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いつものコップが〝縄文土器〟に?…博物館が配布のグッズが話題
「日常的に使えるおしゃれな縄文グッズ」

「現代人にとっても、オシャレカッコいい」。そんな感想が寄せられた、縄文土器の模様が描かれたスリーブ(コーヒーカップなどにつくカバー)を紹介するツイートが反響を集めました。スリーブを配布しているのは山梨県立考古博物館。企画の経緯を聞くと、山梨県愛、縄文土器愛にあふれる思いが聞けました。
「ワンランク深煎りに!」
〈山梨県立考古博物館に行くと土器柄のスリーブがもらえる。10種類くらいあるみたいだけど、僕のもらったのはこの土器のスリーブ。いつものコーヒーがワンランク深煎りに!〉
ツイートは約3千件リツイートされ、「メッチャ欲しいじゃん」「縄文やら土偶やら好きな友達喜びそう……」などのコメントがつきました。
山梨県立考古博物館に行くと土器柄のスリーブがもらえる。10種類くらいあるみたいだけど、僕のもらったのはこの土器のスリーブ。いつものコーヒーがワンランク深煎りに! pic.twitter.com/qqDuUohpKP
— 縄文ZINE (@jomonzine) April 16, 2023
豊かな縄文文化がはぐくまれた土地
山梨県は、「星降る中部高地の縄文世界」が文化庁に日本遺産として認定されており、縄文時代の文化を知ることができる貴重な遺跡などが県内各所にあります。「全国的に見ても希有な、豊かな縄文文化が山梨にはありました」と語るのは、スリーブの企画を担当した野代 恵子さん。
特に県内で見つかる土器は「様々なバリエーションの文様、器形があり、人やイノシシやヘビやカエルなど、見てわかりやすいモチーフが満載」だといいます。
そんな土器の模様は、県内にある過去の優れた物品の造形や模様などをデザインソースとしてデジタル化し配信する「山梨デザインアーカイブ」に収録されています。
デザインアーカイブから10種類
今回のスリーブの模様は、アーカイブにあがっている模様の中から10種類を選抜。「なるべく県内の色々な場所の遺跡が入るようにし、わかりやすいモチーフの土器文様を選ぶようにした」といいます。
様々なポーズの人をデザインしたものや、母と子の関係性を表した模様、変わった形の土器に描かれている模様など、バリエーション豊かです。
スリーブのもう一つの特徴が、県内で生産されている、400年以上の歴史を持つ「西嶋和紙」を使っていること。野代さんによると、帽子やバッグなどにも使用できる水にも強い新たな素材が開発されたことから、地場産業とのコラボとしてスリーブの素材に採用されました。
体験とセットとしての無料ノベルティー
800個用意したスリーブは、3月末に行われたイベントで配布したほか、現在は山梨県立考古博物館の常設展でスリーブのモデルとなった土器を展示し、実物を見てもらった上で、受付に声をかけると無料で受け取れるという形をとっており、残りわずかだといいます。
県では日頃から、「縄文文化の面白さに気付いてもらいたい」と、実物の出土品に触れる体験などのワークショップを積極的に実施しているそう。今回のスリーブも、あくまで「体験」とセットとしてのノベルティーという位置づけです。
野代さんによると、3月末のイベントでは、スリーブのモデルとなった土器に触れた上で、スリーブを持ち帰れるということで、参加者からも評判がよく、「日常的に使うグッズとしてさりげなく持てるおしゃれな縄文グッズ」といった感想もあったそうです。
販売を求める声については「将来的には視野に入れてもいいのではないかと思ってはおりますが……」と話しています。
