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#23 親になる

寝かしつけ心強いおしゃぶり、何歳まで?専門家に聞く歯並びへの影響

おしゃぶりは寝かしつけに心強いアイテムだが……。※画像はイメージ
おしゃぶりは寝かしつけに心強いアイテムだが……。※画像はイメージ 出典: Getty Images

目次

1歳を過ぎたばかりの我が子は、寝るときにおしゃぶりが手放せません。一方で、「歯並びにおしゃぶりが影響する」というのもよく聞く話です。何歳までおしゃぶりはOKなのか、なぜおしゃぶりを使い続けるとよくないのか、専門学会の見解を紹介します。(朝日新聞デジタル企画報道部・朽木誠一郎)
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“ギャン泣き”歯磨きタイム

食後に聞こえてくる、マンガのような「ビエーッ」という泣き声。担当の妻がジタバタする我が子をあやしながら歯磨き。手際よく終えると、機嫌の直った子どもがえへへと笑う――。

生後半年ほどで子どもに乳歯が生えてきて以来、我が家では毎食後の、見慣れた光景です。

小さいころから歯磨きが必要だと気づいたのは、子どもに最初の乳歯が生えかけ、妻に「そろそろ歯磨き始めなきゃね」と言われたときのこと。

私自身が末っ子で、大人になってからも周囲に小さい子がいない環境だったためか、そこで初めて赤ちゃんでも歯磨きが必要ということに気づき、思わず「そりゃそうか」という言葉が口をついて出ました。

今となっては自分がいつから歯磨きをしているのか、まったく覚えていないものの、記憶のないような幼いころから、自分の親がこうして歯磨きをしていたんですね。子育てをしていると、こうしたことに気づけて、面白いです。

日本小児歯科学会公式サイトの「こどもたちの口と歯の質問箱」によれば、乳歯はまず「下の真ん中の2本から」「生後6~9か月ごろ」生え始めます。このとき「離れたり少しねじれたりして出てくることもありますが、あまり心配はいりません」とします。

「1歳3カ月ごろになってもまだ歯が生えてこないようなら、小児歯科専門医またはかかりつけの歯科医院で相談しましょう」(同学会)

続いて上の真ん中の2本が生えてくるのが一般的で、最後に上の奥歯(第二乳臼歯)が2歳半ごろ生えてきます。これも「個人差もありますのであまり気にしないでよいと思います」ということでした。

歯磨きを始めるのは「乳歯が生え始めたら」。子どもを仰向けに寝かせて、頭を保護者のひざの上に乗せ、口の中を観察します。清潔な指で口の中を触る、ガーゼや綿棒などで清拭(せいしき)してあげる、などの段階を踏みながら慣らしていきます。

口の中を触られることに慣れてきたら「乳児用の歯ブラシで1~2回ちょんちょんと歯に触れる練習から開始しましょう」。

「歯ブラシの刺激に慣れてきたなら、歯を見ながら1本ずつ優しく磨きます。1本5秒くらいで十分です。強すぎたり、長すぎたりして子どもが嫌にならないように気をつけましょう。上手にできたことをほめてあげることも忘れないでください」

うちの子の場合は、冒頭で紹介したように、歯磨き開始から半年が経過しても、結局“ギャン泣き”。まあ、歯磨きが大好きになるというのもなかなか難しいですよね……。医療者の妻はこうしたケアの手際がいいので、機嫌が直るのはとても早くなりました。
 

歯並びにおしゃぶりが影響

もう一つ、子どもの歯について気になるのが「おしゃぶり」です。うちの子は現在1歳とちょっとですが、特に寝るときはおしゃぶりがないと寝てくれません。

一方で、乳児期を過ぎて以降、歯並びにおしゃぶりが影響するというのもよく聞く話です。我が家でもおしゃぶり卒業を試みてみましたが、そうするとおしゃぶりを探し回り、おしゃぶりを求めて泣き、あまりに泣きすぎてオエッとなり、ベッドで盛大に吐き戻して以来、再トライしていません。

親としては苦労している一方で、おしゃぶりをあげてもポイポイ投げ捨てることもあり、あまりの理不尽さにいろいろと通り越してちょっと笑ってしまいました。

実際問題、いつまでにおしゃぶりを卒業すればいいのでしょうか。日本小児歯科学会も、歯並びやかみ合わせが悪くなる要因の一つとして、おしゃぶりを挙げています。

歯並びやかみ合わせが悪くなる要因は、おしゃぶり以外にもあります。具体的には「乳歯をむし歯などで早く失い、永久歯の生える場所がなくなる」「歯と顎の骨の大きさのバランスが悪く、永久歯の生える場所がない」「出っ歯や受け口(反対咬合)の中には純粋に遺伝的な問題が要因のこともあります」――。

そして、「おしゃぶり、指しゃぶりなどの癖、舌の前方突出癖や口呼吸、頬杖、うつ伏せ寝などの生活習慣」です。

同学会は「おしゃぶりは泣いている赤ちゃんを鎮めるのに便利なアイテム」「育児で大変な親にはお助けグッズでもある」とした上で、こう説明します。

「『吸う』ことが自然な乳児期には、口の機能や形態に問題は生じません。でも、離乳が完了して口の働きが『吸う』ことから『かむ』ことへ移行してくると、おしゃぶりもそろそろ卒業の時期を迎えます。

2歳を過ぎて奥歯のかみ合わせができた後もおしゃぶりの使用が続くと、歯並び、かみ合わせに影響が出やすくなり、また唇の閉じ方や舌の使い方にも問題が生じやすくなります」

「乳歯の奥歯が生えてくる1歳半頃から止める準備を始めて、2歳過ぎまでには止められるといいですね」と同学会。

おしゃぶりを与えると、にこーっとするので可愛くはあるのですが、もう少ししたら心を鬼にして、おしゃぶり卒業の練習を再開しようと思います。それにしても、ベッドで吐き戻すのと渡したおしゃぶりをポイポイ投げるのは、どうか止めていただきたいのですが……。
 

【連載】親になる
人はいつ、どうやって“親になる”のでしょうか。育児をする中で起きる日々の出来事を、取材やデータを交えて、医療記者がつづります。

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