IT・科学
ラーメン食べた罪悪感はコレで解決!?テック活用の〝罪滅ぼし〟とは
「ゼロカロリー地点」を赤い円で表示
食べてしまった……。ラーメンを食べた時に満足感と同時に、カロリーや塩分などが気になり、なんとなく「罪悪感」を覚えたことはありませんか。そんな気持ちが軽くなる地図サイトがあります。一体どうやって? 制作者に聞きました。(朝日新聞デジタル企画報道部・篠健一郎)
サイトの名前は「ラーメン食べても罪滅ぼしウォーキング」。地図には山口県内の314軒のラーメン店が載っています。
ラーメン店の位置を示す、地図上のラーメンのアイコンを押すと、青い円が表示されます。
自分で選んだ運動方法や運動時間内に行ける範囲を示したもので、運動方法はウォーキングやランニングなど4種類から選び、運動時間は5分~60分の間で調整できます。設定によって円の大きさが変わります。
「どんな運動をどのぐらいの時間すればどこまで行けるのか」を地図上に可視化することで、食後の運動を促そうという仕掛けです。
青い円の外側に表示された赤い円は「0キロカロリー地点」。ラーメン一杯を500キロカロリーと仮定し、食べたラーメンのカロリーを運動によって「相殺」できる地点を示しています。運動方法によって円の大きさが変わります。例えば、ウォーキングよりもジョギングのほうが円が小さくなります。
この地図、運動だけでは終わりません。
青い円の中には、「五重塔」や「温泉」などのマークがあります。これらのマークは、県内の文化財や名所・史跡、温泉施設などを示しており、施設の詳しい情報も記載されています。運動の前後で少し観光、なんてこともできそうです。
サイトには国宝「瑠璃光寺五重塔」(山口市)や世界遺産「大板山たたら製鉄遺跡」(萩市)、国の特別天然記念物の「秋芳洞」(美祢市)など、約1600件の情報が載っており、サイトでは「ラーメンを食べながら、健康も増進、山口県の文化財にも触れて一石三鳥!」としています。
サイトを作ったのは山口市のエンジニア、福田達也さん(35)ら4人の男性です。そのうち福田さんを含む3人は、テクノロジーを活用して地域課題の解決に取り組む「Code for Yamaguchi」のメンバーです。
開発のきっかけは、オープンデータを活用した全国コンテストへの応募を目指し、参加者同士でアイデアを出し合って作品作りをするイベントでした。県の官民連携のデジタルコミュニティー「デジテック for YAMAGUCHI」が昨年末に開き、4人はそのイベントに参加しました。
作品作りに使う県のオープンデータの中で福田さんたちの目に留まったのが「山口のラーメン店舗一覧」。過去のイベントで取得されたラーメン店のデータを元に、300店を超えるラーメン店の位置情報が整理された珍しいデータでした。
「ただ単に地図にプロットして見せるのであれば、オープンデータのカタログサイトと変わらない」。そう考え、注目したのが同じくオープンデータになっていた県の文化財などのデータでした。
五重塔に行き、まっすぐ帰る――そんな「点」として観光地を捉えるだけでなく、ラーメンをきっかけにして「面」としての観光を促せないかと考えました。
文化財などの情報は、ラーメン店をクリックして初めて表示される仕組みになっており、あくまでラーメンを第一にし、そこから観光につなげる仕掛けにしました。
ラーメン一杯500キロカロリーという設定については「もちろんスープや具材などによって変わります。ただ、ラーメンをきっかけに観光地を訪れてもらうことをサイトの主目的にしているので、そこは厳密に考え過ぎず、運動や観光を促すことにつながればと考えています」。
地図サイトは、今年3月にあったオープンデータ活用の全国コンテスト「アーバンデータチャレンジ2023」で、131の応募作品の中から銅賞に選ばれました。
ユニークなラーメン店のオープンデータから生まれた今回の地図。福田さんは「オープンデータの利点は、複数のデータを組み合わせて、新しい視点を作り出せること」とした上で、「県などの行政機関は、使われるかわからないからデータは公開しないということではなく、わからないからこそ公開してほしい」と話しています。
「ラーメン食べても罪滅ぼしウォーキング」のサイトは以下のURLから。
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