お金と仕事
24年入社の新社会人8割「将来お金に不安」 内定式で金融セミナー
10代で金融教育を受ける機会がなかった「⾦融スキマ世代」に向けて…
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10代で金融教育を受ける機会がなかった「⾦融スキマ世代」に向けて…
2024年に新社会人になる内定者の8割が、お金に関して将来の不安があるーー。そんな調査結果をもとに、学生たちの不安を和らげようと、ある企業が内定式で金融セミナーを開催しました。ユニークな初の試みは、内定者の資産形成に対する意識を高めたようです。
不動産投資サービスを展開するGA technologies(東京都港区)が発表した「お⾦と⾦融教育に関する意識調査」(8⽉29〜31⽇、インターネット調査)。
2024年に新社会人になる18〜25歳の男女1037人のうち、79%が将来のお金に関して「不安を感じる(とても不安を感じる:31.6%/少し不安を感じる:47.4%」と回答しています。
自身のお金の知識に関しては、56.8%が「自信がない(全く自信がない:22.8%/あまり自信がない:34%)」とし、「自信がある(とても自信がある:6.9%/少し自信がある:18.1%)」と答えたのは25%でした。
不安に感じ、自信がない一方で、資産形成の勉強をしている人は21.8%にとどまるという結果も。
「勤務先で資産形成などの金融に関する研修・セミナーの機会または、福利厚生で資産形成について学べる機会があると良いか?」という問いには、71.7%が「良い」と回答し、「新社会人になったら資産形成を始めたい」と回答した人は82.1%にのぼりました。
2022年4月から高校で資産形成に関する授業が必修化されましたが、調査対象となった世代は10代で金融教育を受ける機会がなく、「⾦融スキマ世代」とされます。
同社は、「金融スキマ世代」である内定者にきちんと金融リテラシーを身につけてもらおうと、10月上旬に開かれた内定式に金融セミナーを取り入れました。
内定式といえば、内定者が企業トップのあいさつを聞いて内定証書を受け取り、社員と交流する……という印象ですが、内定者代表がスピーチを終えたあと、会場のスクリーンには「金融リテラシーとは」と書かれたスライドが映し出されました。
「お金の心配は誰しもあると思いますが、やりたい仕事に打ち込んだり、心の底から満足できることにエネルギーを割いたりするためには、お金の心配をしないで済むようにすることが大切です。若い時からしっかり考えて、計画的に資産形成をすることが非常に大事になってきます」
セミナーでは、講師である同社CFO(最高財務責任者)の藤川祐⼀さんが内定者52人へ呼びかけました。
わずか30分強の時間でしたが、人生100年時代の老後に必要な資金や預貯金のメリット・デメリット、資産運用におけるリスクといった基本的な考え方から、2024年に始まる新NISAなど具体的な制度についても説明があり、内定者らは真剣に聞き入っていました。
その後、内定者らは用意されたワークシートにセミナーを聞いての学びや、関心を持った資産形成の方法などについて記入。ワークシートをもとに隣同士でディスカッションをし、話し合った内容について発表しました。
内定者のひとり、国立大学大学院2年の女性(24)は、「金融知識がほぼゼロだったため、『不安』すら感じていなかった」と話します。
「これまで何も考えていませんでしたが、お金の勉強は必須。入社までに恥ずかしくないくらいの知識を蓄えておこうと思いました」
別の内定者で、国立大学大学院2年の男性(24)は、友人に影響を受けてつみたてNISAの口座を作っていたものの、運用はせずそのままにしていたといいます。
「友人から投資をしているという話は聞いたことがあっても、何歳のとき、どの銘柄にいくら投資したのかという具体的な話は聞いたことがないので、どう運用したらいいのか現実味がありませんでした。セミナーを聞き、少しイメージができたので自分でも調べて投資しようかなと思います」
セミナーの講師として登壇した同社CFOの藤川さんは、「うなずいて聞いてくれる学生も多かった」と手ごたえを感じていました。
「お金に対してネガティブな印象を持っていたらポジティブに変えてほしいと思い、損得の話ではなく、お金の使い道のイメージを持っていただけるような話にしました」
「NISAなどで資産形成の仕組みを整えた上で入社してもらえると、お金のことを考えすぎず仕事に打ち込んでもらいやすくなると思います」
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