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相次ぐ子どもの歯磨き中の事故、防止するには ICU入院の大ケガも

「歯ブラシがのどに刺さる事故」の様子を描いたイラスト。
「歯ブラシがのどに刺さる事故」の様子を描いたイラスト。 出典: 消費者庁
子どもの歯磨き中の事故が相次いでいます。中には「傷口から感染して手術」「集中治療室で10日間入院した」などの例もあり、消費者庁や東京消防庁、東京都などが6月4~10日の「歯と口の健康週間」にあわせて注意喚起をしました。事故を防止するにはどうすればいいのでしょうか。(朝日新聞デジタル企画報道部・朽木誠一郎)
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子どもの歯磨き中の事故を防ぐには

子どもの歯磨き中、歯ブラシをくわえたまま転倒したり、ぶつかったりして、歯ブラシでのどを突いてしまう事故が相次いでいます。

東京消防庁によれば、同管内では2022年(令和4年※)までの5年間で、5歳以下の乳幼児が歯ブラシで受傷した事故で182人が救急搬送されました。このような事故は、特に1、2歳で多く発生しているということです。このうち、1歳がもっとも多く73人、2歳が54人でした。

※令和4年の数値は速報値

受傷の要因は、歯磨き中に「歩いたり、走ったりして転倒」が75.8%。次いで「人や物とぶつかる」が9.9%、「踏み台等から転落」が4.9%でした。

救急搬送された際の初診時程度(傷の深さなど重症度の程度)をみると、軽症がもっとも多く153人(84.1%)。一方、入院の必要がある中等症以上も29人(15.9%)いました。

消費者庁・国民生活センターに寄せられた歯ブラシによる乳幼児の事故には、軽いものから、下記のように大ケガをした事例も含まれます。

<子ども用の歯ブラシ(曲がらないタイプ)を使って自分で歯磨きをしていた。一歩、踏み出した際に転倒して顔を床に打ちつけ、口にくわえていた歯ブラシが上あごに突き刺さった。全身麻酔をして、気管挿管・人工呼吸管理下で歯ブラシを抜いた。抗菌薬治療を行い約1週間後に退院した。(2歳)>
<寝転んで歯磨きをしており、一緒にいた年上の子どもと接触した際、歯ブラシでのどの奥を突いた。血の混じった嘔吐が2回あったため救急搬送され、診察後帰宅した。その後も発熱が続くため受診したところ、CT検査で頸部に感染による膿が見つかり、転院して手術となった。(2歳)>
<歯ブラシをくわえたまま転倒した。のどの痛みと首が動かせないことから受診したところ、CT検査にて首の血管の損傷が疑われたため、緊急に気管挿管が行われた。その後の検査で動脈解離や損傷などはなく、集中治療室で呼吸管理を行った。10日間の入院となった。(5歳)>

消費者庁は「のどの近くには大切な血管や神経があり、それらを傷つけることも考えられます」「口の中の雑菌が傷口から入って感染症を起こすこともあります」として、以下のポイントを参考に、事故を防ぐように呼びかけています。

まず、事故には保護者がそばで見守っていれば防ぐことができたケースもあります。また、床に座って歯磨きをさせることも重要です。歯磨き中は目を離さず、終わるまで見守ります。子どもがぶつかるような人や物を遠ざけ、周囲にもぶつからないように声かけをして注意を促すことが有効です。

【ポイント】
・歯磨きが終わるまで目を離さずそばで見守る
・床に座って歯磨きをさせる
・子どもがぶつかるような人や物を遠ざける
・周囲にもぶつからないように声かけをする

また、子ども用歯ブラシは、のど突き防止対策を施したものを選びましょう。保護者が仕上げみがきをする歯ブラシと、子どもに自分で持たせるものとは、使い分ける必要があります。歯ブラシは対象年齢を確認し、使用前には不具合がないかよく確認しましょう。

歯ブラシに限らず、竹串や割りばし、はし、ペン、ストローなど、口に入り、長さがある物は、何でものど突き事故が発生するおそれがあります。子どもの手の届かないところで管理しましょう。

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