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「深海のアイドル」人気のメンダコって何? 沼津港深海水族館で展示
名前の由来は…
「深海のアイドル」と言われ、SNSでも人気のメンダコが、沼津港深海水族館(静岡県沼津市)で展示されています。実はとっても繊細で飼育が難しい生き物なのだそうです。飼育展示マネージャー・塩崎洋隆さんに話を聞きました。
メンダコは、日本周辺の深海(水深200~600mほどの場所)に暮らすタコの仲間。横から見ると、パラシュートのような形をしています。色はオレンジがかった赤で、上から見ると丸い形状になっているそうです。
「諸説ありますが、メンダコの名前の『メン』は、昔の子どものおもちゃの『メンコ』から来ていると言われています。上から見るとメンコのように見えるんです」と塩崎さんは話します。
大きいもので、直径20センチほど。重さは直径15センチのもので200gほどだといいます。2019年に同館でメンダコの孵化(ふか)に成功した時は、赤ちゃんの大きさは直径1センチほどだったそうです。
足は8本ありますがマダコに比べて短く、通常タコには2列ある吸盤が1列で吸着力が弱いといいます。
タコの仲間は吸盤の配列でオスとメスの区別ができるそうで、吸盤の大きさや並びが不ぞろいだとオス、きれいに同じ大きさの吸盤が並んでいるとメス。「1列しかない分、オスとメスの判断はつきやすい」と塩崎さんは話します。
タコですが墨袋はなく、墨を吐けないのも特徴の一つです。
水槽で浮遊する姿がかわいらしいことから、「深海のアイドル」「深海のUFO」とも呼ばれ、同館でも人気No1というメンダコ。しかし、とても繊細で飼育が難しく、メンダコが見られる水族館は珍しいといいます。
塩崎さんは、「非常に体が柔らかくて、網で捕獲するときに体が傷つきやすい生き物です。飼育下では水流や水質、光にもすごく敏感で、当館で飼育する際は暗い水槽にしています。今のカメラはフラッシュ撮影でなくてもフォーカスライトが光るものもあり、お客様には一切の撮影をご遠慮いただいています」と説明します。
寿命についてはよくわかっておらず、同館で最も長く飼育していたのは52日だったそうです。
ひらひらと動く耳のようなヒレは、水中でバランスを取るための一種の感覚器官といわれています。泳いでいる姿がかわいいといわれますが、実は「浮遊している状態は何かしらストレスを感じて緊張している状態」だそうです。捕獲して水槽に搬入した直後は泳いでいるといいます。
塩崎さんは「メンダコは底にペタンとしているのが一番いい正常な状態。僕はそっちのほうが好きです」と話しています。
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