ネットの話題
バス運賃箱に人毛が使われてる? 「はい、現在はインド人の毛髪を」
採用に至った経緯を取材しました
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採用に至った経緯を取材しました
バスの運賃箱に人の髪の毛が使われているらしい――。先日、SNS上でそんな話が注目を集めました。大手メーカーを取材すると「約50年前から人毛を使用しています」とのこと。採用に至った経緯を取材しました。
岐阜県本巣市に本社がある「レシップ」。
運賃箱や押しボタン、整理券発行器、行先表示器などバス運行に必要な電装機器を作っている会社です。
「走行距離に応じて運賃を表示したり、乗ったバス停に合わせて正しい運賃を収受したりと、システム的に連動する必要があります。開発から製造までを一貫して手掛けていることが強みです」
そう話すのは、レシップホールディングス経営管理部の林紗也加さん。
バス業界では名前の知られた会社で、運賃箱のシェアは6割超(3月末時点、自社調べ)。
東京23区内を走る路線バスの運賃箱はすべてレシップの製品なんだそうです。
林さんによると、バスに運賃箱が登場したのはワンマン運転がはじまった1960年代から。
券売機や自販機などのように硬貨を1枚ずつ投入していたのでは、定時運行の妨げになりかねません。
そうした事情から、硬貨と整理券を一緒に投入するタイプが一般的になったのではないかと考えられるそうです。
そんな運賃箱が先日、SNS上で「インド人の髪の毛が使われている」と話題になりました。
林さんに本当かどうかを尋ねると、こんな答えが返ってきました。
「本当です。当時を知る社員が社内におらず、正確なことはわからないのですが、開発当初の1970年ごろから人毛を使用していると考えられます」
人毛が使われているのは、硬貨と整理券を仕分けする部分。
投入された硬貨と整理券は、ベルトコンベアーのような仕組みで金庫へ運ばれます。
金庫手前にブラシ状に人毛が設置されていて、人毛より重たい硬貨は下の金庫へと落下。
人毛より軽い整理券はブラシ状の部分にひっかかるので、仕分けができる仕組みです。
豚毛、馬毛、プラスチックなどのいろいろな材料を試したそうですが、やはり人毛が優れていたとのこと。
理由としては、以下の点が挙げられそうです。
・紙の重量ではしならず、硬貨の重量でのみしなるちょうどよい硬さであること
・癖がつきづらいこと
・静電気が帯電しにくいこと
・ベルト表面のコーティング剤を削ってしまう材質ではないこと
かつては中国人の髪の毛だったそうですが、現在はインド人の髪の毛を使用。
人毛を取り扱う商社から購入しているそうです。
「調達・コスト・品質面などを満たす人毛を購入しているだけであり、特定の人種や国を指定して調達しているわけではありません」と林さん。
SNSで話題になったことで、人毛を使用していることを初めて知って驚いた社員もいたといいます。
普段なかなか注目される機会のない製品が話題になったことについて、林さんはこう話します。
「地味な製品ではありますが、安全・安心なバスの運行を支えています。今回のことをきっかけに、バスの運行を支える様々な仕事や機器に思いをはせていただけるとうれしいです。そして、普段バスに乗らない方もぜひ乗ってみてください!」
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