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村上春樹さんガチャガチャ、何が出てくる? 設置した書店に聞くと…
6年ぶりの新作長編『街とその不確かな壁』発売記念
ガチャガチャを回すと、村上春樹さんの作品の〝推し〟の「一文」が出てくる――。そんな無料のガチャガチャが名古屋の書店に登場しました。13日には村上春樹さんの6年ぶりの新作長編『街とその不確かな壁』(新潮社)が発売されます。「待ち望んだ新刊。お客さんといっしょに喜びたい」と考えたという担当者に話を聞きました。(withnews編集部・水野梓)
発案したのは、ふだんはコミック担当という二村有香(ふたむら・ゆうか)さん。村上さんの作品が大好きなことから、今回のプロジェクトチームに参加しました。
もともとガチャガチャが好きだという二村さん。新作発売を記念して売り場に既刊作品を並べることになり、「あらすじだけではなく、印象的な一文を紹介したら面白いのでは?」と思いついたといいます。
この度、「村上春樹一文ガチャ」なるものを作りました!ガチャガチャを回すと、中から村上春樹さんの一文がでてきます。どなたでも、無料でまわしていただけますので、ぜひ回してくださいませ!種類いっぱいあるよ〜!! pic.twitter.com/Hlxt8xzh9r
— ジュンク堂書店 名古屋店 (@junku_nagoyaten) April 6, 2023
一文は、チームメンバーの4人で「推し」を出し合ったり、ツイッターアカウントでフォロワーさんから募集したり。さまざまな作品からの数十種類の「推しの一文」が入っているそうです。
「ガチャガチャで出会った、まだ読んだことのない素敵な『一文』から、未読の作品にも興味を持ってもらえたら」と話します。
4月6日ごろから売り場に置いたガチャガチャ。お客さんからも好評で、1時間に5~6人が回しているそうです。
上の箱に、空になったカプセルがいくつか置かれていると、スタッフが「一文」を補充しにいきます。
二村さんは「楽しんでもらえていたら嬉しいです」と話します。
6年ぶりの長編新作。10日には村上さんのメッセージも新潮社ホームページで公開され、待ち望んだファンの期待は高まります。
二村さんもそのひとり。「ファンはたくさんいるものの、本ってひとりで読みがちですし、なかなか『ここが好き』と共有する場ってないですよね」と言います。
レジでお会計中、お客さんが買っている本を見て、思わず「実は、私もその本、好きなんです!」と語りかけたくなる時があるそう。
「コロナ禍もあって話しかけてはいけないと我慢していますが、今回のガチャガチャでは、そんなお店スタッフの『好き』の気持ちを、お客さんと共有できればと考えました」
とはいえ、村上春樹さんの作品というと『ノルウェイの森』や『1Q84』といった有名作品が目立ちがちです。
二村さんは「知られすぎていて、『今さら読み出しにくいな』って思っている人もいるかもしれませんが、安心して先入観をなくして楽しんでほしいです」と話します。
二村さんのお気に入りは、中学生の頃に先生に勧められて読んだ小説『パン屋再襲撃』と、村上さんが編訳し、書き下ろしも収録されている『バースデイ・ストーリーズ』。
「誕生日の短編が大好きなんですが、『バースデイ・ガール』(バースデイ・ストーリーズ収録)は中学校の国語の教科書にも採用されているんですよ。今の中学生がうらやましいなと思いました」と笑います。
発売が待ちきれない読者を早く迎えようと、ジュンク堂名古屋店では、発売日の4月13日午前8時半から、「特別早朝販売」をおこなうそうです。
『街とその不確かな壁』早朝販売を実施決定!!
— ジュンク堂書店 名古屋店 (@junku_nagoyaten) March 29, 2023
村上春樹氏の6年ぶりの長編新作を記念して、発売日の4月13日に早朝販売をおこないます。
時間は8:30から!早起きしてみなさまをお待ちしておりますので、ぜひぜひぜひ、朝イチ(朝市)春樹しましょう。#村上春樹 #町とその不確かな壁 #不確かな街の朝市 pic.twitter.com/VT1BucVrEa
一文ガチャは、置いておける間は引けるようにしたいとのことですが、設置状況はツイッターで発信するとのこと。
新たな作品との出会いがあるのか、もしくは自分の好きな作品の一文を手にするのか……。新刊を楽しみに待ちつつ、お近くの方は試してみてはいかがでしょうか。
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