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連載

#253 #withyou ~きみとともに~

〝ぼっち飯〟でバズった高校時代 「つらかったけどそれでよかった」

「あのとき抱え込んでいた思いが、今の私につながっている」

関戸かのんさんの高校時代のTikTokでは、昼休みに音楽室で昼食をとる風景が注目されました。
関戸かのんさんの高校時代のTikTokでは、昼休みに音楽室で昼食をとる風景が注目されました。 出典: 関戸さんの投稿より

目次

高校時代、音楽室で一人、ごはんを食べる様子などをTikTokで投稿していたTikTokクリエイターの関戸かのんさん(20)。孤独を抱えていた学生時代でしたが、発信を始めてからは心境に変化があったといいます。「しんどかった時代の自分」にかけたい言葉とは――。

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キャプションに「#陰キャ」

TikTokでの動画投稿を始めたのは5年前。当時から俳優やモデルといった表現者としての将来にあこがれを抱いていた関戸さんは、SNSを通じて少しでも知名度を上げられたらとTikTokでの動画発信を始めました。

最初の頃は、「お題」をまねしたりアレンジしたりして広がる「memu(ミーム)」動画や、趣味のフルート演奏の風景を投稿していましたが、なかなか再生回数は増えませんでした。

転機は高校3年生の頃。学校の音楽室で一人でお昼ごはんを食べるようすを、キャプションに「#陰キャ」をつけたり動画内で「ボッチ」を自称したりして動画投稿するようになりました。

その動画がバズるようになり、一連の動画のなかには11万回以上再生されたものもあります。関戸さんのTikTok投稿はクラスメートにも知られるようになりました。

「一人でごはんを食べていることはすごく恥ずかしいことだと思っていたんですが、クラスメートからは『応援しているよ』と声をかけられました。自分らしい生き方をしていいんだなと思えるようになりました」

映画との出会い「彼女だけが肯定」

動画内で「陰キャ」や「ボッチ」と自身を表現していた関戸さんですが、それは画面の中だけの話ではなかったそう。

中学生の頃から家族関係や学校での交友関係に悩み、自分の居場所を見いだせなくなっていたといいます。

「誰も自分のことを知らないところに行きたい」と、地元から遠い高校を選びましたが、高校生になってからも積極的ではない生活が続いていました。

「学校では空気のように生きていたし、存在を知られたくなかった」と振り返ります。「自分の居場所はどこにもなくて、家ではクローゼットの中に閉じこもっていました」

以前から大事なよりどころだったのは、映画や音楽の世界でした。
中でも、何回も繰り返し見ていたという映画「スターガール」(2020年にディズニープラスで独占配信、現在は配信終了)は、大きな支えになっていました。

「スターガール」は、風変わりな女の子が学校に新しい風を吹き込む物語。関戸さんは「主人公が私に似ているところがあった」と話します。1週間、毎日3回ずつ見るほどのめり込んでいたこともあったそうです。

「私のことを全部肯定してくれるのは彼女だけだなと感じていました」

若者を前に「居場所」についての経験を語る関戸かのんさん=8月下旬、東京都のイベント会場で
若者を前に「居場所」についての経験を語る関戸かのんさん=8月下旬、東京都のイベント会場で

抱え込んでいた思いがあるからこそ

生きにくさを感じていた学生時代の自分に、声をかけるとしたら――。

「当時はつらかったけど、その思いをしていてよかったなと今は思う」と、意外な答えが返ってきました。

対人関係では「『諦め』を感じて生きていた」ものの、「支えはほしかった」と話す関戸さんにとって、それは「スターガール」をはじめとする映画作品などのエンターテインメントでした。

「あのとき抱え込んでいた思いが、今の私につながっていて、自分の世界をすごく大事にするようになりました。そのときに出会った映画や音楽があるから、今の私の夢があります」

関戸さんの夢は、「映像製作を通して人を感動させたい」ということ。その夢を抱きながら、いまも動画などで発信を続けています。

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