しされていましたけど、生理中にどんなことで困っていましたか?
「困る」とかいうレベルじゃないなという感じで生きていました。
大相撲の力士舞の海さんは「技のデパート」と呼ばれていましたけど、私は「婦人科系疾患の総合商社」と自称しているぐらいな感じで(笑)。
――「生理が重い」とか超えていると。
座薬を病院で処方してもらったこともあります。あと、経血が多いから、吸水ショーツを履いて夜用ナプキンをしてタンポンをしても、衣装を汚すとか。
――ストレスとかも多いですか?
PMS(月経前症候群)で言うと、ストレスは前からあったんだけど、自覚があんまりできていなかったかもしれない。
パートナーと暮らし始めてから、相手の反応とかを見て、「私はPMSかも」って思い始めたのが30代半ばぐらいでした。
――それはパートナーの方に言われたんですか? ご自身で気付いていったんですか?
付き合い始めて本当最初のころに、ケンカが月1であったの。これは生理とかぶっているのではないかという二人の話し合いの結果、PMSかもということになって。
それから彼が生理の共有アプリを見つけてきてくれて、そのアプリから私が生理になったという通知が来たら、パートナーは「自分は何があっても穏やかでいよう」みたいな心構えはできるようになったらしいです。
――いいですね。生理とかに理解がめちゃくちゃある方なんですね。
向こうはそもそもは知識がゼロ。知識を埋めていくことができるのは、生理を体験している人かなと思います。
パートナーが知らなかったら、女性側が知識を埋めていくことはできることじゃないかなと思います。
――実際に生理痛やPMSに対して何か対策は取られているんですか?
ずっとその対策のために、1カ月を生きているみたいなものですよ…。
――クリニックを受診しているのでしょうか?
クリニックは疾患がいくつかあるので、疾患の専門分野ごとにお得意先を分けています。
そこの専門医に頼るときは頼る。あと、なんでも相談できて、専門医を紹介してくれるかかりつけ医が1人います。
――かかりつけの先生を見つけるのが難しいですよね。
個人のレディースクリニックでは、お話を聞いてくれる態勢になってくれている先生って結構多いですよ。
あと私は大体ホームページを見たときの先生の人相、顔相占いをして、この人いけそうかな。とか(笑)。
――当たります、それ?(笑)
――バービーさんはピルは飲んでいますか?
ピルはここまでのむ人が増える前から飲んでいました。最初はニキビがきっかけだったかな。
でも、結婚して妊活を始めるにあたってやめたんだけど、ピルで抑えられていた痛みとか経血の量とか、周期の乱れみたいなものが一気に来て、体がやばいみたいな感じになったんですよ。
――今は生理のストレスとか、PMSのイライラとか不安というのはどういうふうに発散されているんですか?
ななちゃんに言っていなかったんだけど、もうすぐ子どもが産まれるの。
――おめでとうございます。
ありがとうございます。だから今は生理はないんだけど、不妊治療中は生理とPMSが普通の生理よりも余計に重かったり、余計に痛かったりしたの。
そのときはパートナーと二人で乗り越えるみたいな感じだった気がします。
――それ素敵ですね。二人でっていうのが。
量がとにかく多くて、夜とかパジャマが血の海になったりするんだけど。そういうのとかも夜中に洗ってもらったりとかしてくれたりとかしていたね。ありがたいね。
――生理中とかPMS中は、パートナーの方に「こうしてほしい」と思うことはありますか?
共有アプリで彼のほうに通知が行ったら、彼がハーブティーを煮出し始めるのね。その姿を見ているだけで、「PMSで不安定だけど優しくしよう」って気になれる。
――嬉しいですよね。
私のために朝早く起きて、ハーブティーを煮出してくれて、用意して、お仕事に行ってくれるという姿を見ただけで、八つ当たりはしないようにしよう。言語化できることはしようという感じ。
――めっちゃ素敵ですね。
でも理不尽にキレてしまうこともあります。
――どんなことでキレるんですか?
毎日のことだから本当に分からないぐらいだけど。鼻歌がうるさいとか。
彼がキレのある動きとかもするから。それだけでイライラするとか、そういう理不尽なやつです。
――なかなかあんまり家で見ないですけどね、急にキレのある動きをするって(笑)。でもなかなかパートナーと生理とかについて話ができなくて、悩んでいらっしゃる方もいると思いますけど、どうしたらいいと思いますか?
知りたいかどうか、まず聞いてみたらどうでしょう?知りたいという人は意外と多いんじゃないかなというのは感じていて。
クイズ形式とか、興味を持ちそうなことから始めてみるみたいなのもいいのかななんて思ったり。経血量ってどれぐらいだと思う?とか。
――なかなか重い生理というのを周りの人に理解してもらえなくて、学校や職場で我慢しちゃう人っていっぱいいると思うんですけど、そういう方にぜひアドバイスとかありますか?
言いづらいよね。私はずっと特殊な人間で、芸能界という特殊な世界にいるから分からないんだけど、言えない人の気持ちに立ってみなきゃというのはすごく分かるの。
でも、言いづらい空気のせい、会社のせい、社会のせいにしないで、まず自分がアクションを起こすっていうっていうことも大事だと思います。厳しいようだけど。
――みんなが勇気を持って言ったら言いやすい社会に変わりますもんね。
最初に生理とかフェムテックとかジェンダーの発信を始めたときに、一緒にやりましょう、戦いましょうという人もいたんだけど、なかには「私は動けません。動きません」という方もいて。
私は「声の大きな誰かに任せる」んじゃなくて、「みんなが少しずつ声を上げたらビッグボイスになるんじゃないかな」と思っているので、みんなで頑張って声を上げていこうって思う。
――あと、今女性側の話が多かったと思うんですけど、男性側にこうしてほしいということとかってあります?
どの視点がいいのかな。生理について?
――パートナーがいらっしゃる方とかで、女性側が伝えるということももちろん大事だと思うんですけど、男性側がバービーさんのパートナーの方みたいに積極的に知ろうとするということとかも大事なのかなって思ったりもするんですけど。
性教育の責任を女性に押し付けないで、学校で教えてほしいという気持ちはあります。
でも、実際に経験してみないと分からないことがたくさんあるというのも事実ですよね。
例えば生理とか妊娠の大変さって、身近にいないと分からないことだから。身近な人に興味を持ってほしいなという感じですかね。
実際はただただ知らないだけとか、そういう立場的に思いをはせることができない状況にある人たちだけなんじゃないかなって思いたいですね。
――最後にお伺いしたいんですけども、今、生理痛とかPMSで悩んでいる方にぜひメッセージをお願いします。
とりあえず婦人科を受診して、って思います。自分で検索して、自分で対策を選び取ってほしい。強い気持ちで頑張ってほしいです。
セクシャルなことを自分から追求するのははしたないという先入観が日本の女性にはあると思うのですが、そんなことは全くないので、自分で行動に移し笑顔の輪を広げていってください。
――本日はとてもいいお話をたくさんお聞かせいただきまして、ありがとうございました。
(監修:稲葉可奈子 Inaba Clinic 院長)
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〈たかまつなな〉笑下村塾代表取締役。1993年神奈川県横浜市生まれ。時事YouTuberとして、政治や教育現場を中心に取材し、若者に社会問題を分かりやすく伝える。18歳選挙権をきっかけに、株式会社笑下村塾を設立し、出張授業「笑える!政治教育ショー」「笑って学ぶ SDGs」を全国の学校や企業、自治体に届ける。著書に『政治の絵本』(弘文堂)『お笑い芸人と学ぶ13歳からのSDGs』(くもん出版)がある。