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男性が〝上から目線〟で説明する「マンスプレイニング」経験者の思い
「受け流す癖をつけた」と話す女性もいます
「マンスプレイニング」という言葉を聞いたことがありますか? 女性が求めているわけではないのに、男性が〝上から目線〟で説明する行為のことで、man(男性)とexplaining(説明)を合わせた造語です。その根底には、「女性は無知だ」といった偏見や、ジェンダーに基づく差別構造があると言われています。
トランスジェンダーであることを公表している哲学者の三木那由他(なゆた)さんは、朝日新聞の記事で次のように問題提起しています。
「マンスプレイニング」をテーマにアンケートを募ったところ、マンスプレイニングをされたことがあるという女性から「家庭では不快だときちんと指摘するようにしている」という声が届いた一方、マンスプレイニングをしたことがあるという男性からは「解決・改善の糸口がわからない」という声が寄せられました。
私自身は大学教員ですが、研究会を開催したり参加したりすると、こちらが何も知らないていで「ご助言」をいただくことがしばしばあります。
「ご助言」をくださるのは特にアカデミックなバックグラウンドを持たない一般の方であることもしばしばです。なぜ比較的若い女性であるというだけで、こんな扱いを受けなければならないのかと思ってしまいます。
また家庭内でも、夫も私相手に「何も知らない」前提でいろいろなことを言ってくることがあります。それはマンスプレイニングだ、不快だときちんと指摘するようにしていますが、けんかになることもしばしばです。(東京都・30代女性=自分がされたことがある)
飲み会の場で、男性がとうとうと上から目線で話をするのを聞く機会はいくらでもありました。
しかし、飲みの場なので楽しく飲みたいし、自分が嫌な思いをしないように適宜受け流す癖をつけたので、具体的な会話は思い出せません。
会話を盛り上げるために、わざと男性に「マンスプレイニングさせている」意識もあります。(神奈川県・40代女性=自分がされたことがある)
若い女性が男性から何かを教わるという構図は、メディアの世界にあふれていると思います。
テレビ番組の司会者は中年の男性ばかりで、アシスタントは若い女性。
そのような刷り込みが、マンスプレイニングを見えなくしている一因だと感じます。(海外・30代その他=自分がされたことがある)
上下関係の構造や(内面化されたものも含めて)性格や態度とも絡んで習慣化している部分もあるため、解決・改善の糸口もなかなか分かりません。(大阪府・20代男性=自分がしたことがある)
マンスプレイニングが行われた時、その対象が女性だからそうなっているのか、その人は誰彼かまわずそういう事をする人なのかしっかり調べないと間違った対処になると思います。
自分がもっと若かったとき、「最近の若いもんは」と言いながら求めていないアドバイスをくれる人は男女問わずいたので、男性→女性に限定されるべきなのかと疑問に感じる部分があります。
年上の女性→若い男性などで同様の行為が起こったときに、果たして社会が若い男性に同情してくれるかというと、そうではないと感じます。(東京都・40代男性=自分がされたことがある)
実際に当該の"マン"が当該の女性よりもなにかに詳しかったり、会話の流れ上何かを説明するのが自然な場合も少なからずあるでしょうから、難しい問題かと思います。
しかし一方で、こうしたケースでの"マン"側は、そもそも権力を持っていたり体格がよかったりして、会話の内容以前にすでに威圧・見下し的な構図になってしまう素地が性質上生じやすい面があります。
他のハラスメントにも共通することですが、"マン"側は自身のそうした潜在的な攻撃性を自覚した上で、相手を不愉快にさせていないか、相手と互いに快適なコミュニケーションになっているか、そうしたことへの感度を高く保ち、常に慎重なやりとりを心がける必要があります。(神奈川県・20代男性=自分がしたことがある)
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