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水族館で「おいしそう」と言っちゃダメ…ではない!飼育員のXが話題
むしろ「褒め言葉」なのだそうです!
水族館で魚を見たとき、「おいしそう」と口にしたことはありませんか? 筆者は何度となく自然とその言葉が出ていましたが、「もしかして不謹慎だったかも」と迷いました。魚を食べる場ではありませんし、愛情を込めて飼育する人たちがいるからです。そんなことを考えていたある日、広島の水族館がSNSに投稿した内容に釘付けになりました。「おいしそう」は、スタッフにとって「褒め言葉」だというのです。どういうことなのでしょうか?
1月中旬、X(旧Twitter)にこんな投稿がありました。まるで、筆者の心が見透かされたかのような内容です。
水族館で「おいしそう〜」って言ったらダメって思ってませんか?
— マリホ水族館 (@marihoaquarium) January 19, 2024
「おいしそう〜」は私たちスタッフにとっては【おいしそうに見えるくらいちゃんとキレイに水槽が管理できてる】ってことで褒め言葉です✨
素直に言って大丈夫です! pic.twitter.com/yHrey9EhHQ
投稿には「これで心置き無く『おいしそう~』って言えます」「『飼育員さんに申し訳ない…』って思ってたから助かる!」「良かった…ついでてしまう言葉なので…」といったコメントが寄せられ、8000を超える「いいね」がついています。
投稿したのは、広島市西区のショッピングモールにある「マリホ水族館」です。
2017年にオープンした約610平方メートルの小さな水族館で、展示数は約150種5000匹。2023年9月に入館者150万人を突破しました。
飼育員担当チーフの金丸仁美さんは、投稿について「お客様が水槽の前を通るとき、『おいしそう』『そんなこと言っちゃダメだよ』とやりとりしていることが多くて、みなさんそう思っているのかなと疑問を持ったことがきっかけでした」と話します。
「おいしそう」という声が聞こえるのは、特に瀬戸内海の海の幸をテーマにした「あふれる瀬戸内の命」の水槽の前です。カタクチイワシの群れやマダイなど馴染みのある魚が泳いでいるといいます。
「そんなこと言っちゃダメ」と聞くたびに、「言ってもらっていいんですよ」と伝えていたという金丸さん。Xに投稿したところ、「意外と反響があって、やはりみなさん思っていたことなんだなと発見になりました」と振り返ります。
愛情をこめて飼育しているスタッフさんたちに申し訳ない気持ちがありましたが、言っていいのでしょうか……?
金丸さんは「魚に対してもちろん愛着はありますが、『おいしそう』と感じる気持ちは、普段から海の幸を食べて生きている私たちにとって当たり前の感情だと思うので大丈夫です」と笑います。
投稿で「褒め言葉です」とポジティブなメッセージを載せたことについては、「例えば、魚たちが泳いでいる水槽の水が汚かったり、コケがたくさん生えていたり、泳ぎが生き生きしていなかったりしたら『おいしそう』と思えないのではないのでしょうか。『おいしそう』と思ってもらえる水槽を作り出せていて、認めてもらえているようでありがたいと思いました」と話します。
水槽によって水の入れ替えや掃除の間隔は違いますが、例えばカタクチイワシの水槽は毎日掃除をしてきれいに保っているそうです。
常設の展示以外にも、半年に1度更新される特別企画展や毎月のように変わる季節の展示があるマリホ水族館。
5月12日(日)まで開催中の「おかしな名前のいきもの展」は、金丸さんが企画して「ちょっと変わった名前の生き物を30種類くらい集めている」そうです。
「『おかし』をスイーツとかけて、『パンケーキリクガメ』や『コンペイトウ』という魚も展示しています。ぜひ多くの方に見ていただき、名前から楽しんでいただきたいと思います」
マリホ水族館は、賃貸借契約の終了に伴い2024年12月1日での閉館が決まっています。
「私たち自身もさみしいです。広い海から水族館に来てくれた魚たちを、責任をもって飼育していきたかったという気持ちがあります」と金丸さん。
「お客様へは、最後の最後まで『なくしてしまうなんてもったいない』と感じてもらえる施設でありたいと、スタッフみんな思っています」と話しています。
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