身近な瞬間接着剤は近年、「つけ爪用」としても普及しています。しかし、手指についたときの対処法を誤ると、大きなケガにつながるおそれも。成分の化学反応により深刻なやけどを負うこともあるとして、独立行政法人・国民生活センターが注意を呼びかけています。(朝日新聞デジタル企画報道部・朽木誠一郎)
国民生活センターは6月、瞬間接着剤によるやけどの事例が複数、寄せられているとして、注意喚起をしました。
2023年11月、つけ爪用接着剤が手指に垂れ、ティッシュペーパーで拭き取ったところ、真皮に達する重いやけどを負い、1カ月以上の通院を要するとの診断を受けたという事例が寄せられました。
また、2024年5月には、大阪府において、子どもにつけ爪用接着剤がかかり、やけどをしたという事故も報道されています。
同センターが事故を再現した動画では、デニム生地に瞬間接着剤を垂らしたところ、触れた部分の温度がみるみる上がっていく様子がサーモグラフィーでわかりやすく説明されています。
SNSには「みんな普通にやってそう」「煙が上がってびっくりしたことある」などの声が集まりました。
同センターによれば、つけ爪や物体同士を短時間で接着させるために用いられる瞬間接着剤の主成分には、一般的にシアノアクリレート系の物質が使用されています。
このシアノアクリレート系の物質は、空気中や接着面の水分と反応して硬化する際に、反応熱が発生します。特に、ティッシュペーパーや布などに染み込み、表面積が拡大すると、化学反応が急激に進み、大きな反応熱が発生することがあります。
同センターの実験によれば、ティッシュペーパーや衣類などに染みこませた場合、最高170度近くまで温度が上昇したということです。そのため、このような部分に触れると、やけどをするおそれがあります。
しかし、すぐに硬化してしまうため、発熱しても接着部分を容易に肌から引き剥がすことはできません。
そのため、同センターは「瞬間接着剤はティッシュペーパーや衣類などの染みこみやすい繊維質のものに染み込むと短時間で発熱し、やけどをする場合があるので注意しましょう」「使用前には商品の表示や取扱説明書を読み、ポリエチレン手袋を装着して扱いましょう」と呼びかけています。
また、使用中に誤って手指などについてしまったときは、以下のような対処法があるということでした。
・衣類に付着させた場合には、発熱のおそれがあるため、大量の水をかけてください。
・手指など皮ふに付着させ接着した場合は、発汗作用によって必ずはがれるので慌ててティッシュペーパー等で拭き取ったりせず、40度くらいのお湯の中で、もむようにはがしてください。
・家具等にこぼした場合には、ポリエチレン手袋をした上で布などで手早く拭き取り、拭き取った布などは発熱するおそれがあるため、取り扱いには注意してください。