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#8 宇宙天文トリビア

北海道で見えたオーロラ、なぜ赤かった? 日本書紀にも〝赤〟の記録

北海道美幌町で撮影された赤いオーロラ
北海道美幌町で撮影された赤いオーロラ 出典: KAGAYAさん撮影

目次

12月初旬に、北海道の各地でオーロラが観測されました。SNSにはたくさんの写真が投稿されていましたが、想像していたような緑色ではなく、赤いオーロラ…。なぜ、北海道で観測されたオーロラは赤かったのでしょうか。実は、日本の歴史書にも赤いオーロラの記述があるんです。(朝日新聞デジタル企画報道部・小川詩織)

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肉眼でも見えるほど

12月1日夜、北海道各地でオーロラが観測されました。肉眼でも見えるほどの赤いオーロラだったそうです。

オーロラとは、太陽から飛来した電気を帯びたプラズマ粒子が、地球の大気に飛び込んで、大気中の酸素原子や窒素分子とぶつかって光る現象です。

当日、SNS上には撮影されたオーロラの写真がたくさん投稿されていました。写真家のKAGAYAさんも北海道で撮影をした1人です。

ノルウェーで撮影したオーロラ
ノルウェーで撮影したオーロラ 出典: KAGAYAさん

KAGAYAさんは、11月29日朝に太陽でフレアという爆発現象が発生したことを知りました。

米航空宇宙局(NASA)のシミュレーションを見て、「12月1日に北海道でもオーロラを見ることができるかもしれないと思い、仕事の予定を変更し、北海道に行ってみることにしました」と話します。

1日朝に天気予報をチェックし、撮影場所として星空を撮影したことがある美幌町の美幌峠を選んだといいます。

一晩中待ってみようと北の空を見ていると、午後8時半ごろ、淡く広がる赤い光が見えたそうです。

「ピーク時には肉眼でも赤いと感じました。日本からオーロラを見られるチャンスは貴重なので非常にワクワクしながら夢中でシャッターを切りました」

赤い部分は高度が高い

まさに、緑色のカーテンが揺れるようなイメージがあるオーロラですが、今回北海道で観測されたオーロラは赤色でした。なぜ、赤だったのでしょうか。

国立極地研究所の片岡龍峰准教授によると、オーロラの赤い色の部分は、地上から高度250〜400kmと高い部分にあたるといいます。よく写真などで見る緑色は、高度100〜200kmほどのオーロラの下の部分が見えているということになります。

つまり、北海道という緯度が低い場所から見ると、高い位置にあるオーロラの赤い部分だけが見えるということです。

片岡さんは「今回は北海道の広い範囲で、肉眼でも見えたことが特徴です。2003年以来のことではないかと思います」と話します。

北極海上空のオーロラ
北極海上空のオーロラ 出典: KAGAYAさん

日本書紀や明月記にも登場

実はこういった赤いオーロラに関しては、日本の古い歴史書や日記にも記述があります。

日本書紀には、日本最古とされる天文記録として、「天に赤気(せっき)有り。長さ一丈余なり。形雉(きじ)尾に似れり」と記されています。

この記録について、片岡さんらの研究チームが2020年に「扇形オーロラの記録」と結論づけています。

また、鎌倉時代の藤原定家の日記「明月記」にある「赤気」もオーロラだったことがわかっていて、昔から日本で赤いオーロラが観測されていたことになります。

片岡さんによると、今年と来年の冬にもオーロラがよく見られそうとのこと。北欧やカナダといった高緯度だけではなく、北海道でもまた同じようにオーロラが見られる可能性があるということです。

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