そんな中、規模を拡大しているのが、いわゆる「暗闇フィットネス」の一つである
FEELCYCLE(フィールサイクル)です。
FEELCYCLEでは、屋内のクラブのような空間で流れる音楽に合わせて、インストラクターの指示で行う「コリオ」と呼ばれる振り付けの動作をしながら、フィットネスバイクを漕ぎます。コリオには腕立て伏せや腹筋などの要素も含まれ、有酸素運動と筋トレ両方が可能なエクササイズです。
1レッスンは45分間、FEELCYCLEを運営するFEEL CONNECTION社はアフターバーン(運動後も継続するカロリー消費効果)込みで最大800kcalをうたい、運動効率の良さが特徴です。
東京・銀座の1号店開店から11年、現在、全国に約40店舗のスタジオを構えます。2022年6月には銀座京橋に、2023年4月には京都河原町に、それぞれ大型スクリーンを設置し映像に合わせてエクササイズをする新店舗を出店しました。
同社によれば、会員数は2023年10月時点で都度利用を含め約18万人に上るといいます。
2020年時点では、同社は利用者数を10万人としており、コロナ禍を経て8万人を積み増したことになります。幽霊会員の問題についても、FEELCYCLEでは「8割以上の会員が月に1〜2回は利用するなど、かなりアクティブ」(広報担当者)だということです。
人気の大きな理由の一つが、FEELCYCLEに所属する約300人のインストラクターです。レッスンの参加者を、コリオの指示や投げかけるメッセージ、歌、ダンスなどで励まし、盛り上げるインストラクターは、舞台に立つアーティストやモデルのような存在です。
FEELCYCLEにおいては、インストラクターを中心としたファンダム(ファンによる文化)が形成され、会員のアクティブ率を上げるだけでなく、インストラクターが同社が販売するジムウェアやプロテインといった物販をすることにより、客単価が上がるという効果もあります。
いわばフィットネス業界の“推し活”が、コロナ禍でも経営を支え、活路を拓いたとも言えるでしょう。