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連載

#5 イーハトーブの空を見上げて

高校生が受け継ぐ「鬼剣舞」の魅力 面をまとい、ダイナミックな跳躍

鬼剣舞の衣装を身につける部員たち
鬼剣舞の衣装を身につける部員たち
「イーハトヴは一つの地名である」「ドリームランドとしての日本岩手県である」。詩人・宮沢賢治が愛し、独自の信仰や北方文化、民俗芸能が根強く残る岩手の日常を、朝日新聞の三浦英之記者が描きます。
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イーハトーブの空を見上げて

伝統文化が息づく地域ならでは

岩手に赴任して驚いた。

伝統文化が深く暮らしに息づいているこの地域では、中学や高校に民俗芸能を踊る部活動があるのだ。

全国的にも有名なのは、北上市にある北上翔南高校の鬼剣舞(おにけんばい)部だ。

同高の鬼剣舞部は2004年に発足。

旧黒沢尻南高から校名が変わり、女子校から男女共学に改編されたのを機に、半世紀にわたって伝承活動を続けてきた旧北上農業高の伝統を引き継いだ。

鬼の面をつけ、音に合わせて跳躍

鬼剣舞は北上地方で約1300年前に始まったとされる民俗芸能だ。

恐ろしげな鬼のような面をかぶって剣や扇を振りかざし、太鼓や笛、鉦(かね)の音に合わせて跳躍する。

民俗芸能では他に類を見ない、ダイナミックな踊りだ。

かつては女人禁制の踊りだったが、男性の踊り手が少なくなったため、北上翔南高校の鬼剣舞部では女子生徒が中心となり、日々技を磨いている。

部長の斎藤心愛さんは言う。

「地域の伝統を私たちなりに受け継いで踊る。とっても楽しい、私たちの青春です」

2021年4月には東京の地域伝統芸能活用センターが表彰する「地域伝統芸能奨励賞」にも選ばれ、地域でお祝いの会が開かれた。

少女たちが鏡に向かってキュッと髪を結い、鬼の面をつける。

装飾を身につけ、飛ぶように舞う。

(2021年5月取材)

三浦英之:2000年に朝日新聞に入社後、宮城・南三陸駐在や福島・南相馬支局員として東日本大震災の取材を続ける。
書籍『五色の虹 満州建国大学卒業生たちの戦後』で開高健ノンフィクション賞、『牙 アフリカゾウの「密猟組織」を追って』で小学館ノンフィクション大賞、『太陽の子 日本がアフリカに置き去りにした秘密』で山本美香記念国際ジャーナリスト賞と新潮ドキュメント賞を受賞。
withnewsの連載「帰れない村(https://withnews.jp/articles/series/90/1)」 では2021 LINEジャーナリズム賞を受賞した
 

「イーハトヴは一つの地名である」「ドリームランドとしての日本岩手県である」。詩人・宮沢賢治が愛し、独自の信仰や北方文化、民俗芸能が根強く残る岩手の日常を、朝日新聞の三浦英之記者が描きます。

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