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「マジで人生に行き詰まってお金なく」ガラス作家の作品が〝神業!〟
「マジで人生全てに行き詰まって」「更にお金なくて」「励ましの拡散を頼むます」――。そんな文言とともに投稿された写真が、ツイッターで反響を呼んでいます。投稿主は、ガラスに繊細な装飾を施す切子(きりこ)の作家。プリンのような形のガラスが、作家によって変貌を遂げていました。
投稿主は、ともかさん @tomokiriko 。投稿は2月27日で、ツイートは瞬く間に拡散されました。
ツイートには2枚の写真が添付されています。1枚は、琥珀色をした、プリンのような形のガラスです。
もう1枚がともかさんの作品です。切子は、ガラスを削って制作します。写真の作品には、繊細な文様が浮かび上がっています。削られて透明になった部分と、琥珀色とのコントラストもまた、見る人の目を引きます。
ツイッターでも「まさに神業!」「めっっちゃくちゃ素敵ですね!!」など、称賛のコメントが相次ぎました。
マジで人生全てに行き詰まって更にお金なくて発狂してるので励ましの拡散を頼むます。
— ともか*ともきりこ*切子 (@tomokiriko) February 27, 2023
右のガラスを左のように削るのが好きな切子ガラス作家でございます。
27歳です。きっと伸び代あります pic.twitter.com/7foXzIFXKT
ともかさんによると、作品名は「切子小鉢 透華(とうか)」。今年1月ごろに制作したそうです。
複数の作品を同時並行で作るそうで、仕上がるまでにおおよそ数週間かかると言います。
「器を中から見た時とひっくり返した時、どの角度から見ても可愛くなったところが私の推しポイントです」と話します。
元々絵を描くことが好きだったと話すともかさん。高校時代、授業の課題のために訪れた美術館でガラス工芸品のヴェネチアン・グラスに魅せられました。
「そこからガラスにハマり、色々調べているうちにガラスには色んな技法があることを知り、その中でも切子が好きになって自分でも作ってみたいと思いました」
学校でガラスを学び、切子の製造会社に就職しました。ところが、会社の環境が合わず、心身を疲弊して退職しました。
それでも、切子への情熱は冷めませんでした。
「1人で作家をするには技術も設備も人脈も何もかも足りない状態でしたが、自分ができることはこれしかない、やるしかない…という引くに引けない気持ちでした」
24歳で作家としてのキャリアをスタートさせました。
自身の作品は「ともきりこ」と命名。「カラフルポップで心が踊るような切子ガラス」をコンセプトにしています。
制作にはコストも伴います。費用を捻出するため、多い時はバイトを4つ掛け持ちしていました。
ただ、それでは制作に集中できません。作家としてやっていけるのか、将来に対する不安も募ります。けれども、作家を続けるには、作品づくりを続け、より認知度を上げる必要があります。そしてバイトを続け――。そんな悪循環とも感じる中で、ジレンマを覚えていました。
自分の作品を知ってもらおうとツイート。それでも、なかなか日の目を見ない。そうした連続でした。
「なんてツイートしたら見てもらえるのかもうわかりません(諦め) 細々と1人で切子やってるよ」。2020年12月には、こんなツイートをしています。
ツイートで、人生への行き詰まりと、経済的な苦しさを吐露した背景には、そんな現実がありました。
なんてツイートしたら見てもらえるのかもうわかりません(諦め)
— ともか*ともきりこ*切子 (@tomokiriko) December 23, 2020
細々と1人で切子やってるよhttps://t.co/3ETOcr8nMS pic.twitter.com/P5KLPRqlUw
今回も、自分の作品を知ってほしい一心で投稿しました。
ツイートには、自分に言い聞かせるようにこう書き加えています。「27歳です。きっと伸び代あります」
大きな反響に戸惑いも感じているという、ともかさん。「技術がまだまだ未熟なひよっこの自覚は忘れずに頑張ります」と話します。
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