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#22 宇宙天文トリビア

能登にはこんな美しい星空がある… 閉館中でもSNS投稿続ける理由

桜と能登の星空。天の川も見える
桜と能登の星空。天の川も見える 出典: 星の観察館「満天星」のSNSから

目次

満天の星や美しく輝く満月――。能登の風景とともに、星空の写真をSNSで毎日投稿している石川県能登町の星の観察館「満天星」。元日の地震で被災し、今でも開館は見通せませんが、能登の魅力でもある星空のSNS投稿は1月11日から再開しています。担当者に話を聞きました。

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街の明かり少なく天の川も見える

「今夜の能登の星空です。日没後の西の空にはオリオン座などの冬の星座たちが見えています。晴れた夜にはゆったりと星空を眺めてみましょう」

そんな文言とともに、X(旧ツイッター)に投稿された美しい星空の写真。投稿したのは、石川県能登町にある星の観察館「満天星」(@man_ten_bo_shi)です。

普段から県内だけでなく、県外からたくさんの観光客が美しい星空やプラネタリウムを見に訪れます。

周辺は街の明かりも少なく、環境省の調査でも「天の川の構造が確認でき、星団の観測ができる」といった、星がよく見える場所としてお墨付きがあります。

満天星のXでは毎日、能登の風景とともに撮影された星空や月の写真が投稿されています。

投稿しているのは、満天星の学芸員・宇佐美拓也さん。満天星の学芸員になった2012年の翌年から投稿を始めました。

特に新型コロナの影響で外出が規制され始めた2020年4月からは、「ステイホームの時でも、多くの人に宇宙や星空に思いをはせてほしい」と毎日、投稿を続けたといいます。

建物は無事 でも望遠鏡は損傷

元日に起きた能登半島地震で、能登町は震度6強の揺れに見舞われました。幸い、当日は休館日で客はおらず、施設の建物自体にも大きな被害はありませんでした。

一方で、口径60センチの反射望遠鏡の土台が損傷したり、プラネタリウムの投影に使うモニターが転倒したりしました。倉庫に置いていた星の観察会で使う望遠鏡3台にも、ひびが入っていました。

発災直後の機材室。望遠鏡などが破損した
発災直後の機材室。望遠鏡などが破損した 出典: 満天星

一時停電していたものの、1週間後には電気は復旧。ただ、3月下旬でも水道は復旧しておらず、宇佐美さんは「ゴールデンウィークごろの再開を目指せれば」と話します。

記者が満天星を訪れたのは3月下旬。ちょうどプラネタリウムの点検作業をしていました。東京からプラネタリウムメーカーの作業員が来て、投影機のチェックをしていました。

プラネタリウムの操作モニターを確認する作業員
プラネタリウムの操作モニターを確認する作業員 出典: 朝日新聞社

確認すると、投影機や操作パネルには異常はなく、いつも通りの星空をドームに投影することができました。

反射望遠鏡についても、メーカーの調査が終わり、損傷した土台の修繕は必要なものの、鏡やギアなど他の部分には被害がないようだということです。

口径60センチの反射望遠鏡。土台が一部破損した
口径60センチの反射望遠鏡。土台が一部破損した 出典: 朝日新聞社

震災から11日後に投稿再開

満天星では、1月11日からXでの投稿を再開しました。「開館再開はまだまだ先になりそうですが、能登の魅力の一つである『星空』を多くの方に知っていただけると嬉しいです」というこの投稿には2600ものいいねが付きました。

「こんな大変な中に、素敵な夜空の写真を届けてくださりありがとうございます」「同じ空の下、早期復興を願っています」「投稿楽しみにしています」といったコメントも寄せられました。

宇佐美さんは「震災前まではプラネタリウムや天体観望会でみなさんと星空を楽しんでいましたが、その時間がいかに幸せなものだったかを感じています」と話します。

休館している今は、多くの人と星空の美しさを共有できる媒体の1つがSNSだと思っているといい、以前と変わらず毎日投稿するようにしているということです。

普段から優しい声でプラネタリウムの解説をする満天星の学芸員・宇佐美拓也さん
普段から優しい声でプラネタリウムの解説をする満天星の学芸員・宇佐美拓也さん 出典: 朝日新聞社

インターネットやSNSで「能登」と調べると、復興などの明るいニュースもありますが、まだまだ震災関連の暗いニュースが多いです。

「そんな中でも能登の星空の写真を見ていただき、『能登ではこんな美しい星空が見られるんだ』『星空の写真に癒されたな』と思ってもらえるとうれしいです。いつか能登にお越しいただき、星空に癒される人が増えてくれればと思います」

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