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珠洲の小学校、再開されたけど…給食はアルファ米や先生お手製スープ

校長先生お手製のスープやアルファ米の給食を食べる子どもたち
校長先生お手製のスープやアルファ米の給食を食べる子どもたち 出典: 朝日新聞社

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能登半島地震から1カ月以上が経ち、被災地では学校の再開も進んでいます。同級生と机を並べ、授業を受けられることを喜ぶ児童も多いですが、断水でいつも通りの給食が食べられなかったり、2次避難してリモートで授業を受けたりする子どももいます。授業が再開された石川県珠洲市にある若山小学校を訪ねてみました。

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断水続き不便な学校生活

「いただきまーす!」

2月上旬、石川県珠洲市若山町の市立若山小学校の教室では2年生4人が笑顔で給食を食べていました。

珠洲市内では今でも断水が続き、普段のような給食は支給されないままとなっています。

時々、ボランティア団体や自衛隊による炊き出しがあるものの、基本的には市教委から支給されるアルファ米やペットボトルの水、フルーツ、ヨーグルトなどを給食として提供しています。

記者が取材した日の給食メニューは、アルファ米の五目ごはん、バナナ、ヨーグルトに加え、山岸多鶴子校長のお手製コンソメスープ。ソーセージや野菜を地元のスーパーで買ってきて校内で調理したといいます。

断水が続き、給食はまだアルファ米やヨーグルト、フルーツなどが配られる
断水が続き、給食はまだアルファ米やヨーグルト、フルーツなどが配られる 出典: 朝日新聞社

2年生の水口泰志さんは「スープが温かくておいしかった。今は牛乳が配られないから、早く飲めるようになったらうれしい」と話します。

ただ、アルファ米の給食も多く、「飽きてきた…」とこぼす子どもも少なくないのが現状です。

水道の給水も満足ではなく、仮設トイレを使ったり、手を除菌シートでふいたりと、不便な学校生活が続いています。

教室と避難所をしっかり区別

若山小では1月15日に学校が再開しました。幸い校内に被害は少なく、児童が使う机や椅子も無事でした。

3学期の授業は少し遅れ気味だそうですが、なんとか今年度中には全てのカリキュラムを終えることができるそうです。

珠洲市では昨年5月にも震度6強の地震を観測しています。その地震後、棚のガラス戸をすべて外し、理科室の実験器具や家庭科室の食器も一番下の棚に移動させるという対策をとりました。

その対策が奏功し、今回の地震発生からは2週間で授業を再開することができたそうです。

今、若山小は避難所としても使われています。1、2階の教室は避難者のために開放され、児童は3階の教室で授業を受けます。

山岸校長は「避難所と学習の環境をしっかり分けることで、子どもたちが勉強に集中できる環境をつくっています」と説明してくれました。

2次避難先や親戚の家からリモートで授業に参加する子どもたちも
2次避難先や親戚の家からリモートで授業に参加する子どもたちも 出典: 朝日新聞社

ただ、全校児童22人のうち、いま自宅や小学校の避難所から登校しているのは14人のみ。ほかの児童は2次避難先や、遠く離れた親戚の家などからリモートで授業を受けています。
 
リモートでは満足に授業を受けられないことも課題です。体育や図工といった一部の授業には物理的に参加できません。

オンラインでつないだまま、縄跳びの回数を数えてもらったり、マット運動のアドバイスをしたりするといった方法に限定されてしまっているといいます。

1、2年生の担任の石崎和也先生は、「オンラインで参加する子どもたちには、こちらからできることが限られてしまっています」と心配します。

競技かるたが盛んな北陸ならではの百人一首を学ぶ授業でも、リモートで参加する子どもたちは見ているだけとなってしまっていました。

百人一首をする子どもたち
百人一首をする子どもたち 出典: 朝日新聞社

メンタルケアも課題

若山小の子どもたちは授業中や休み時間も元気に過ごしていて、2年生の駒田佳澄実さんは「みんなと会えて、一緒に勉強できて楽しい」と笑顔を見せてくれました。

一方、以前のような日常が全員に戻ってきたわけではなく、これからも避難所での生活が続く子どもたちもいます。

1月下旬に若山小では、児童にメンタルケアのアンケートをとったところ、「友達と会えて楽しい」といった回答も多い一方で、「地震の揺れが怖い」「家が崩れないか心配」といった声もありました。

心身の不調を訴える児童も出てくることがあるため、若山小ではスクールカウンセラーの派遣が始まり、面談をしているそうです。

山岸校長は「児童が楽しそうに過ごしているので安心していますが、長期的にはどうなるかわかりません。職員が健康面や様子をよく観察するようにしています」と話しています。

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