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連載

#74 「きょうも回してる?」

トイレのガチャ、1ミリの〝うんち〟は付属品 流せる技術に特許取得

「面白くありません?ほんとにうんちが流れるんですよ」

トイズスピリッツの「本当に流せる!スーパーギミック!トイレマスコット」
トイズスピリッツの「本当に流せる!スーパーギミック!トイレマスコット」

目次

子どもたちがすぐに大笑いする言葉の一つ、「うんち」。そのうんちがガチャガチャの〝水洗トイレ〟で実際に流せたら――。ガチャガチャ評論家のおまつさんが取材すると、メーカーが「流すため」の技術で特許を取得した理由が見えてきました。

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ガチャガチャ評論家おまつの「きょうも回してる?」

約1ミリのうんちが付属しています

「うんち」を広辞苑で引くと、「大便、うんこ」とでていきます。
うんちは、子どもたちが食いつくパワーワードです。たとえば、シリーズ累計1000万部「うんこドリル」や、うんちをテーマにしたミュージアムなど、子どもたちに親しまれています。
ガチャガチャも同じです。うんち商品は昔から今でも、うんちの消しゴム、うんちのフィギュアなど人気商品のひとつになっています。

うんち商品に情熱を注ぐ人がいます。メーカーのトイズスピリッツ代表の西村圭太さんです。西村さんが50歳を前に一人で立ち上げたトイズスピリッツも今年9月で6年目を迎えます。 
トイズスピリッツと言えば、ダイキャスト製のガチャガチャ。鉄のダイキャストを上手く活かした「本当に作れる!ダイキャスト製!ざ・かき氷マシーン」や「本当に釣れる!?ダイキャスト製!ミニミニ釣り具マスコット」は、このコラムで紹介しました。

ただ、トイズスピリッツにはダイキャスト製の商品のほか、他商品と差別化できる強みがあります。安全に配慮したギミック(巧妙な仕掛け)を使ったガチャガチャです。

このギミックと、うんちを掛け合わせたガチャガチャを8月下旬に発売しました。

今回は「本当に流せる!スーパーギミック!トイレマスコット(以下、うんちガチャ)」を紹介します。約1ミリのうんちが付属しています。

付属品の「うんち」
付属品の「うんち」

水洗トイレのメーカーと話している気分に……

西村さんから商品の説明を受けたとき、私は「シュール、シュールすぎます。何で作ってしまったんですか!」と思わず聞いてしまいました。
それに対し西村さんは、「ほんと、くだらないでしょ! バカじゃないですか! でも楽しさの演出ができる玩具は面白い。アホな商品ばかりですが、そんなガチャガチャを作るメーカーでありたい。面白くありません? ほんとにうんちが流れるんですよ。うちの商品は『何でこんなにコストをかけるの?』と言われる商品ばかり、今回もコスト度外視でぎりぎりで作っちゃいました」と笑って教えてくれました。
私から見ると、どんなメーカーも、コストがかかりすぎて、うんちが流れるトイレを作りたいとは思いません。でも、西村さんがうんちがトイレで流れる様子をガチャガチャで表現したかったという想いは半端ありません。

このうんちガチャの秀逸な点は、水を貯めれば「うんち」が実際に流れる点。この一連の工程を、同社が誇るギミックを活かして実現しました。

西村さんは苦労した点について「水を貯めて、流すという工程の機能を、ガチャガチャで表現するのは正直難しい。上手く水を貯めて流れるように、グリップやバネを調整しています。トイレのデザインを損なわず、複雑なギミックを搭載することが大変でしたね」と話してくれました。

「まさにデザインと機能のバランスが上手く一致した商品になりました」と西村さんはまとめましたが、これは、ガチャガチャの話。……なんですが、まるで水洗トイレのメーカーの話しを聞いている錯覚を起こすほどのこだわりです。

水に浮かぶ「うんち」…。
水に浮かぶ「うんち」…。

命名「ダブルギミック」、うんちを流す技術

うんちガチャのやり方は簡単です。
まずはタンクにお水を入れます。その後、タンク上のボタンを押すと、便器にお水を溜められます。最後に便座を上げると、「シャー!」と水の音が聞こえるかのように、約1ミリのウンチが「ボトンっ」と流れます。

この一連の工程を実現したギミックを「スーパーダブルギミック」と、かっこいいネーミングを付けています。ただ、うんち商品とのギャップで笑ってしまいます。

@withnews

詳しくはこちらの記事で! ↓ トイレのガチャ、1ミリの〝うんち〟は付属品 流せる技術に特許取得 - https://withnews.jp/article/f0230906000qq000000000000000W0fm10801qq000026139A

♬ オリジナル楽曲 - withnews

価格は1回500円ですが、「よくぞ500円で納められましたね」と尋ねると、西村さんは「儲かる、儲からないという前に、世の中で面白い商品を出していくのに、その商品のアイディアを具現化したら、いくらになるだろうという価格設定をしています。だから、面白可笑しいことに、こだわりを注げば注ぐほど、コストのかけ方が半端ありません。なかなか利益がでないんですけどね」と教えてくれました。

くだらなく、しょーもないことに、これでもかと言うくらいものづくりに熱狂する西村さんですが、このうんちガチャのギミックには、パテント(特許)を取得しています。ガチャガチャにパテントを取得する中小メーカーは、なかなか珍しいですが、そこには西村さんの考えがありました。
「うちの商品はまねされてしまうケースが多いです。それを防ぐためにもパテントを取っています。商品は、企業のアイデンティティであり、財産です。だからこそ、パテントを取ることが重要です」(西村さん)。

トイズスピリッツのガチャガチャは、このうんちガチャもそうですが、モノからコトを買うガチャガチャであり、まさに体験できるガチャガチャ。ガチャガチャのジャンルでギミックを活かした「体験ガチャ」という新しいジャンルを築いたとも言えます。

「スーパーダブルギミック」で特許を取ったトイズスピリッツ
「スーパーダブルギミック」で特許を取ったトイズスピリッツ

くだらないことに100%の情熱、かっこいい

最後に、西村さんは「高単価な商品は精密さや高い精度、こだわりのデザインが出来るのは当たり前です。スタッフを含めた僕たちの商品はワンコインで気軽に買え、かつ楽しんでもらえる、そういうところに喜びや笑いを提供できるなら、不断な努力と技術を注ぎ込こむことは厭いません」と話します。まさに、ガチャガチャに魂を込める、社名のトイズスピリッツです。

とは言いつつ、うんちが流れるトイレ、まさにシュールすぎてなんとも言えません。そんなアホなことを楽しんでものづくりしている西村さん。くだらないことに100%情熱を注ぐ大人って、かっこいいと思わせてくれました。

「本当に流せる!スーパーギミック!トイレマスコット」は、ももいろ、うすちゃいろ、こいちゃいろ、そらいろ、シークレットの5種類。1回500円。

ガチャガチャ評論家おまつの「きょうも回してる?」
この連載は、20年以上業界を取材しトレンドをチェックしているおまつさんが注目するガチャガチャを紹介していきます。

     ◇
ガチャガチャ評論家・おまつ(@gashaponmani
ガチャガチャ業界や商品などをSNSで発信中。著書に「ガチャポンのアイディアノートーなんでこれつくったの?ー」(オークラ出版)。テレビやラジオなどのメディアへの出演や素材提供も多数ある。

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