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IT・科学

このワインは寝かす?飲み頃はいつ? 2千本データ化、検索できます

ヴィンデージワインのECサイト

初心者には難しいワイン選び
初心者には難しいワイン選び 出典: Getty Images ※画像はイメージです

目次

寝かせた方がいい?早く飲んだ方がいい――? ワインの飲み頃に悩んだことはありませんか。ヴィンテージワインのECサイトが、〝飲み頃検索サービス〟を始めました。開発のきっかけは、「飲み頃データ」を分析していたエンジニアのひと言でした。(朝日新聞デジタル企画報道部・篠健一郎)

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社員の半分がエンジニア

ECサイトを運営するのは、埼玉県朝霞市にあるヴィンテージワインの専門店「和泉屋」です。創業は1959年、社員は社長を含め6人。うち3人がエンジニアで、デジタル化に力を入れています。

「和泉屋」の実店舗
「和泉屋」の実店舗 出典:年号ワイン.com

「飲み頃検索」の開発は、アルコールが飲めないエンジニアが、2023年春ごろに社内のソムリエに聞いた質問がきっかけでした。

「飲み頃期間の前半と後半にあるワイン、どちらがおすすめですか」

同社によると、ヴィンテージワインの飲み頃は製造から5年~20年、長くて50年ほど続くものもあります。ソムリエは、その飲み頃を一本ずつデータとして登録していました。

ソムリエの答えは「どちらもおいしい。味や色、香りには大きな違いが出てくるけど……」。

そのやりとりを聞いていた栗原周平社長は、以前から、原産地と製造年だけを見てワインを選ぶ人が多いと感じていました。製造から時間が経っているワインを見た客から「飲めますか?」と、何度も聞かれてきたからです。

13段階に独自分類

工学部機械工学科出身で、早くからサイトのデジタル化を進めてきた3代目の社長は、二人の会話を聞いて「データを活用し、ラベルに書かれていない熟成度合いを段階に分けられないか」と提案。期間に幅があり、その間でも味わいが変わる「飲み頃」の要素をワイン選びに採り入れようと考えました。

和泉屋が運営するECサイト「年号ワイン.com」の「飲み頃検索」
和泉屋が運営するECサイト「年号ワイン.com」の「飲み頃検索」 出典:年号ワイン.com

ソムリエとワイン評論家による、飲み頃の開始と終了時期の予想を組み合わせて、約2千本の飲み頃をデータベース化。それを元に、「飲み頃前」「飲み頃」「古酒」と大きく三つに分けた上で、計13段階に独自分類しました。

「フレッシュさが好きな方や、若さ・個性・力強さを堪能したい時に」「バランスが良い。ワインが主役の宴に」などと各段階の味わいを言語化。利用シーン、ワインにどれぐらい通じているかを示す「ワイン通レベル」などと合わせてまとめました。昨秋、自社のECサイトで、「飲み頃検索」機能を始めました。

「飲み頃検索」では各段階の味わいなどをまとめている
「飲み頃検索」では各段階の味わいなどをまとめている 出典:年号ワイン.com

「ワインの一生を楽しんでほしい」

ワイン選びでは、その専門家であるソムリエがいることもあり、これまであまりデータは活用されてこなかったそうです。栗原社長は、良質なワインができた「当たり年」やワイン評論家の評価なども加味して、検索機能の精度をさらに高めたいと考えています。

和泉屋の店舗ではヴィンテージワインと会社の歴史を重ね合わせた年号のタイムラインを掲示している
和泉屋の店舗ではヴィンテージワインと会社の歴史を重ね合わせた年号のタイムラインを掲示している 出典: 和泉屋提供

「長命なワインは1年単位で熟成が進み、人の成長と同じようなスピードでボトルの中で変化します。ワイン選びに『時間軸』を採り入れることで、人の人生と同じような、ワインの誕生から最後までの『一生』を楽しんでほしい」と話しています。

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