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連載

#16 #就活しんどかったけど…

履歴書代わりの「エゴサ」、ゲームで選考…ユニーク採用の深い理由

「僕は採用活動を通して、普通のコミュニケーションがしたいだけ」

新たに「推しプレゼン採用」を始めた面白法人カヤックに、聞きました。
新たに「推しプレゼン採用」を始めた面白法人カヤックに、聞きました。 出典: カヤックの採用キャンペーンページから

目次

フルマラソンの完走を条件に書類選考を免除したり、エントリーシート代わりに、SNSで推しへの愛をプレゼンする採用方法を取り入れたりすることで、志願者の心理的ハードルを採用側から下げる工夫をしている会社があります。その経緯や効果を聞きました。

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就活しんどかったけど…

以前は普通の採用だった

「採用キャンペーン」として、就職希望者の採用活動で、ユニークな視点を取り入れているのは、鎌倉市に本社を置くコンテンツ制作などを手がける「面白法人カヤック」です。
カヤックでは、2008年ごろから「採用キャンペーン」を始めました。採用キャンペーンの対象は、基本的に新卒・中途いずれもを想定しています。

キャンペーンはたとえば、ウソのエントリーシートで書類選考を行う「エイプリル採用」(2013年〜2016年4月1日)、本社が置かれている鎌倉市の移住先候補となる物件を内覧しながら面接を行う「内覧採用」(2017年で終了)など。
今年始まったものは、フルマラソンの完走を条件に書類選考を免除する「42.195km採用」、エントリーシート代わりに、SNSで推しへの愛をプレゼンする「推しプレゼン採用」です。

「以前は普通の採用だったんです」と話すのは、採用担当で、ゲームエンタメの事業もてがける、みよしこういちさん。

同社は、クライアントワークとしての広告事業や、自社独自のサービスを開発する事業などを手がけています。採用キャンペーンは、そのノウハウを生かした結果なのだと、みよしさんは説明します。
「根底には、『おもしろくなさそうなものをおもしろくする』というマインドがあります。広告的な手法を自社で持っているからこそ、採用においても自分たちの会社のおもしろさを伝えられるのでは、という視点で始めたものです」

「42.195km採用」も今年から。
「42.195km採用」も今年から。 出典:カヤックの採用キャンペーンページから

エントリーシートで書き切れないものを

中でも、エゴサーチの検索結果が履歴書になる「エゴサーチ採用」と、ゲームへの情熱で選考を進める「いちゲー採用」は現在も継続している採用方法です。

2015年から続けている「エゴサーチ採用」の応募者は、これまでに3千人にものぼります。

応募方法は、自分の名前やブログ、手がけた作品の名前など、自分自身のことがわかり、かつ、検索エンジンでトップに表示されるワードをもって応募するものです。履歴書は不要で、検索結果のみをもって書類選考されます。

「エゴサーチ採用」の狙いについて、みよしさんは「エントリーシートだと、自分の良さを伝えきれないし書ききれないこともあると思います。すでに自分の中にあるものをどう出してもらうかということを考えてのものです」と話します。一つのワードだけで応募できるということで、応募のハードルを下げることも意識しています。

2017年から取り入れている「いちゲー採用」は、同社がゲーム開発事業も手がけることなどから取り入れているシステムで、「やり込んだ」ゲームについて綴ったり、実技をしたりする方法があります。

「たとえば、『テニスをがんばって全国で1位になりました』っていうのと、『スマブラ(任天堂のゲーム「大乱闘スマッシュブラザーズ」)で全国1位になりました』というのは、文章の構造としては一緒なのに、テニスの方が良しとされる印象はあると思う」と話すみよしさん。
「でも、固有名詞で上下がつくこと自体がおかしい。がんばったことは別に何でもいいと思っているけど、こちらから『それでいいんですよ』といわないと応募者は書きにくいだろうから、作ったものです」。

2017年から取り入れている「いちゲー採用」
2017年から取り入れている「いちゲー採用」 出典:カヤックの採用キャンペーンページから

「自然体」で「普通のコミュニケーションがしたい」

同社の採用方針で一貫しているのが、「いか自然体でエントリーシートを書いてもらったり、面接を受けてもらったりできるか」。

みよしさんは「準備をして就活することは悪いことではありません。でも、働くときは『素』を出してくれた方が僕たちの会社では働きやすいです」

みよしさんは「就活がhow toでするものになってしまっているように感じる」と課題意識を持っています。
「『失敗したくない』という気持ちから、『受かりたい=きちんと答えたい』になってしまうと、なかなか僕たちが見たいところが見えてきません」

「受かりたい会社があって、『しっかり考えたものを準備通りに伝えたい』というのも人生。それを否定しているわけではない」とした上で、「たとえきちんと答えられなくても、僕はちゃんと応募者のことを見るのになと感じています。僕は採用活動を通して、普通のコミュニケーションがしたいだけです」

その思いが採用キャンペーンの裏付けになっています。「普通のコミュニケーションをするためには、採用側も『用意されたものじゃないもの』が出てくるように工夫しないといけないと思っています」

面白法人カヤック=鎌倉市
面白法人カヤック=鎌倉市

就活は青春だ

最後に、自分の「売り」がわからない就活生へのメッセージを聞きました。

みよしさんは、「『一番がんばったことはなんですか?』と聞かれるのは苦しいですよね」と共感を示します。
「僕は、自分がお金か時間をたくさんかけたものを言語化するのがいいと思います」

「そこからなにを学んだのかがみえるといいです。もし自分が何も学んでいないと思っていたとしても、友達に話したりしていくうちに何かが見えてくるかもしれません」

「就活は青春だと思う」と話すみよしさん。
「たくさんの同世代と一緒に一つのイベントをするという意味では、就活は人生最後のライフイベントだと思います。ほぼ初対面の大勢の同世代と人生の話をしあうことなんて今後めったにありません。『青春だ!』と思ってやってみてください」

<体験談お寄せください> 新企画「就活しんどかったけど……」では、コロナ禍で変化もあった就活の「いま」を見つめ直し、よりよいあり方を探っていきます。

大学在学中、または入社3年目くらいの方、就活の体験を聞かせていただけませんか?

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