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#43 #就活しんどかったけど…

新卒採用で〝動画選考〟ベンチャー企業の狙い「短い面接のよう」

「時間以上の情報量が伝わってきた」

動画選考に忌避感のある学生もいますが……。写真はイメージです=Getty Images
動画選考に忌避感のある学生もいますが……。写真はイメージです=Getty Images

目次

新卒採用の選考過程に「動画選考」を取り入れるベンチャー企業があります。ある調査では、学生の4割が動画提出を求められた経験があり、動画選考をマイナスに捉える学生が6割以上いたという結果も。そんな中でも動画選考は「選考の効率化と、情報量の多さでメリットになる」と考える理由を企業側に聞きました。

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導入するベンチャー、会社規模拡大のタイミングで

インフルエンサーマーケティングを主とする事業を展開する、2017年創業のベンチャー企業「TORIHADA」(本社・東京)では、25年卒の新卒採用から動画選考を開始しました。

動画選考に忌避感のある学生もいる中で、なぜ応募者数を絞ることにもつながりかねない「動画」を取り入れたのでしょうか。

職情報会社「マイナビ」が行った、2024年卒業予定の全国の大学4年生と大学院2年生を対象にした調査によると、動画の提出を求められて提出したことがある学生の割合は38.9%(前年比5.3ポイント減)でした。動画についてどう思うかを尋ねたところ、「良いと思う」「どちらかと言えば良いと思う」の合計は33.2%(前年比5.1ポイント増)だった一方、「良いとは思わない」「どちらかと言えば良いとは思わない」は計66.8%だったといいます
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同社の採用担当者は「実はこれまではあえてしてこなかったんです」と本音を語ります。

「弊社は多くの方が広く知っているような会社ではありません。そのため、動画選考をすることで応募ハードルを上げてしまうのではないかという懸念がありました」

ただ、創業7期目を迎えた今年の状況としては、「市場や事業拡大に伴い、認知度も上がってきた」と判断。その中で採用の方針を転換し、現在進行中の25年卒の採用活動から動画選考にチャレンジしたそうです。新卒採用の人数も増やしていく予定で、会社の規模拡大のタイミングでの試みとしての位置づけになるそうです。

「自分なりの経験値で作ってくれている」

動画の内容については応募者に任せており、「1分から1分半」という時間規定のみ設けています。

「就活解禁の3月以降、説明会に出席してくれた学生から動画選考のフローに入るのですが、始まって1週間で約70本届いており、いまも続々と増えている状況です。『みんな普通に出してくれるんだ』と安心しています」

内容としては、自身の特技や個性を紹介しつつ一日の流れをVlog(日常を紹介する)スタイルにまとめたものや、自作ラップで思いを伝えてくれるもの、プレゼン資料を背景に自分について語るようなものなど、様々だといいます。

「みなさん、インスタやTikTokなど、なにかしらで動画制作に携わった経験のある世代です。自分なりの経験値で作ってくれているなという印象です」と担当者。

動画内での話し方やテンポなどからも応募者の雰囲気が伝わってくるという手応えがあり「短い面接をさせてもらっているような感覚で、短い尺ではあるのですが、時間以上の情報量が伝わってきた」といいます。

これまでに、応募者から動画選考についての不満や疑問は、内容面での確認以外は届いていないとのことです。

グループディスカッションも取り入れましたが、「十分な判断材料を得られなかった」といいます。写真はイメージです=Getty Images
グループディスカッションも取り入れましたが、「十分な判断材料を得られなかった」といいます。写真はイメージです=Getty Images

「履歴書の情報は『補助』に」

動画選考は、採用側にとって「選考の効率化と、情報量の多さ」がメリットになると語るのは代表の若井映亮(わかい・えいすけ)さん。

同社ではこれまで、選考過程でグループディスカッションも取り入れていましたが「実施する際は、学生さんたちに足を運んでもらい、社員の人手も必要。しかも、私たちの採用過程ではそこでの討議からは十分な判断材料を得られませんでした」。

そのような試行錯誤を経て、「採用活動をもっと効率化したい」と、動画選考という手段にチャレンジしたといいます。

実際に導入してみると、その情報量の多さと採用者側の無意識のバイアスを排除できる可能性を感じたそう。

「テキストや履歴書だけではどうしても情報量が少なく、出身校などを見たときのバイアスが大きく働いてしまう場合があります。動画選考にしてみて気づいたのは、動画を最初に見るので、履歴書などそれ以外の情報は『補助』として見ることができることです」

その上で強調したのは「動画スキルをみるものではない」ということ。若井さんは、「動画編集は正直様々なツールを使えば簡単にでき、誰でもできる時代です。そうではなく、『その人らしさ』を知るためのものとして今後も使っていきたい」と話していました。

取材に応じる代表の若井映亮さん(奥)=同社提供
取材に応じる代表の若井映亮さん(奥)=同社提供

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