脱臼を予防する方法はあるのでしょうか。日本小児整形外科学会を取材しました。同学会は資料「赤ちゃんが股関節脱臼にならないように注意しましょう」で、この股関節脱臼について啓発しています。
【参考】赤ちゃんが股関節脱臼にならないように注意しましょう
同学会によれば、現在、発生がまれになっている先天性股関節脱臼(発育性股関節形成不全)は、抱き方やおむつの当て方でリスクを減らし、悪化を予防できるそうです。資料では「歩き始めるまで、次の点に注意しましょう」としています。
・仰向け寝のときは、M字型開脚を基本に自由に足を動かせるようにする
・抱っこは、正面抱き(=正面から抱いて両膝と股関節が曲がったM字開脚で抱く人の胸にしがみつく形)でする
・向き癖(いつも顔が同じ方ばかり向いていることで、反対の脚がしばしば立て膝姿勢になり、脱臼を誘発する)には、対策として反対の足が立て膝にならず、外側に開脚するような環境を準備する
おむつなどについては「両脚を外から締めつけて脚が伸ばされるような、きついおむつや洋服は避けましょう」とします。
また、両膝と股関節がM字型に曲がって使える「正面抱き用の抱っこひも」の使用は問題ないものの、近年、広がる横抱きのスリングは「開脚の姿勢が取れず、両脚が伸ばされる危険もあるため、注意が必要です」と指摘。
同学会は「1カ月と3〜4カ月の健診でチェックを受け、異常を疑われた場合は整形外科を受診することになりますが、気になる点があるときはいつでも整形外科を受診ください」と結んでいます。
心配はしたものの、健診のときの「足をM字に開いてぐいぐい押す」という検査の背景には、「脱臼多発国」だった日本という歴史があることを知る機会にもなりました。
とはいえ、お医者さんに「股関節の開きが悪い」と誤解されるほどの抵抗をみせるというのは、別の意味で今後にやや不安が残りますが……。ひとまずは元気に育っている証拠だと思うことにします。