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線香花火の材料はたった2種類 4段階の変化、知っていますか?
「まずは一回作ってみましょうか」
夏と言えば花火。花火といえば線香花火……。映画やドラマ、アニメにも線香花火で演出される数々の名シーンがありますが、線香花火のこと、どのくらい知っていますか?
@withnews 夏にちなみ、愛知県に本社を置く花火製造・販売会社「若松屋」さんに協力いただき、線香花火作りの取材をさせていただきました。 8月16日と17日にはwithnewsで記事でも紹介します! #花火#花火職人 #線香花火 ♬ オリジナル楽曲 - withnews
東京都は台東区、花火の製造・販売を手がける若松屋(本社・愛知県西尾市)で、線香花火について教えてもらいました。
「まずは一回作ってみましょうか」
案内してくれたのは同社営業部長の竹内直紀さん。
若松屋の場合、線香花火の材料は和紙と0.08グラムの火薬です。
「線香花火は、紙から火薬に火を伝えるだけの花火なので、本当に単純なんですけど、この二つだけです」
「だけ」とはいえ、線香花火の魅力は底知れません。その一つが、4段階に変わる形態です。
火をつけてしばらく経つと、丸い玉のような形ができあがります。これが「牡丹(ぼたん)」。
次にパチパチとはじけるような火花が飛ぶのが「松葉」です。松葉が勢いを増すようになった段階を「柳」といいます。最後は、線香花火を持つ手に振動が来なくなり、光も静かになっていく「散り菊」です。
その4段階を綺麗に見るために大事な要素の一つが、火薬を「ギュッ」と詰めること。和紙に包まれた火薬が均等に詰まっていないと、玉が落ちてしまいます。
線香花火作りは、最初に和紙の先端を三角に折ることから始めます。
三角に折った谷の箇所に、0.08ミリの火薬を載せます。
火薬をすくうのは、専用のさじ。静電気が起こらない真鍮製で、溝部分で火薬をすくうと、ちょうど規定の分量になります。
「もしここで静電気が発生してしまうと火災につながり、大事故になります」
火薬をすくい、三角の谷の部分に載せたら、こぼれないように慎重に巻いていきます。火薬に隙間がうまれないよう、ギュッと巻きつつ、和紙がやぶれないような繊細な力加減も重要です。
「これは怖い…」思わず小声でつぶやいてしまいます。
火薬を詰める部分をクリアしたら、両手の親指・人さし指を使って持ち手となる部分も続けて巻いていきます。どちらかの手の力が強かったり弱かったりすると均等に巻き進められず、軸がふにゃふにゃとして、うまく持てなくなってしまうので注意が必要です。
「できあがったものを地面と平行に持ったときに、だらんと下がってしまわなければ合格です」(竹内さん)
筆者は今回、初めて線香花火作りに挑戦。その後、火をつけるところまで体験させてもらいましたが、なんとか「散り菊」まで見終えることができました。竹内さんから「上位何位かに入るできばえ」とお褒めの言葉をいただきました。やったー。
イベントなどでも線香花火作りのワークショップを開催している若松屋。竹内さんによると、大人の参加者がメインのワークショップで、作ったものに火をつけて最後の「散り菊」までたどりついた人は5~6割だったといいます。
ちなみに、市販の線香花火を最後まで成功させる時に大切なのは、少し斜めに持つことと、火をつける前に「火薬の入っている『首』の部分を少しキュッと絞ってあげる」ことだそうです。
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