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首都高のトンネルの上にテニスコートの謎 理由を調べてみると
渋谷駅から首都高速3号渋谷線に沿って東へ進むと、トンネルの上にテニスコートが交差している不思議な光景に出会います。なぜ、高速道路の上にテニスコートがあるのでしょうか。理由を調べてみました。(朝日新聞デジタル企画報道部・小川詩織)
渋谷駅から六本木の方へ向かって、首都高速3号渋谷線に沿って歩いていくと、道路両側に青山学院の建物があり、「青山トンネル」と書かれた看板のあるトンネルがみえてきます。そのトンネルの上には、何やら緑のポールと網が張ってあるようです。
この網は、実は青山学院のテニスコートの周りに張ってあるものです。青山学院の中等部や高等部に通う生徒が体育の授業やクラブ活動で使ったり、大学のサークル活動でも使うようです。
このテニスコートは、何度かネットでも話題になっています。最近でも「どのような経緯でこうなったのか?」「権利はどうなっているのか?」と疑問をつぶやいたツイートが1万回以上リツイートされています。
なぜ、テニスコートが首都高の上を交差する不思議な構造になっているのでしょうか。青山学院や首都高速道路に聞いてみました。
理由を尋ねると、青山学院広報部の高木茂行さんが「青山学院九十年史」などの資料を調べてくれました。
それによると、1960年ごろ、六本木通りの高速道路放射22号線と高速3号線の拡幅工事が持ち上がり、当初の計画では、青山学院の土地の上を通る「高架」となる予定だったといいます。
ただ、学校の土地の上に道路が通ると非常に危険なため、青山学院は当時の首都高速道路公団や東京都建設局などと3年にわたって交渉を続けました。その結果、道路が青山学院の土地の下を通ることとなりました。
年史には、「区切られることなく一つの地続きのキャンパスとすることができたことは、学院の将来に非常な寄与をもたらすものであった」と記されています。
首都高の広報担当者によると、青山トンネルは1964年10月に開通し、建設・開通当時のトンネルの上は青山学院のグラウンドだったようです。
Twitterでも注目された、土地の所有権はどうなっているのでしょうか。
土地の所有者は「青山学院」となっています。ただ、開通前の1962年に地上権を設定し、首都高速道路と東京都が無料で使うことができる状態にしているそうです。地上権とは、建物などを所有するために他の人の土地を使用する権利のことをいいます。
念のため、ボールなどが道路に落ちる危険性についても尋ねてみたところ、テニスコートの天井部分にも網を張っているそう。首都高の担当者は「これまでボールの飛来などで危険が生じたということは確認されていません」と話しています。
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