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連載

#20 親になる

熱中症対策、赤ちゃんに〝空調〟グッズブーム 命にかかわるサインも

夏場には「ベビーカー背中あっちっち問題」が発生する。※画像はイメージ
夏場には「ベビーカー背中あっちっち問題」が発生する。※画像はイメージ 出典: Getty Images

目次

大人よりも暑さに弱い乳幼児は、特に熱中症に注意が必要です。最近は便利な対策グッズも多く、現場仕事で普及する“空調”のウェア・作業着の仕組みを取り入れた商品も。赤ちゃんの熱中症の予防法・対策とあわせて紹介します。(朝日新聞デジタル企画報道部・朽木誠一郎)

ベビーカー背中あっちっち問題

夏生まれの我が子はもうすぐ1歳。パパ(私)を指して「パーパ」と言うようになりましたが、アンパンマンを指してもやはり「パーパ」と言います。似ているのでしょうか……。

そして、今年も夏がやってきました。東京は猛暑日が続き、大人でもしんどい環境。ここではたと気づいたのですが、生後1、2カ月はほとんど外に出ないため、夏生まれの我が子にとって、これが体験する“初めての夏”になるのです。

一方で、もうすぐ1歳ともなると、家の中だけで遊ぶのにはすぐ飽きてしまいます。赤ちゃん用の遊び場など、外に連れ出さないとぐずりだしてしまう――ということで、移動の際の熱中症対策は必須になります。(乳幼児の熱中症は住宅内でも多いため、実際にはどこにいても熱中症対策は必須なのですが。)

環境省の『熱中症環境保健マニュアル2022』によれば、熱中症とは、体温を平熱に保つために汗をかいたとき、体内の水分や塩分(ナトリウムなど)の減少や血液の流れが滞ることなどにより、体温が上昇、重要な臓器が高温にさらされるなどして発症する障害の総称です。

高温環境下に長期間いたとき、あるいは、いた後の体調不良は、すべて熱中症の可能性があるということです。

熱中症は死に至ることもある一方、「予防法を知って、それを実践することで、防ぐことができる」「応急処置を知っていれば、重症化を回避し後遺症を軽減できる」とされています。

しかし、乳幼児は汗をかく機能が未熟で、そもそも熱中症になりやすいです。
マニュアルでは「ベビーカーの座席面は路面に近いので地面からの輻射(ふくしゃ)が強く、背面も高温になりやすい」とも指摘されています。

ただでさえ、ベビーカーの背面には熱がこもりがち。夏になる前から、抱き上げると背中の熱に驚いて「あっちっちだね~」と声をかけることもしばしばでした。本格的に夏が到来した今、ベビーカーに子どもを乗せているときの熱中症対策を研究してみることにしました。
 

“空調”で背中あっちっち対策

工事現場などでの暑さの中で作業に従事する人の熱中症対策として、密かに市民権を得ているのがいわゆる“空調”ウェア・作業着です。一般的に「ファン付きウェア」「ファン付き作業着」と呼ばれています。

言葉どおり、ウェア・作業着に電動のファンが内蔵されており、外気を取り込んで服の中で循環させ、かいた汗が乾く気化のメカニズムにより、着用した人の体を空冷する仕様とされています。

最近はそんな仕組みを赤ちゃん用に転用した、“ファン付きベビーカーシート”が注目されています。ウェア・作業着と同様に、外気を取り込んで赤ちゃんの背中を冷やすものです。

実際に使用してみると、商品によってはやはり電動ファンの音が大きくて気になることも。高価なものでは静音を売りにする商品もあるので、値段と、赤ちゃんが音を気にしないかどうかの見合いになるという感想です。

我が家は赤ちゃん用品店でいくつか確認し、「そこそこの音」で「そこそこの値段」の商品を選びました。「ブーン」という音はしますが、我が子的には気になるのは点け始めだけで、あとはごきげんです。

クーラーのようにベビーカー内の気温を直接的に下げるものではありませんが、マニュアルでも指摘された、背面が高音になる「背中あっちっち」の問題は解決できました。

ただし、かいた汗が乾いているため、水分補給を大人がしっかりさせることも大事でしょう。そもそも、直射日光を当てない、長時間にわたり外を連れ歩かないなど夏場の外出は気を配るべきことも多くあります。

また、対策をしても、少し体温が上がってしまったときのために、赤ちゃん用の保冷剤ケースも持ち歩いています。乳幼児が背負えるリュック型のものやシート型のものもあるので、各家庭のニーズに合ったものを探すのがよさそう。

これも保冷剤を直接、体に当てたり、長い間、同じところに当て続けたりして凍傷にならないように、注意が必要です。

「あくび」「汗」はサイン

熱中症の予防法や、対策を知っておくことは、夏場のベビー用品を選ぶ上でも役に立ちます。

国立成育医療研究センターは、子どもの熱中症対策として「こまめな水分補給」「気温と体温に合わせて衣類を調節する」「子どもの異変に敏感になる」「車内や屋内では適切なクーラーの使用を」「ベビーカーを長時間日なたに置かない」などを挙げています。

【参照】熱中症(熱射病) - 国立成育医療研究センター
https://www.ncchd.go.jp/hospital/sickness/children/heatstroke.html

子どもの「喉が渇く前に少しずつ水分と塩分を補給させたり、水筒・ペットボトルを持ち歩かせたりする必要がある」とのことで、親としては、哺乳瓶やスパウトマグを持ち歩けるケースやバッグもあると便利です。

ファン付きベビーカーシートの前に、通気性の良い涼しい服を着せ、暑さに応じて脱ぎ着することや、外出時には帽子をかぶることなど、基本的な暑さ対策を忘れてはいけないでしょう。

そもそも、気温が高い中でのベビーカーでの移動は最小限に止め、休憩時間を設けることも大切です。「顔が赤い」「体が熱い」「ひどく汗をかいている」といった異変へのサインに気を配るのも忘れてはいけないことです。

気をつけていても、「子どもが熱中症になったのでは」と疑われるときはどうしたらいいのでしょうか。

同センターは「熱中症の症状には軽度なものから重度のものまであります」「熱中症が疑われる状況では、少しでも意識状態がおかしければ救急車を呼びましょう」と注意喚起。「到着を待っている間も、体を冷やし続けることが大切」とします。

「意識障害がなく、イオン飲料などの水分を誤嚥(ごえん)することなく安全に経口摂取できる場合、涼しい環境に移動させ、体を冷やしたり、経口補水を実施したりして、さらなる症状の悪化がないか注意しながら経過観察してください」
応急処置には「太い血管のあるわきの下や首などを氷で冷やす」「冷たい濡れタオルで身体を拭く」「風を送る」「涼しい場所に寝かせる」などがあります。

なお、救急車を呼ぶ目安は「意識障害・全身の痙攣」「体温が40度以上」「汗が出なくなる」など。※意識障害がある場合は「他の症状がなくとも救急受診してください」とのこと。

軽いめまいや頭痛がある場合でも、軽い熱中症の可能性があるため、「衣類を緩め、涼しいところに頭を低くした状態で寝かせ、塩分・糖分が含まれたイオン飲料を、こまめに少しずつ飲ませましょう」(同センター)。

「睡眠がとれているのにあくびをしていたり、汗を大量にかいていたりする時は、注意が必要なサインです。筋肉痛のような手足の痛みを訴えることもあります。
だるさや吐き気、それに頭痛やけいれんが起きたりすれば、熱中症の状態が重くなっているかもしれません。重症化しないための処置が必要です」

その場合は「イオン飲料をこまめに少しずつ与えながら、冷たい濡れタオルで拭く、風を送る、クーラーの効いた部屋に寝かせるなど積極的に体を冷やすようにしましょう」「同時に、病院を受診する準備をしましょう」としました。

まだまだ自分で自分の体調の変化を説明できない我が子。自分が生まれた夏が大好きな季節になるように、しっかり見守っていきます。

【連載】親になる
人はいつ、どうやって“親になる”のでしょうか。育児をする中で起きる日々の出来事を、取材やデータを交えて、医療記者がつづります。

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