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#19 #就活しんどかったけど…
お金かかる就活、「交通費支給された」は6割 企業が支給する狙いは
面接やインターンのための交通費や宿泊費、スーツ代、書籍代――。就職活動には少なからずお金がかかります。一方で、面接やインターンの交通費の一部を支給する企業もあります。就職情報会社「マイナビ」の調査を元に、企業側の狙いなどを聞いてみました。
2024年3月卒業予定の大学生・大学院生を対象にマイナビが行った活動実態調査(6月26日~30日、有効回答数1881人)によると、就活生が3~6月にかかった就活費用の累計額は、3万934円だったことがわかりました。
この就活費用というのは、面接やインターンを受けるための交通費や宿泊費、スーツ代、書籍代などです。
この就活費用ですが、コロナ前の2019年卒の学生では10万6647円、20年卒は9万9277円で、その時と比べると3分の1ほどに下がっています。これは、コロナ禍でオンラインでの面接や説明会が増えたことで、交通費がかからなくなったことが理由だということです。
とはいえ、やはり学生にとって就活にかかる費用を捻出するのは大変なこと。実際にwithnews編集部にも「遠方まで行かないといけなかったのに交通費が支給されなかったのはきつかった」という意見が届いていました。
企業側でも、多種多様な人材を集めるために、交通費などを一部支給する企業も出てきています。
就職活動で、「応募した企業から内々定を得る前に交通費や宿泊費を支給されたことがある」と答えた学生は全体の約6割(59.4%)でした。
どのような機会に支給されたかについては、「最終面接を受けるとき」が71.7%で最も多く、次は「インターンシップ・仕事体験に参加するとき」が45.5%、「2次面接~最終前面接を受ける時」が34.1%、「工場見学・研究所見学をする時」が16.4%、と続きます。
支給された金額の平均は、理系学生が4万5084円、文系学生が3万1003円となっています。
理系学生の方が金額が高い理由について、マイナビの担当者は「理系学生はインターンや企業説明会で実際に研究所や工場を訪れることが多いです。その研究所や工場は地方にあることも多く、企業側が学生へ交通費を支給しているため、理系学生のほうが金額が高くなっていると思います」と説明します。
地方に住んでいる学生は就活の交通費・宿泊費がかさみがちです。
マイナビでは「地方学生や遠方からの学生の応募を増やすために、採用活動の中で工夫していること」について、企業側へ尋ねた回答もまとめています。
「説明会はWEB、面接はWEBか対面を選択できるようにし、対面の場合は交通費を一部支給している」(ソフトウェア・通信業)
「新幹線駅と会場間での送迎をしている」(商社)
「WEBや都市部での面談の機会を増やしている」(建設業)
「二次面接の交通費を2万円を上限に支給」(製造業)
「職場見学で交通費を支給している」(サービス・インフラ業)
このように企業側も、就活生の交通費支給についての工夫をしていることがわかっています。
企業側が交通費を支給する狙いについて、マイナビの担当者は「『遠方から来る学生の負担を減らす』『応募の母集団を増やすため、遠方からの学生でも応募しやすいようにする』『途中選考の辞退を減らす』という理由があると思われます」と分析しています。
他にも、交通費ではないですが、就活学生に奨学金を出す企業もあります。
デザイナー志望の学生は、選考時に「ポートフォリオ(作品集)」の提出を求められることが少なくありません。ただし、ポートフォリオを製作するにも、数万円の費用がかかることも。
「面白法人カヤック」(鎌倉市)では、その費用を審査の評価に応じてギフト券として支払う取り組みをしています。ホームページでは、「ポートフォリオをつくるためにバイトをするくらいなら、その時間を就活やデザインに使ってください」と記しています。
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