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IT・科学

「がん」って実は身近だった… 宮地真緒さんの病気との向き合い方

子宮頸がん検診で「異形成」と言われ

俳優の宮地真緒さん。「みんなの力で、がんを治せる病気にする」ことを目指すdeleteCプロジェクトに参加し、授賞式ではがん治療の研究者に寄付を渡すプレゼンター役も務めました=事務所提供
俳優の宮地真緒さん。「みんなの力で、がんを治せる病気にする」ことを目指すdeleteCプロジェクトに参加し、授賞式ではがん治療の研究者に寄付を渡すプレゼンター役も務めました=事務所提供

目次

がんについて、知らないことばかりだった――。俳優の宮地真緒さんは、過去の自分をそう振り返ります。ネットには、一般の人には真偽を確かめづらい医療情報もあふれています。がん治療研究を応援するプロジェクトの授賞式のプレゼンターを務めた宮地さんに、医療情報や病気との向き合い方を聞きました。(withnews編集部・水野梓)

◆未来空想新聞2040 5月5日発行!こどもの日は、未来を考える日。◆
宮地真緒(みやじ・まお):1984年生まれ、俳優。NHK連続テレビ小説「まんてん」のヒロイン、ミュージカル「ピーター・パン」主演ピーターパンなどを経て、ドラマ・映画・舞台・バラエティーなどで活躍。幼少期、阪神淡路大震災を実家の淡路島で経験。東日本大震災をきっかけに防災士の資格を取得。漫画・ゲーム・アニメ・ドライブが好き。2022年公式ファンクラブ『宮地真緒の部屋(仮)』開設

「何か力になれないか」と参加

――ことし3月、がんの治療研究をみんなで参加して応援するプロジェクト「deleteC」の授賞式に、プレゼンターとして参加されましたね。

昨年の4月、事務所の社長でもありマネージャーでもある井出智さんが、deleteCというプロジェクトがあるよ、と教えてくれました。
deleteC:企業や団体が、ブランドロゴ・商品やサービス名からCancerの頭文字である「C」の文字を消し、そのサービスを購入・利用したりすると、売上の一部がdeleteCを通じて、がん研究の支援となる仕組み。商品名の「C」を消して想いとともにSNSにアップすると寄付につながるアクションもあり、毎年9月にはツイッタートレンドに入るなど、「がん研究」を多くの人に知ってもらう機会になっている

実は井出さんは、子宮頸がんの闘病中です。

普段から現場へもひとりで行くので、会っていなかった数カ月間の後に、「実は手術して退院したんです」と言われて知ったんです。

その間もやりとりはしていたので、本当に驚きでした。

deleteCの授賞式で宮地さんと、事務所社長の井出さん(中央)、認定NPO法人deleteC代表理事・小国士朗さん=事務所提供
deleteCの授賞式で宮地さんと、事務所社長の井出さん(中央)、認定NPO法人deleteC代表理事・小国士朗さん=事務所提供
でも彼女は本当に弱音を吐かない人なんです。「自分にできることは何もない、でも彼女の力になれないか」とずっと思っていました。

deleteCを知ったとき、「このプロジェクトを多くの人へ広げるのが、私のやるべきことだ」と思いました。それが参加した一番の理由です。

――プロジェクトに参加してみてどう感じましたか?

以前からC.C.レモンが好きだったので、手にとったときに「Cが消えた新しいパッケージがあるな」とは思っていたんです。これが実は「Cancerの<C>を消す」という取り組み」だったと知って、ご縁を感じましたね。

寄付や支援活動って、「数百万円を出す」とか、ずっと続けることはできないですよね。

「C」を消してSNSにアップするといった取り組みが、カジュアルで続けやすいところも魅力的ですし、企業にとっても、私たちにとっても、研究者たちにとっても、みんなウィンウィンの取り組みだなと思いました。

子宮頸がん検診で「異形成」と言われ…

――「がん」について、これまで身近に感じることはありましたか?

親戚をみても、がん家系ではないのかな、と思っていました。ストレスのかかる体力仕事で、生理不順が激しくてピルをのんでいたんです。だから婦人科で定期的に検査をしていました。

そのなかで20代の時に一度、「中等度異形成です。がんになるかもしれない」と言われたことがあったんです。

それまでは子宮頸がんの知識も一切ありませんでした。異形成が治る薬はなく、経過観察をするしかないと知って、ショックでした。
子宮頸がんの経過:
・10人に1人ほどの割合でHPV(ヒトパピローマウイルス)感染が続いてしまい、その状態が5~14年続くと、子宮頸部異形成と言われる子宮頸がんの前段階、もしくは子宮頸がんが発症すると報告されています

子宮頸がんの前段階(=子宮頸部異形成)になった場合でも、自然に治る可能性があります
日本のデータでは、軽度の異形成であれば約60-70%、中等度であってもおよそ50-60%の割合で、2年以内に病変が消えたと報告されています。

みんパピ!「HPVと子宮頸がんはどのような関係があるの?」(https://minpapi.jp/hpvv-cervical-cancer/)より
不安のなかで3カ月後に検査したら、消えていたんです。

それから、早期発見が大事だと知って、1年に1回はちゃんと検査にいこうと思うようになりました。

――子宮頸がんなど「早期発見が大事」という病気では、「検査に行かなかったからだ」と自分を責めてしまうこともありそうですね。

私には「天狗」という愛犬がいるんですが、すごく仲良くしていたご近所の犬友達のおばあちゃんが、数年前に大腸がんで亡くなったんです。ご自宅で野菜たっぷりのおいしい和食を頂いたこともありました。

たばこを吸っていない人が肺がんになるとか、人一倍健康に気をつけていた人が病気になってしまうこともあるんですよね。「その人に非があって病気になるわけじゃない」と思っています。

ネットの医療情報との向き合い方

――SNSやネットなどにはさまざまな「医療情報」があります。困っていることはありますか?

民間療法の善し悪しが一番よく分からないな、と思ってしまいますね。
わらにもすがりたい、という方の思いにつけ込んだようなものもあると思います。

そういうときは「じゃあなぜ大学病院や専門病院で治療として使われていないのか」と考えなければいけないんだとは思っているんですが…。

真偽不明な情報があふれていて、なかなか選択できません。

――宮地さんにとって役に立ったものはありましたか?

子宮頸がんに特化したホームページですが、「みんなで知ろうヒトパピローマウイルス(みんパピ)」は、ポスターをやらせてもらうことになって拝見したら、すごく分かりやすかったです。

日本ではHPVワクチンの接種率が上がっていないということを知りました。副反応の報道のネガティブなイメージがすごく強くて、それは私の中でも覚えています。
「みんパピ!」が配布しているフライヤーの一部。子宮頸がんや、ワクチン接種・検診の情報を啓発しています
「みんパピ!」が配布しているフライヤーの一部。子宮頸がんや、ワクチン接種・検診の情報を啓発しています 出典:サイト「みんパピ!」より

「打った方がいいよ」と押しつけるのではなくて、みんなで知った上で、どう選択しますか?というサイトなのがいいなと思います。

HPVワクチンだけでなく、お子さんへのコロナワクチン接種など、根拠のある情報をもとに判断してほしいなと思います。

婦人科診療にためらいがあっても

――医療にたずさわる「専門家」とのコミュニケーションで、困ったことはありますか?

カタカナとか聞き慣れない言葉とか、お医者さんの言っていることが分からないことがたまにありますね。
もう一度聞き返すのは、手間をとらせてしまうのが申し訳ないなぁと思ってしまうんです。

この年代になって図太くなって聞けるようになりましたが(笑)、ひとりで病院を受診し始めた10代の頃は、ただでさえ具合が悪くて不安な中で、余計にドキドキしていました。
deleteCの授賞式には、宮地さん(中央)だけでなく、同じ事務所の若手俳優・蒼井旬さん(左)と有咲木乃夏さんも参加しました=事務所提供
deleteCの授賞式には、宮地さん(中央)だけでなく、同じ事務所の若手俳優・蒼井旬さん(左)と有咲木乃夏さんも参加しました=事務所提供
――婦人科の受診をためらう若い世代も多いと聞きます。

ほかの診療に比べてもハードルが高いですよね。

内診台とか、やっぱり今もイヤだなぁと思うので、気持ちは分かります。でも、やっぱり「行った方がいいよ~」と呼びかけたいですね。

私は変な靴下をはいていることが多いのですが、以前、「この靴下はトニートニー・チョッパーですか!?」と内診台で声をかけてくれたお医者さんがいました(笑)。
「今!?」と思いましたが、気持ちをほぐそうとしてくれたのかな、と思います。

女医さんも増えていますし、探していれば優しい先生とも出会えます。

とはいえ、話しづらい先生だと、受診するのがイヤになってしまいますよね。信頼して身体を任せる先生に出会えるといいなぁと思います。

病気と共存しながら、どう過ごすか

――deleteCや「みんパピ!」の活動などで、医師たちと関わるようになって、ご自身が変化したことはありますか?

日本では2人に1人ががんになること、でも国内のがん研究が遅れていること、研究費が足りずに困っていることなど、初めて知ったことばかりでした。

なんとなく「がん」って遠い話だと思っていましたが、実はすごく身近なものでした。身内にがんの人がいなかったのは、たまたまだっただけなんだなぁ、と。
deleteCの活動では、集まった寄付金を研究者に贈りました=deleteC提供
deleteCの活動では、集まった寄付金を研究者に贈りました=deleteC提供
「がんは怖いもの」というイメージを変えたいと活動されているお医者さんが、「『病気とどうやって共存して、どういい人生を送るか?』を考える」とおっしゃっていたのが心に残っています。

やっぱり「がん」と聞くと、まず「怖い」って思ってしまいますよね。私も異形成と言われた時は、慌てましたし、怖かったです。

これまで、がんや病気には「勝たなきゃいけない」「治さなければならない」と思っていました。

病気と共存しながら仕事して、やりたいことをやって、どう楽しく過ごすか、そんな風に考えてもいいんだ、という気づきがありました。

今も、がんにかかったことなどはセンシティブな話とされているかもしれませんが、「私、がんなんだ」って気軽に言える、サポートがある社会になるといいなぁと思っています。

自分や家族や身近な人ががんになったとき、慌てずに、つらい顔をせずに、「どうする?」って気軽に相談できる、考えられる世の中になってほしいな、って思います。
◆医学会総会イベントに宮地真緒さん
根拠のある医療情報を、どうすれば市民に届けられるか。医師やメディア・市民の視点から考えるイベント(日本医学会総会主催)に、宮地真緒さんが登壇します。

イベント:ミドルマンズ・ミーティング~FAKEからHOPEへ~
日時:4/17(月)14:30~
場所:    丸ビル1階「マルキューブ」
イベントURL:https://isoukai-expo.jp/marucube/

登壇者:
・宮地真緒さん(俳優)
・黑川友哉さん(千葉大学医学部附属病院臨床試験部)
・今西洋介さん(大阪大学大学院医学系研究科社会医学講座公衆衛生学エコチル調査室大阪ユニットセンター)
・藤松翔太郎さん(NHK『フェイク・バスターズ』ディレクター)
司会:水野梓(朝日新聞withnews編集長)

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