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最新「人生ゲーム」結婚の選択はルーレット次第 価値観の変化を反映

ルーレットで奇数が出たら結婚しない、偶数が出たら結婚する人生を歩みます

2023年4月、8代目人生ゲームが発売されました
2023年4月、8代目人生ゲームが発売されました

目次

人生に起こる様々な出来事を疑似体験できる「人生ゲーム」。1968(昭和43)年の発売以降、昭和、平成、令和と何度もリニューアルを重ねてきました。それぞれの時代にどんな出来事を反映させてきたのでしょうか。現代の子どもの特徴も見えてきます。

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かつては「男性=水色、女性=ピンク」

2023(令和5)年4月、初代から55年の時を経て8代目人生ゲームが発売されました。

すごろくのマスには「ペットの乱入でリモート会議が和んだ」「サブスクの登録のしかたがわからない」といった出来事が加わったり、職業に「アニメーター」「大人気動画クリエイター」が登場したり、現代に合わせた設定になっています。

発売元タカラトミーの担当者は「令和の時代に合わせた内容にアップデートし、結婚や家族の在り方といった新しい価値観も反映されています」と話します。

特に大きな変化は、「結婚」です。これまで全員が必ず結婚することになっていましたが、ルーレットで奇数が出たら結婚しない、偶数が出たら結婚する人生を歩むことになりました。

ルーレットで奇数が出たら結婚しない、偶数が出たら結婚する人生を歩みます
ルーレットで奇数が出たら結婚しない、偶数が出たら結婚する人生を歩みます

「初代人生ゲームが発売された時代と比べると、まさに『人生いろいろ』の時代になったと感じています」と担当者。家族が増えることも、「子どもが生まれる」のマスを「子どもを迎える」に変更しているそうです。

また、初代の人生ゲームから「男性=水色、女性=ピンク」のピンで表すことをルールとしていましたが、2016(平成28)年発売の7代目からそのルールはなくなりました。8代目からはピンの色を更に自由に選んでほしいと6色に増やしたといいます。

8代目からはピンの色が6色に
8代目からはピンの色が6色に

これまでの変化は

アメリカで発売されたボードゲームをもとに、日本版人生ゲームが誕生したのは1968(昭和43)年。

1980(昭和55)年発売の2代目まではアメリカ版の内容を反映していましたが、3代目(1983/昭和58年発売)からは日本オリジナルとして「お世話になった人達にお歳暮を送る」「先祖代々の土地を売る」といったマスが加わりました。

その後のリニューアルでは、次のようなマスが登場しています。
「パソコン通信を始める」(1990/平成2年・4代目)
「インターネットで自分のホームページを作る」(1997/平成9年・5代目)
「人工知能で資産運用」(2016/平成28年・7代目)

初代の人生ゲーム
初代の人生ゲーム 出典: タカラトミー提供

人生ゲームのシリーズには、初代から続く〝スタンダード版〟のほか、より世相やトレンドを反映させるなどした〝テーマライン版〟も発売されています。

2019(平成31)年に発売された「人生ゲームプラス 令和版」は、お金ではなく「フォロワー」を多く獲得したプレイヤーが勝ちというルール。

マスには「朝起きたら昨日の寝る前のつぶやきがバズって大拡散!」「裏アカがバレて大炎上」といった言葉が並び、大きな反響があったそうです。

「人生ゲームプラス 令和版」のプレイイメージ
「人生ゲームプラス 令和版」のプレイイメージ 出典: タカラトミー提供

子どもになじみのない「紙幣」のやりとり

商品によってはルールが違うものの、シリーズの顔として8代続くなかで大きく変わっていないのは、ルーレットを回して出た数のマスを「車」で進み、よりたくさんお金を得た人が勝つという遊び方。

お金がドル紙幣であることも変わらず、株券や保険証券もそのままです。

キャッシュレス決済が大きく進み、お金の支払い方が変わった現在、担当者はユーザーから「子どもが本物のお金を見たり、手に取ったりする機会が少ない」という声を多く聞くといいます。

現代の子どもは、「『お釣りを渡す・もらう』という概念を理解できていなかったり、『お金』というワードから、紙幣やコインを連想しづらかったりするなどの特徴があると考えています」と担当者。

「『紙幣』のやり取りをするスタイルを守り続けてきた人生ゲームが、『お金』に関する理解を深めるためのお手伝いができるのではないかと考えています」

8代目人生ゲームでも株券やドル紙幣があります
8代目人生ゲームでも株券やドル紙幣があります

ゲームを通して子どもが得られること

現代の人生ゲームを、教育の専門家はどう受け止めているのでしょうか。

愛知淑徳大学人間情報学部教授の佐藤朝美さん(教育工学・幼児教育学)は、「職業がいろいろあり、ゲーム内で手に入るお宝カードの『フォロワー8万人』も現代ならでは。マスにも『映える昆虫食を考案』『家事代行サービスを使う』など新しい出来事があります」と関心を寄せます。

家族で人生ゲームを楽しむ場合、「話題のきっかけになり、様々な情報や世代を超えた価値観を得られる」と話します。

「人生は山あり谷あり。自分一人ではどうしようもできないという感覚を、ルーレットで体験できます。ゲームで親が借金を背負ったり、うまくいっていなかったりしたときにどう振る舞うのかも、子どもは見ていると思いますよ」

現代らしいマス目
現代らしいマス目

キャッシュレス社会で、子どもたちが紙幣の感覚をつかめていないなか、お金の価値を子どもが知るきっかけにもなると指摘します。

「ゲーム課金は数字で見えていても、実際どのくらいのお金を払っているのか実感ができません。その点、ゲームで紙幣のやりとりをして感覚をつかめることは重要です。小学生以降のお子さんとは、ドルから円に換算して考えたり、円安や円高の話もできたりすると、より世界経済にも関心を持てるかもしれません」

さらに、「結婚する・しない」といった選択肢が広がっていることを、佐藤さんは「親も価値観を揺さぶられるかもしれない」と話します。

「親が昔ながらの考えを持っている場合、無意識に子どもにその価値観を植え付けることもあるかもしれません。しかし、ゲーム上に令和の価値観が設定されることで、社会は多様性を認める方向に進んでいるという前提で話ができます」

「人生ゲームで遊ぶことは、人生のティップス(助言)や生き方のヒントを親から子へ伝えるきっかけになります。一方で親も、世の中の価値観が変わってきていることを認識することが大切だと思います」

※この記事はwithnewsとYahoo!ニュースによる共同連携企画です。

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