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#14 「健康にいい」の落とし穴

内臓脂肪の多い人が無理なく「ウエスト-5cm」を達成するためには

健康診断の結果を受けて、減量やウエスト減を促されることがあるが……。※画像はイメージ
健康診断の結果を受けて、減量やウエスト減を促されることがあるが……。※画像はイメージ 出典: Getty Images

目次

健康診断の結果から、減量、ウエスト減を促された――。しかし、どれくらい減量すれば、ウエストのサイズは下がるのでしょうか。最近になって見直された厚生労働省の指導内容とともに紹介します。(朝日新聞デジタル企画報道部・朽木誠一郎)

厚労省が「腹囲2cm・体重2kg減」

健康診断の結果を受けて、減量、具体的にはウエスト減を促された人もいることでしょう。内臓脂肪が多く、腹囲が大きくなっている場合は、専門家による指導が必要になることがあります。

そんな指導の内容について、厚生労働省は、今年3月、「第4回 第4期特定健診・特定保健指導の見直しに関する検討会」を開催。令和6年(2024年)度から実施予定の『標準的な健診・保健指導プログラム(令和6年度版)』を公表しました。

このうち、主な変更点の一つは、アウトカム評価が本格的に導入されたこと。アウトカムとは、医療的な介入により得られた結末のことで、噛み砕いていえば、指導により効果があったかどうかを評価する、ということになります。

これまでは主にプロセスを評価していたことに対し、アウトカムとして「腹囲2cm・体重2kg減」が具体的な主要達成目標と定められたのです。このように、腹囲と体重が関連づけられることには、理由があります。

厚労省は『健康づくりのための運動指針 2006』などで、「腹囲の1cm減少は約1kgの内臓脂肪の減少に相当します」としてきました。個人差はあるものの、ウエスト1cm減=脂肪1kg減というのはよく言われることです。

例えば、目標にする人も多いであろう「ウエスト-5cm」であれば「内臓脂肪5kg減」と同じことに。それなりに大きな目標ではないでしょうか。

では、内臓脂肪5kgを落とすには、一体どうすればいいのでしょうか。やるべきことは、摂取と消費のカロリー収支をマイナスに傾けることです。

脂質1gは9kcalです。しかし、人間の脂肪には脂質と水が一緒に蓄えられています。このうち約8割が脂質で、水分は残り2割ほど。つまり、内臓脂肪1kgであれば、その中にある脂質は800gほどで、つまり約7200kcalということになります。

5kgであれば3万6000kcalを蓄えているのです。計算上はこの分、カロリーの収支をマイナスに傾ければ、余分な内臓脂肪をなくすことができます。

ここで注意が必要なのが、内臓脂肪だけを減らすことはできないということ。カロリー収支をマイナスに傾けたとき、脂肪は全体的に減っていきます。脂肪だけでなく、筋肉が減ることもあります。

内臓脂肪が多い人は、全体的に体の脂肪を落としながら、ウエストの変化をチェックするのがおすすめ。そのためにも、無理のない計画を立て、自分の体の様子を見ながら、実践していく必要があります。

急な減量も、一気にたくさんの減量も、推奨されません。全体的に脂肪を落としていった先で、内臓脂肪が5kg減ったとき、ウエスト-5cmも達成できることになります。そのため、実際にマイナスにしなければいけないカロリーの値は、もっと大きくなることもあり得ます。

ブレークダウンで無理なく達成を

3万6000kcalでさえ途方もない数字に思われますが、それは期間を設定していないからです。ここでもし、健康診断を終え、結果を受け取ったあとだとしたら、次の健康診断に向けて、半年後を目標にしてみましょう。

以前の専門家による指導では、1カ月あたり体重-1kg、ウエスト-1cmの減量が推奨されていて、そのペースにも沿ったものになります。

半年後なら、30日×6カ月で180日の時間があります。3万6000kcalを180日で割って、1日あたりにすると200kcalです。1日あたり200kcal分、摂取カロリーを減らすか、消費カロリーを増やせばいいのです。こうしてブレークダウンしていくと、「できそう」な感じがするのではないでしょうか。

具体的な方法をいくつか紹介します。まず、摂取を減らす方向からで、「夕食のご飯を小盛りにする」と-50kcal。「おやつのどら焼きを控える」と-200kcal前後、「発泡酒のロング缶を飲むのを止める」のも-200kcal前後です。

消費を増やす方向では、「風呂掃除を15分する」と-50kcal、「3000歩を目標に歩く」と-100kcal。複数の方法を組み合わせれば、もっとカロリー収支はマイナスになり、ウエスト減につながります。

また、週2回の頻度で3カ月間の筋トレを続けた場合、筋肉量が増加することにより基礎代謝が向上し、1日-100kcaが基礎代謝で消費されるという報告があり、筋トレもおすすめです。

健康診断で「内臓脂肪が多いから減量、ウエスト減を」と促されても、具体的に生活をどう変えればいいのか、困ってしまうこともあるでしょう。減量は漠然と数字を追うのではなく、計画的に行うことで、無理なく実現できることを、健康診断をきっかけに知ってもらえたらと思います。
 
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世の中で「健康にいい」と言われていることや、イメージされることは、よく考え直してみたり、正しい知識を持ったりすると、実は“そうでもない”ばかりか、かえって健康から遠のいてしまうことも――。身近なトピックをフカボリします。

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