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連載

#9 #就活しんどかったけど…

金髪で挑んだ最終面接、語った思い 「せっかくの就活」の過ごし方

就職を決めた会社面接での、印象的な出来事

業界を絞り込まず、様々な会社をみながらの就職活動だった女性。話を聞きました。写真はイメージです=
Getty Images
業界を絞り込まず、様々な会社をみながらの就職活動だった女性。話を聞きました。写真はイメージです=
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目次

学生時代、夢中になったバイト先への〝実質内定〟をもらいつつ、「一回しかない新卒就活」と、様々な業界をのぞいた女性。柔軟な就活の経験を通して見えてきたものとは。

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就活しんどかったけど…

クッキー店でのバイトに熱中

現在新卒1年目の新入社員としてPR会社で働く女性は、東京都内の大学に通っていた学生時代、クッキー店のアルバイトをしていました。

店頭に立ちながら、店の広報としてプレスリリースを作成したり、内覧会のスタッフとして働くなど、忙しい日々を送る日々。「流行らせたかったし、いま『キテる』お店に携われている喜びを感じていました」と、やりがいを感じながら仕事をしていました。そんな女性のパワーを買って、店の運営会社からは新卒での採用の声もかかっていました。
「ここで働けたら楽しいだろうな」とまで思っていましたが、大学3年の12月、就職活動を始めました。

その理由を「気持ちはクッキー屋さんで働くことに傾きつつ、『新卒は一回しかないので、もっといろいろな企業のことを知りたい』という気持ちがありました」と女性は振り返ります。

「せっかくの就活の機会だし、そこまで興味ない企業でも受けてみよう」と、複数社にエントリー。エントリーシートを実際に送ったのは、大学入学時点から関心を持っていたファッションビルの運営会社や、広報として働きたいと思えた企業、社風が好きな会社の経理、IT企業など、多種多様でした。

関心のなかった業界でも面接、「社風は大事」

結果として説明会や企業研究などを通じてたくさんの企業を知ることができましたが、興味の幅が広かったからこそ、見えたこともありました。

最終面接まで進んだIT系企業とのやりとりでのこと。その企業は何度も懇親会を開き、部署ごとに説明会を開いてくれ、気軽に社員に質問ができることが魅力だったといいます。

最終面接まで進んだ頃には「本気でここで働きたい」とまで思っていましたが、その結果は「お祈りメール」というかたちで返ってきました。

その結果を「悔しかった」と感じるほど思いが高まった企業でしたが、エントリー当初を振り返ると、その企業への本気度はそれほど高くありませんでした。

ですが、やりとりの中で「社風は大事」ということに気付かされたといいます。
選考を通じて会社の雰囲気がわかるようになる中で、「『この企業おもしろいかも』と思うようになっていました」

そこで、自分がやりたいことができるという動機以外にも、魅力ある企業で働きたいという、企業の雰囲気自体も志望動機になり得ることに気付いたといいます。

最終面接で「自分の個性が伝わるような洋服」

周りでは内々定をすでにもらっているとの声も聞こえ始めた大学4年の春。

女性は〝実質内定〟をもらっていたクッキー店の運営会社への就職には依然迷いがありました。

転機は、クッキー店で共に働いていた運営会社の社員で、元PR会社勤務の先輩の一言。「(女性)っぽい会社があるよ」と紹介されたのが、現在勤務するPR会社でした。

先輩からの一言を受け、PR会社のホームページをのぞくと、エントリー締め切りの直前でした。バイトでSNSマーケティングを担当したりした経験からPRの仕事のおもしろさには気付いていた女性。滑り込みでエントリーすると、一次選考通過の知らせが5月に届きました。

先輩の「っぽい」が当たったのか、最終面接まではとんとん拍子。

最終面接でのある出来事が女性の心を固めました。

最終面接の服装指定は「自分の個性が伝わるような洋服」でした。女性が選んだのは、金髪に白いシャツ、黒のワンピースでした。白いシャツの襟元には青い刺繡が入っており、ネイルはそれに合わせた青にしました。

「この会社ならこの服装でも大丈夫」という自信はあったものの、「面接 私服」とインターネットで検索するなど若干の不安があった女性。ですが、会場で対面した社長は「私も次、このネイルの色にしよう」との反応してくれました。

「ネイルの色に気付いてくれたことや、まだ学生である私の服装に興味を持ってくださったことに感激した」と振り返ります。

金髪の面接で、伝えられた思い

さらに、そのファッションがきっかけで、面接の話も弾みました。

「どうしてその髪色にしたの?」と面接官に聞かれたときのこと。中学時代から感じていた「見た目だけで全てを判断するのではなく、中身や実績で判断するべきだ」という個人的な思いを語ることができ、「その分、やらなければならない事は責任を持って取り組みたいと思っている」という思いも伝えることができました。

面接官からは「確かに見た目がすべてではないよね」との反応。「自分のことをちゃんと伝えられたし、わかってもらえたなと感じました」と振り返ります。

そして6月、同社から内々定の通知を受け、入社を決めました。

自身の就活を振り返り「楽しんでできたと思っている」と女性は話します。

周囲の話を聞くと、友人と比べて自分の就活がうまくいっていないと悩む人もいたといいます。

女性はあえて、自分の就活状況を友人とは共有しませんでした。「気を悪くさせてしまうことがあるかもしれないし、友情をそのままにしておくためには就活の話をしすぎないことが重要だと思った」と話します。
「友だちとの時間は別」と割り切り、就活は就活用のオンラインコミュニティーを活用していました。

就活を通じて、女性は「様々な業界や企業に関心を持って、自分に合った就職先を見つけ出してほしい」と考えています。後輩たちに向けては「あまり思い詰めすぎずに、リラックスして就活を行うことも大切だと思う」とメッセージを送ります。

<体験談お寄せください> 新企画「就活しんどかったけど……」では、コロナ禍で変化もあった就活の「いま」を見つめ直し、よりよいあり方を探っていきます。

大学在学中、または入社3年目くらいの方、就活の体験を聞かせていただけませんか?

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