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IT・科学

1万6千人が待つ臓器移植「前向きなイメージにしたい」主催者の願い

移植を受けた子どもたち、こんなに元気に…

臓器移植の患者や家族たちをサポートしている非営利団体「トリオジャパン」が開催したイベント。移植を待つ患者さんとZoomで会場をつなぎ、エールを送ったり、移植を受けた子どもたちとボランティアの高校生たちが交流したりする時間もありました
臓器移植の患者や家族たちをサポートしている非営利団体「トリオジャパン」が開催したイベント。移植を待つ患者さんとZoomで会場をつなぎ、エールを送ったり、移植を受けた子どもたちとボランティアの高校生たちが交流したりする時間もありました 出典: トリオジャパン提供

目次

笑い声を響かせつつ、走り回る子どもたち。誰が移植を受けた子なのか、はた目には分からない――。日本では、およそ1万6千人が臓器移植を待っていますが、受けられる人は年間数百人ほどにとどまっています。「臓器移植のイメージを前向きなものにしたい」と開かれたイベントに参加しました。(withnews編集部・水野梓)

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移植を待つ患者さんへ送るエール

イベント「THANKS FOR LIFE 2023」は11月11日、大阪府吹田市の万博記念公園で開かれました。臓器移植の患者や家族たちをサポートしている非営利団体「トリオジャパン」が主催です。

臓器移植を待つ患者さんやその家族を励まそうと2019年から始まり、コロナ禍での中断を経て、今回で3回目を迎えました。

心臓移植を待っている子へ、イベント会場と病室をZoomでつないでエールを送ります。現地の会場には、患者のお父さんとお母さん・お姉ちゃんが参加していました
心臓移植を待っている子へ、イベント会場と病室をZoomでつないでエールを送ります。現地の会場には、患者のお父さんとお母さん・お姉ちゃんが参加していました 出典: 水野梓撮影

万博記念公園からほど近い、大阪大病院や国立循環器病研究センターの病室などとZoomをつないで、移植を待っている患者さんにエールを送ります。

移植を受けた子どもたち、こんなに元気に

日本臓器移植ネットワーク(https://www.jotnw.or.jp/data/)によると、10月末現在で1万5988人が臓器移植を待っています。

コロナ禍では臓器移植の件数が激減してしまいましたが、昨年はネットワークを介して108件の臓器提供があり、心臓や腎臓など455件の臓器移植につながりました。

今年は10月末現在で、すでに臓器提供が120件・移植は464件となっています。

いずれも昨年より増えているとはいえ、いまだに特に子どもの臓器提供の件数は少なく、海外での移植を検討せざるをえない現状もあります。

海外での渡航移植を目指して「救う会」をつくって募金を呼びかけるケースもありますが、医療費の高騰や円安の影響で、いま必要な渡航費用は5億円にものぼっています。

トリオジャパン会長の青山竜馬さんは「医師が家族に臓器提供の選択肢を提示しづらかったり、そもそも臓器移植の体制が整っていなかったり……。日本では『臓器を使ってもいいよ』という方と、『移植を受けて生きたい』という人が、つながりにくい状態が続いています。待っている患者さんは本当に心細い思いをしているかもしれません」と指摘します。
移植者やその家族、支援者たちが参加したイベント
移植者やその家族、支援者たちが参加したイベント 出典: トリオジャパン提供

イベントには、移植を待つ患者の「希望」になればと、臓器移植を受けた子どもたちも参加します。

青山さんはイベントを通じて、「移植を受けた子たちが、こんなに元気になるといろんな人に知ってもらって、移植のイメージを前向きなものにしていきたい」と話します。

ドナーの方につないでもらった命

ボランティアの高校生たちが用意したゲームに参加して遊ぶようすは、どの子が移植を受けた子なのか、分からないほどにぎやかです。

3年前に心臓移植を受けた園田春輝くん(手前)。明星高校と大阪女学院の高校生たちに手ほどきを受けながら射的で遊んでいました
3年前に心臓移植を受けた園田春輝くん(手前)。明星高校と大阪女学院の高校生たちに手ほどきを受けながら射的で遊んでいました 出典: 水野梓撮影

心臓移植を受けた中学1年生の瑛心(えいしん)くんは、入院してから移植まで4年ほどかかりました。

瑛心くんは「移植を受ける3カ月くらい前は、体調が本当に悪くて『もう死ぬかも』って思うこともあった」と振り返ります。

心臓移植を受けた瑛心くん(中央)
心臓移植を受けた瑛心くん(中央) 出典: 水野梓撮影

今やりたいことを尋ねられると、「勉強が好き。気象予報士になりたい」と夢を語ります。

母のみどりさんは「ドナーの方につないでいただいた命。いかに大切に、健康に過ごしていくか、病院にサポートしてもらいながら考えています」と話します。

「移植を受けられたら、こんなに元気になるということは知ってほしいです」

イベントを開催したトリオジャパンの青山さんは「今回、参加してくれた高校生たちと子どもたちが交流するようすを見て、希望を感じました」とほほえみます。

「トリオジャパンの活動目標は、移植を当たり前の医療にして、臓器を提供したい人ともらいたい人が結ばれる社会をつくることです。まずは多くの人に、臓器移植について知ってもらいたいと思っています」と話しています。

     ◇

トリオジャパンでは、11月19日までチャリティーグッズ(https://jammin.co.jp/c/charityfor/thisweek)をオンラインで販売しています。
トリオジャパンへのホームページはこちら(https://www.trio-japan.jp/)。

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