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〝眠気対策にカフェイン〟SNSで話題、でも…過剰な摂取は命の危険も

最近はカフェインの錠剤の使用も浸透しているが……。※画像はイメージ
最近はカフェインの錠剤の使用も浸透しているが……。※画像はイメージ 出典: Getty Images

目次

SNSで「カフェイン錠剤」という言葉がトレンドに入り、注目されました。きっかけは「眠気」解消のために使用を勧めるものでしたが、カフェインは過剰に摂取すると命の危険があります。過去の救急搬送や死亡例、国内外の摂取の目安をまとめます。(朝日新聞デジタル企画報道部・朽木誠一郎)
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「日々眠気と戦ってる皆さまへ」

X(旧Twitter)でトレンドに入った「カフェイン錠剤」という言葉。きっかけは「眠気」解消のためにカフェインの錠剤を紹介する投稿で、「日々眠気と戦ってる皆さまへ」と呼びかけ、「1錠でコーヒー3、4杯分のカフェインが取れる」「エナジードリンクと比較してもコスパ最強です」とうたうものもありました。

内閣府の食品安全委員会の注意喚起によれば、カフェインはコーヒー豆、マテ茶を含む茶葉、カカオ豆、ガラナなどに天然に含まれる食品成分の一つ。カフェインを多く含む主な食品はコーヒーおよび茶類ですが、エナジードリンクや目覚まし用のドリンクには、さらに多くのカフェインが含まれているものがあります。

同委員会は「カフェインには、適量摂取することにより頭が冴え眠気を覚ます効果があります」とする一方で、「過剰に摂取した場合の一般的な急性作用として、めまい、心拍数の増加、興奮、不安、震え、不眠症、下痢、吐き気をもたらすこともあります」と指摘します。

近年は「眠気」「だるさ」の解消を目的にした、ドラッグストア等で購入できるカフェインを配合した第3類医薬品の錠剤の使用も浸透しています。
 

カフェインの摂取量の目安は?

マグカップ1杯のコーヒー(商品や淹れ方により差がある)や一般的なエナジードリンク1本には、100mg以下のカフェインが含まれていることが多いです。一方、こうした錠剤には「1回量中コーヒー3~4杯分」のカフェインが配合されていることがうたわれています。

カフェインの過剰摂取の危険性について、世界的には、まず妊娠中の女性に対して、WHOなどが「カフェインの過剰摂取は胎児の成長遅延、出生児の低体重、早産、または死産と関連する可能性が示唆されている」としています。摂取量の目安として、WHOは妊婦に対して、コーヒーを1日3から4杯までにすることを呼びかけているほか、イギリスなど、より厳しい制限を求めている国もあります。

なお、生涯にわたって摂取し続けたとしても、健康に悪影響が生じないと推定される一日あたりのカフェインの摂取許容量は、個人差が大きいことなどから、日本においては、また国際的にもあまり設定されていません。

ただし、カナダ保健省は「健康な成人は最大400mg/日」、子どもはカフェインに対する感受性が高いため「4歳〜6歳の子どもは最大45mg/日」、「7歳〜9歳の子どもは最大62.5mg/日」、「10歳〜12歳の子どもは最大85mg/日」まで、などとする注意喚起をしています。
 

過去には救急搬送や死亡の例も

日本中毒学会の調査によれば、カフェインを原因とする症状により国内で救急搬送された人は、2011年からの5年間で101人にのぼり、そのうち3人が死亡しています。

この調査では、学会員が所属する264の救急医療施設に調査を依頼、うち39施設が回答。カフェインを含む風邪薬や鼻炎薬などを同時に飲んだケースは調査対象から除かれているということです。

救急搬送された101人は14〜54歳で、18歳以下は16人。また、この数字は2013年以降に86人と急増しています。症状は激しい吐き気・嘔吐やイライラ、興奮、動悸などで、重症例では7人が心停止していました。内訳は、眠気防止薬が97人、清涼飲料水が10人、コーヒーが5人でした(重複回答あり)。

2015年には、福岡で20代男性がカフェイン中毒により死亡した事例もメディアで注目を集めました。

この事例では、死亡した男性は24時間営業のガソリンスタンドで深夜から早朝にかけての勤務があり、日常的にエナジードリンクを多用しており、胃の中からはカフェインの錠剤も発見され、カフェインの血中濃度は致死的なレベルに達していたと報道されています。
 

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