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#15 宇宙天文トリビア
70年に一度の〝ポン・ブルックス彗星〟接近 おすすめの観測方法は
尾を引いて、ほうきのように見える彗星(すいせい)。70年周期で太陽に近づいてくる「ポン・ブルックス彗星」という彗星が今、全国各地で観測されています。4月中旬までは観察のチャンスだそうですが、どうやって観察できるのでしょうか?
ほうき星とも呼ばれる彗星。核と呼ばれる彗星本体は、氷やドライアイス、岩などが混じっており、「汚れた雪だるま」のような存在です。太陽に近づくたびに熱で溶けてガスなどが噴き出し、尾を引いたように見えます。
彗星は楕円の軌道を描いており、はるか遠くから太陽の近くまで接近し、また遠ざかっていきます。
そんな彗星のうち、「ポン・ブルックス彗星(ポンス・ブルックス彗星)」は、約70年の周期で太陽に近づく彗星です。
1812年にフランスの天文学者ポン(ポンス)によって発見された彗星で、その後、一時姿を消していたそうですが、1883年にアメリカの天文学者ブルックスによって再発見されました。そこから、「ポン・ブルックス彗星」という名前が付けられています。
このポン・ブルックス彗星は4日ごろにいったん明るくなり、3等級ほどの明るさになったという報告もあり、全国からSNSなどで観測報告が相次ぎました。
明石市立天文科学館の館長の井上毅さんは、姫路市の郊外で4日に彗星を撮影しました。
「久しぶりに明るい彗星で、双眼鏡でも容易に確認できました。これまでは、緑色のイオンの光が印象的でしたが、4日の彗星は黄色味がかったダストの色が目立ちました。このような変化が彗星の面白さです」と話します。
ただ、国立天文台の渡部潤一さんは、「一時的に明るくなっただけなので、今後はもともとの4〜5等級に戻ると思います」と予想しています。
日本では4月中旬まで観察できそうで、双眼鏡を使い、日没後の西の空の低い位置を探すといいそうです。
低い空までよく見渡せる場所がおすすめで、今後は木星の近くを通るので、木星を目印に探すと見つけやすいといいます。
今年は10月にも「紫金山・アトラス彗星」という彗星が接近します。井上さんも「ポン・ブルックス彗星よりも明るくなると予想されているので、こちらも楽しみです」と期待しています。
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