食後に聞こえてくる、マンガのような「ビエーッ」という泣き声。担当の妻がジタバタする我が子をあやしながら歯磨き。手際よく終えると、機嫌の直った子どもがえへへと笑う――。
生後半年ほどで子どもに乳歯が生えてきて以来、我が家では毎食後の、見慣れた光景です。
小さいころから歯磨きが必要だと気づいたのは、子どもに最初の乳歯が生えかけ、妻に「そろそろ歯磨き始めなきゃね」と言われたときのこと。
私自身が末っ子で、大人になってからも周囲に小さい子がいない環境だったためか、そこで初めて赤ちゃんでも歯磨きが必要ということに気づき、思わず「そりゃそうか」という言葉が口をついて出ました。
今となっては自分がいつから歯磨きをしているのか、まったく覚えていないものの、記憶のないような幼いころから、自分の親がこうして歯磨きをしていたんですね。子育てをしていると、こうしたことに気づけて、面白いです。
日本小児歯科学会公式サイトの
「こどもたちの口と歯の質問箱」によれば、乳歯はまず「下の真ん中の2本から」「生後6~9か月ごろ」生え始めます。このとき「離れたり少しねじれたりして出てくることもありますが、あまり心配はいりません」とします。
「1歳3カ月ごろになってもまだ歯が生えてこないようなら、小児歯科専門医またはかかりつけの歯科医院で相談しましょう」(同学会)
続いて上の真ん中の2本が生えてくるのが一般的で、最後に上の奥歯(第二乳臼歯)が2歳半ごろ生えてきます。これも「個人差もありますのであまり気にしないでよいと思います」ということでした。
歯磨きを始めるのは「乳歯が生え始めたら」。子どもを仰向けに寝かせて、頭を保護者のひざの上に乗せ、口の中を観察します。清潔な指で口の中を触る、ガーゼや綿棒などで清拭(せいしき)してあげる、などの段階を踏みながら慣らしていきます。
口の中を触られることに慣れてきたら「乳児用の歯ブラシで1~2回ちょんちょんと歯に触れる練習から開始しましょう」。
「歯ブラシの刺激に慣れてきたなら、歯を見ながら1本ずつ優しく磨きます。1本5秒くらいで十分です。強すぎたり、長すぎたりして子どもが嫌にならないように気をつけましょう。上手にできたことをほめてあげることも忘れないでください」
うちの子の場合は、冒頭で紹介したように、歯磨き開始から半年が経過しても、結局“ギャン泣き”。まあ、歯磨きが大好きになるというのもなかなか難しいですよね……。医療者の妻はこうしたケアの手際がいいので、機嫌が直るのはとても早くなりました。